3 スキル ステータスカード
2話のモンスターの格付けを
超上級⇒最上級
に変えました
一真たちは、スキルと魔力値をみるための部屋に通された。ここで一真たちは、戦士になるか、魔法使いになるか、または両方になるかが決まる。三列に並ばされ、順番に測定されていく。一真の魔力は魔法使いにしては少なかったが、戦士職にしては多かった。まだ、魔力には伸びしろ有ることを考えた結果、魔法の勉強をすることになりそうだ。次にスキルを調べたら、魔徳、融合、融合解除だった。検査をしていた魔法使いたちは、一真の訳の分からないスキルに困惑していた、調べている全員が初めて聞くスキルだからだ。魔法使いたちは、昔の資料を読みあさり軽く調べたが、一真が持っているスキルについての情報さ皆無だった。だが、そんな一真よりも奇妙なスキルを持つ人間がいたと言う噂が流れてきた。それが勇吾だった。魔力は雀涙程度。スキルは、????でアンノウだそうだ。なぜ、勇者として召喚されたことが、変だと思ってしまうほど弱い。しかし、これに一真は疑問を覚える。魔方陣は勇者の素質を持つ人間を呼び出すと言っていた。俺が召喚される瞬間、魔方陣は何か待っていたように、直ぐにはこちら側に俺達を召喚しなかった。そして俺達を召喚する直前に入ってきたのは、勇吾だった。そして勇吾が勇者の素質を持っていないのであれば、勇吾が外でパンを買いに行っているときに、教室で魔方陣が発動するはずだ。つまり、魔方陣が壊れていない限り、勇吾も勇者の素質を持っているはずなのだ。しかし、現状は勇吾の魔力は雀の涙程しかなく。とても勇者と呼べる品物ではない。たがそれを補うだけの物があるとすれば、正体不明のスキルだ。これがとんでもないスキルの可能性がある。たぶんスキルには何らなの発動条件があるのだろう。それが一体何なのかは分からないけど。
一真たちには、自分達の名前とスキルが書かれたステータスカードと言う物が渡される。これは自分のスキルレベルが上がると、それを知らせてくれる。偽装なども不可能で、身分証明の役割を果たしてくれるそうだ。一真は自分に配れたステータスカードを見る。
タカサカ カズマ
合体
分離
魔徳
書かれていることこれだけだ。ゲームみたいに年齢もレベルもステータス値も書かれていない。魔力量ぐらいは書いてあるかと思っていた一真には、情報の少なさに驚いた。まあ、ゲームみたいに人の体を数値化するのは難しいだろう。人は体調や気分なので変わるから。一真はステータスカードをペタペタと触って、感触確かめる。
重さはプラスチック程度、だけど硬さは鉄みたいだった。裏には何も書いていない。定期入れに入れれば無くさずに済みそうな感じだった
「おい、優吾。お前のステータス見せてみろよ!」
達也が早速優吾が弱いと言う噂を嗅ぎつけたのか、優吾の背後からステータス達也がステータスカードを取ると、優吾のステータスを見る。
「おいおい、何だよ~。このステータス。まともに使えるの無ねじゃねえか。魔力も少ないんだろ?優吾」
達也はわざと周りの人間に聞こえるように言う。
「おい一真、見てみろよ。この雑魚っぷりを」
達也が一真に向かって、フリスビーを投げるようにして優吾のステータスカードを投げ渡す。一真はステータスカードを、両手で挟むように受け取ると書かれている物を見た。
ヨコデラ ユウゴ
??????
書かれていたのはこれだけだった。名前だけしか書かれていないと言っても過言ではない状態だ。やはり噂の通り、クエッションマークで表示されていた。しかもスキルは一つだけだ。そして魔力量が噂通りなら、戦闘に使えるものは、何もないと言う事になる。
しかし、一応勇者として優吾も召喚されたのだ。一真は魔力が少ないことから予想すると、優吾のスキルは魔法系スキルでは無く、肉体系スキルに系統するスキルの可能性が高い。色々な弱さをひっくり返せるほど強いスキルなのだろうか?
一真は優吾のスキルに対する強さを考察にするには、情報が足りなかった。一真は考えるのをやめるのと同時に、優吾のステータスカードを美由紀に投げた。
「あ、本当だ。何この何も無さ。ちょーウケるんですけど~。本当に勇者?」
美由紀はそう言って真人に優吾のステータスカードを見せる。
「本当だな、何のスキルも無い」
真人は美由紀が持っている優吾のステータスカードはチラと見ると興味無さそうにすぐに視線を外す。真人が自分のステータスカードに視線を戻す。真人のステータスは一体どのような事が書かれているのだろう。
美由紀は真人が興味を直ぐに無くしたからだろうか、美由紀は直ぐに優吾にステータスカードを投げて返す。美由紀は真人が持っている真人のステータスカードを覗き見る。
「うわ~凄い。さすが真人ね!!」
美由紀は自分の事のように自慢げに叫ぶ。美由紀は自分の恋人が強いことは誇らしいかった
「真人、どんな感じなんだ?」
一真は美由紀の言葉に便乗して、真人のステータスカードを覗き見た。
露口 真人
格闘術4
剣術
火魔法
水魔法
風魔法
土魔法
氷魔法
雷魔法
闇魔法
最強の覇者
真人のステータスカードには沢山のスキルが書かれている。一真は他の人のスキルの多さに驚いた。
(他の人間もこれくらいスキルが多いのか?それとも真人だけが特別なのだろうか?)
「美由紀、達也」
一真はそれを確かめるために美由紀と達也に声を掛けた。
「ステータスはどんな感じなんだ?」
「あたしはこんな感じ」
「俺はこうだ」
二人は何の躊躇いもなくステータスカードを見せてくれる。
千葉 美由紀
火魔法
水魔法
風魔法
土魔法
多重魔法
上田 達也
格闘術5
剣術
火魔法
風魔法
雷魔法
狂戦士
二人共魔法や戦士系のスキルが書いてある。真人よりもスキルの数は少ないが、しっかりと勇者として戦えるようなスキルを持っている。
「真人、あんたはどんな感じなの?ステータスカードを見せてよ」
美由紀が真人のステータスカードを見せるように要求する。
「ああ、良いけど」
一真は美由紀にあっさりとステータスカードを渡す。こう言う時は下手に隠すと逆効果になるので、素直に見せたほうが良いと、一真は考えたからだ。
「何これ?融合、分離、魔徳? 意味が分からないスキルがあるわね。融合と分離ってもしかしてドラゴンとでも融合するの?」
「ドラゴンブレス!!みたいな感じか?」
美由紀の言葉に一真はオチャラケて顔を突き出して、炎を吐く真似をする。
「おお、ドラゴンブレス。かっこいいね!」
達也が目を輝かせる。以外にこの手の話には達也がノリ良く乗ってくれる。一真は自分が失敗した時などに、こうして達也を乗せて凌いできた。
「一真の口から炎が飛ぶのか……プククク、アハハハ」
真人は面白に笑う。真人は一真の口から炎が飛ぶのを想像してツボに入ったようだった。
「本当うけるな、本当は一体どんなスキル何だろうな」
一真は真人達とのスキルの違いと弱さを笑いに変えて、少し本音を漏らした。
「何だろうね?」
「本当に炎ブレスだったらどうするよ?」
美由紀は不思議そうに、達也はからかう様に言う。一真は完全に自分のスキルが、笑いの種に完全になったので安心した。
「そのときは炎飛ばして戦うさ」
一真のその言葉に三人は腹を抱えて笑う。
次の日から、一真たちの戦闘訓練が始まった。午前は魔法の座学と実戦、午後は剣士などの訓練だ。そこで魔法とは何か、魔方陣とは何かの説明がされた。魔法の説明
魔法とは魔法言語と魔力を使った現象。魔法を使うには二つのものが必要。1つは強固なイメージと、魔力と魔法言語だ。
魔力とは生命力と同じように、生きている物全員が持っているものだ。血のように全身を巡っているらしい。また魔力を使いすぎると、酸欠状態のようになり、頭痛や吐き気などの症状が現れるらしい。魔力はまだ完全に解明はされていないようだ。そして魔法言語とは魔力を動かすためのコマンドのようなものだ。最悪魔法言語を使わなくても魔法は使えるが、魔法言語を使ったほうが魔法は発動しやすい。魔法言語は改めて覚える必要は無い。なぜなら人間は魔法言語を公用語として使っているからだ。つまり、ここにいる人たちと話すことが出来るということは、魔法言語を使えるという事だ。これを聞いた全員が、改めて別の言語の勉強をする必要が無くて、安心のため息を着いた。そして魔法が使える魔物とはコミニケーションが取れることが教えられた。一真はそれを聞いても、正直あまり魔物と話したいとは思わなかったが。
次に強固なイメージだが魔法剣士が少ない理由がここにある。
そもそも魔法剣士とは何か?魔法も使えて、剣技も使える人の事か?違う。剣と魔法が使えるものは大勢いる。剣と魔法を戦闘中に同時に使える人間を魔法剣士と呼ばれるらしいのだ。
剣士が戦闘中に、魔法を使うには、イメージの力が足りないのである。それが魔法剣士が少ない理由である。それでも魔力が多ければ、魔法は発動できる。例えば魔力と想像力を足したものを、魔法力と呼ぶとしよう。とある魔法を発動するのに、魔法力10必要だとする。普通は魔力5に想像力5だが、魔力が多ければ、同じ魔法でも魔力を7に想像力3で発動出来る。魔法の規模によって最低限必要な魔力やイメージ力色々あって、ここまで単純な話ではないが。だが戦闘中にそれが出来るほど、魔力やイメージを維持できる集中力を持っている人間は少ない。これが魔法剣士が少ない理由である。
また、魔力は火になりやすかったり、水になりやすかったりすり人それぞれである。それがステータスカードに書かれている火魔法などのスキルだ。レベルが上がれば上がるほど少ない魔力で強力な魔法が放てるようになる、と言うことだった。なので魔法スキルがなくても、火魔法を放つことは可能だと言う話だ。
剣術スキルなども、レベルが上がるほどその武器を使っていると、身体能力などが上がる。
そして最後にエクストラスキルだ。これは持っていることが希なスキルだ。このスキルは能力によっては一騎当千の能力を発揮すると言われている。それが真人や達也や美由紀たちが持っているスキルがそれだ。
最強の覇者、多重魔法、狂戦士など三人が持つスキルがそれに当てはまる。そして一真が持っている、融合、分離、魔徳も一応エクストラスキルの部類に入るらしい。しかし一真が持っているスキルは、この国が持っている膨大なスキルの情報には無いということである。スキルの能力が何なのか分からないので、使い方も分からない。
(字面からして、融合と分離はまだ想像が付くけど、魔徳と一体何なのだ)
一真は魔法の座学を受けながら、自分のスキルについて考えていた。達也がエクストラスキルのことを聞くと俺の肩を思いっきり嬉しそうに叩く。
「すげえじゃん、一真。お前エクストラスキル三つも持ってることになるぞ」
「まあ、そういう事になるな」
達也は一真の言葉に拍子抜けしたような顔になる。
「何だよ、もっと嬉しそうな顔しろよ。あの秀一でさえ、エクストラスキルは二つしか持ってないんだぜ」
達也の言う通り、噂によると秀一はエクストラスキルを二つ持っていると言うことだった。
「まあな、確かに」
一真は笑顔で達也にそう答えたが、内心は笑顔ではいられなかった。
(確かにエクストラスキルの数は秀一より持っている。だけど噂によると秀一のエクストラスキル二つは、エクストラスキルの中でも、かなり強力な方に部類されるスキルらしい。一方俺の方は使い方の分からないスキル三つだ。数が多くても手放して喜べない。それにエクストラスキルかも知れない物をもう一人持っている奴がいる。それは優吾だ、たぶん強力なスキルの可能性が高いだろう。あんな意味深に???になっているのだから)
そんな優吾も最初のころは、授業に来ていたのだが、真人たちの嫌がらせが酷いので、途中から魔法の授業に来なくなった。
真人たちは何も考えずに、勇吾が弱いことをからかっている。一真以外の三人はステータスがこの中でもかなり上位だ。訓練にかこつけて、勇吾をいじめている。魔法の的や剣技スキルの試し斬りなどに使っている。最初の時は美羽や優香が間に入ったが、優吾にこれ以上関わらないように言われたて、止めには入らなくなった。
そして魔法で直ぐに傷が治ることも、この行為に拍車をかけている。死ぬような攻撃をしなければ、翌日には大抵治るからだ。美羽が優吾を魔法治療しているが、このままでは勇吾を殺しかねない。一真は勇吾が死なないよう、真人たちにばれないように、無言で治癒魔法をかけ続けた。一真の魔力量も少なく、イメージを強固にする呪文も無しに治療するのは、至難の業だった。最初やった時には、イメージ力が足りなくて、魔法を殆ど魔力で発動していたので、魔力が枯渇しかけたせいで、頭痛のあまり倒れそうになっていた。さすがにそれ以来は、そんなへまをしないように、治癒の規模を小さくして、魔力を調整した。少しすると優吾は剣の訓練にも来なくなった。一真は一応魔力も訓練で増え、剣もそれなりに様になってきた、まだ剣のスキルは獲得していなかったが。