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29 魔族とグリフォンと依頼

先週投稿出来なかった分、後一話か二話投稿する予定です

(中々起きないな)

俺は仮の宿として使っている洞窟で、焚き火をしていた。すでに太陽は沈み、すっかり夜だ。魔族はグリフォンが大事に胸に抱えている。焚き火をしていると言え、夜は流石に冷える。グリフォンもそれが分かっているようだった。

(明日には目が覚めるだろうよ、正直目が覚めたら、いなくなってくれた方が良い。面倒事には関わりたくない)

「ガハハ、まあそう言うな」

ゼノンはそう言うと葉っぱの上に置かれている兎を丸呑みする。それと同時に俺にも満腹感が訪れる。今片手がゼノンの顔になっていて、ゼノンが食べることによって、俺も腹が満たされる。俺は余っている兎をグリフォンに放り投げた。グリフォンは兎を空中で器用にキャッチする。

「グルル?」

グリフォンが疑問げに鳴いてくる。

「食べろ、お前の分だ」

グリフォンは少し食べるのを躊躇うが、一齧りして様子を伺う。毒が入っているか確認しているのだろう。一口目でなんの変化も訪れなかったようで、グリフォンはそのまま兎を食べる。俺はそれを見届けると、そのまま眠りに入った。


(起きろ、高坂!)

ゼノンが深い眠りついていた俺を起こした。目を開けて、まず魔族がいるかと確認した。俺の目に飛び込んできたのは真っ白な肌の女性だ。女性と目が合うと襲いかかってきた。

「λΕΙΠΦΨξθοΛΡξ!!」

何か叫びながら襲いかかってくる。起きたばかりで咄嗟に動くことが出来なかった。俺は何も出来なかった。


「た、助かったよ」

(気にするな)

俺が何も出来なくても、ゼノンがしてくれた。 襲ってきた女性の体をゼノンが腕を生やして止めてくれたのだ。女性の胴体を両手でしっかりと掴んでくれている。女性は両腕と体をバタつかせて、ゼノンの腕から逃れようとするが抜け出すことが出来ない。

「リーア様、落ち着いて下さい。彼らに敵対する意思はありません!」

どこからだろうか?声がした。この声を聞くと、女性は暴れるのをやめた。

「誰だ!?」

俺はその声の主を探そうと辺りを見回す。だが辺には人の気配はしなかった。

「ここだ、このたわけ!」

誰かが俺の服を引っ張る。俺はそちら側に視線を向けると、そこにはグリフォンがいた。

「も…もしかして、喋っているのは」

「私だ、小僧」

俺が驚いて喋れないでいると、グリフォンが話を進める。

「リーア様、私は彼に力を借りることを強くおすすめします。もう時間は残り少ないです……」

「この人間に力を借りろと言っているの?」

女性は非常に不満そうな声を上げる。

「いえ、この愚かな種族では無くー」

おい、今なんて言った?

「彼の中にいる者に力を借りるべきです」

「我の事か?」

ゼノンが俺の肩から顔を出して返事をする。

「そうです。天空の王にして最強の種族であるドラゴン。あなた様の力をこの無力な我らに貸していただきたい」

グリフォンはそう言うとゼノンに頭を垂れて頼み込んできた。

「我は別に構わないが……同居人がどう言うかだ」

そう言うとゼノンは俺に視線を向けてくる。グリフォンはそれを聞くと今度は俺に頭を垂れてきた。

「あなたたち人間こそ知恵に種族です。どうかこの無知に知恵をお貸しください」

「……お前、さっき自分でなんて言ったか覚えているか?」

「チッ。思ったより馬鹿でないようだな、少なくても記憶力が良い様だ」

グリフォンが先程の態度とは打って変わって、こちらを小馬鹿にしたような態度を取る。

「このクソ鳥が、さっさと死んでその翼俺によこせ」

「なんだと、このバカ種族が! 」

俺とグリフォンがこのまま言い合いになりそうになるが、女性が止める。

「やめなさいギブリ。この人間も何を手伝って欲しいのか言わなければ、判断のしようが無いでしょう。まずは自己紹介から始めましょう」

女性がそう言うと自分の胸に手を置いて自己紹介を始めた。

「私の名前はマルバス・アーク・リーア。決して気安く呼ばないでくださいね。このグリフォンはギブリ私のペット」

口調は穏やかだが、言葉にはしっかりと刺がついていた。

「俺の名前は高坂 一真」

「我の名前は黄金竜ファフニールのゼノン」

ゼノンの名乗りを聞いてグリフォンとアークが興奮する。

「黄金竜!?」

「やはり、彼に力を借りるべきですね」

どうやら二人共ドラゴンと言う事は知っていたが、種類までは分からなかったようだ。

「それで一体何を助けて欲しいだ?」

俺は二人のリアクションを遮って早く話をするように促した。

「……弟を探しに来た。弟がこの辺りでいなくなった事は分かってるんです」

「その事なんですが……リーア様、弟君の行方が掴めました」

「?!一体どこに」

「ここから三時間ほど街にいます」

「ならこの話は終わりだな」

俺は早速立ち上がり、その場から立ち去ろうとする。だがそんな俺のローブをクチバシで咥えて、逃げようとする俺を捕まえた。

「ことはそう単純ではない、バカ人間」

「とても人に物を頼む態度じゃないよな?」

俺の疑問の声を無視してアークが話を進める。

「どういう事なの、ギブリ?」

「弟君は人間に捕獲されて公開処刑されるのです」

「それは何時?」

「今日の正午と言われてます」

「あと四時間もないです!?」

アークが焦ったような声を出す。空を飛んで三時間、時間が足りるか足りないかぐらいだな。

「時間ギリギリだな」

ゼノンの言葉と俺の思考が同時だった。

「ですから力をお貸しください」

グリフォンがそう言って頭を下げてくる。俺が思っている以上に事態は切迫している様だ。だけどそれは俺に関係のない話だし、魔族に手を貸すのにもリスクがある。

「見返りしだいだな」

「このクソガキ!」

グリフォンが怒りを顕にして今にも襲い掛かりそうりそうだ。

「おお、怖い」

俺がおちゃらけて言うと、更に地面に爪を立てて土を抉る。

「分かった、見返りに何が欲しいの? お金?」

「金はある」

俺はそう言うと自分の持っているお金を見せた。

「………私達よりよっぽどお金を持っているようね。じゃあ………私の体?」

「いや、いい別に」

俺はすぐに否定した。正直そんなものを貰っても扱いに困りそうだからだ

「じゃあ、一体何が欲しいの?」

アークが苛立って叫ぶように聞いてくる。こうしている間にもタイムリミットが迫っているのだ、イラついても変では無いだろう。

「そうだな……まあ、一つ貸しと言う事で後日聞いてもらうよ」

「ダメです、リーア様! この後どのような要求がされるか分かりません」

グリフォンがアークを止める。値段を書いていない小切手を切るようなことを普通はしないだろう、普通はな。

「それで良いわ」

「リーア様!?」

「今は時間が無い。それにここでシャンを回収しなければ私たちに未来は無いわ。ギブリが力を借りろと言うのは、私達だけじゃ助けられないからでしょう」

アークがグリフォンの首の辺りを優しく撫でながら喋る。

「……はい、その通りですリーア様」

「なら手段は選んでいられない。受けるしかない」



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