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27 決着と生存と旅たち

「ほお、その一撃で決めるか。受けて立とう」

団長が面白そうに笑う。団長は剣を先に当てることを目的とし、リーチを保つために片手で剣を持つ。一真は両手で持って腕力で剣を叩きつけて決着を付けようと考えた。一真は動かなかった。一真から動いたら、たぶん殺されるのは自分の方だと肌で感じていた。一真が狙うのはカウンター一択。


「フンッ!」


団長は凄まじい勢いに任せて、一真に突っ込んでくる。一真焦り、団長の攻撃ごと叩き斬ろうと剣を思いっきり振り下ろした。だが団長が急に動きを止めたことで、一真の剣が空を斬る。団長はこれが狙いだったのだろう。


「終わりだ」


団長は勝ちを確信したのだろう、距離を詰める。一真を確実に斬るために、近づいて来てるのだろう。だけどそれは一真の攻撃が当たる距離でも会った。


「燕返しぃぃ!!」


俺のそんな叫びと共に地面すれすれにあった剣先が勢いよく斬り上がる。団長の鎧をかすり顎から頭まで切り裂いた。


ぶしゃーーー!!


団長の半分に裂けた顔から血が噴き出す。一真は止めとばかりに、団長の喉に剣を突き刺す。団長はそれでも絶命せず、喉に剣を刺したまま襲いかかってくる。俺は咄嗟にソリッドタートルの甲羅を盾として出して、自分を守った。団長は何度か甲羅を剣で叩いた後、絶命した。一真は甲羅が剣を叩く音が永遠にも感じた。音が止んでからも、一真は甲羅の向こう側を見ることが出来なかった。一真が向こう側を見ることが出来たのは、甲羅を叩く音が無くなってから、何分も経ってからだ。


「はあはあ。お、終わった。終わった」」





――――――――――――――――――――――――――――――――――――


俺は止めていた息を吐き出すと、甲羅を仕舞うと同時に、地面に倒れ込んでしまった。

「勝った、勝ったぞ」

(よく戦ったな、高坂。正直、我は負けると思っていたぞ)

「俺はそんなことを考えている余裕な、ん………て?」

(分かっている、高坂の心は我にも伝わってきた)

「あ、あ、ああ」

俺の意志とは別に背中かからゼノンの顔が伸びてくる。

「落ち着け、どうやら我は生きているようだ。我単体の体では生きてはいけないがな」

背中から伸びたゼノンの顔から声が出る。俺はゼノンの顔を掴んで自分の前に持ってくる。

「なんで生きてるんだ?死んだはずじゃ……」

「確かに我は死にかけたが、それは腹を斬られてそこからドラゴンスレイヤーに斬られた影響で内蔵器官がやられたからだ。だが高坂と融合したことで、我の内蔵器官の代わりに高坂の内蔵器官を使うことで生き延びることが出来たのだ。今我の内蔵器官は仮死状態で回復中だ」

ゼノンの言葉と共に俺の頭にアスカロンで腹を斬られる映像が頭を過る。ゼノンの記憶のようだ。

「生きたまま融合すると……魔力、内蔵器官、それと感情?……記憶・思考の共有があるようだ。いや共有なのか?これは……」

「記憶の共有?」

「高坂の好みのメスは色白系の黒髪長髪」

「?!」

「そしてー」

「わ、分かった、やめろ、やめろ!」

俺は無理矢理それを続けようとするゼノンの口を閉じる。だけどゼノンは、そんなのをものともせずに話を続ける。

「高坂お主だって、我の記憶を見たのだぞ。お互い様だ」

「え?」

「貴様があの武器がドラゴンスレイヤーだと、何となく分かっただろう。それだぞ」

戦闘中であまり気にしなかったけど、確かに見ただけでドラゴンスレイヤーの武器だと分かった。それはゼノンの記憶にアクセスしたことで分かったのだろう。

「その通りだ」

「勝手に思考を見るな!!」

俺とゼノンの意識の間に分厚い壁が出来る。何となくこれで記憶や思考は共有出来ないだろう。

「ああ、何てことを!? まだ見終わっていない漫画があるんだ!!」

「一体俺が戦ってる間に、何やってるだ?!」

「漫画を読んでた。高坂の世界は娯楽や知識が非常に興味深くてな……」

「悪びれもしないのか…」

俺がじーっと見てると、言い訳がましく喋りだす。

「いや、だって、ほら。我だって魔力を使わせてやったぞ」

「あ、だからファイヤーボールがあんなに大きくなったのか」

俺は戦いの時の記憶を思い出して呟く。あれは俺の魔力だけでなく、ゼノンの膨大の魔力を使った結果、大きな炎の玉になった。

「な、だから我に漫画の記憶を」

ゼノンの顔は極上の食べ物を目の前に『待て』を言われてる、犬のようだった。一体どんな漫画を見ているのだろうか?

「う~ん。思考はマンションの壁程度にして、それに関しての知識系は共有。それと自分自身の記憶は秘匿でいいか?」

「それで構わないぞ!!」

これでゼノンの尻尾が出ていれば犬のように振り回していただろう。

「これ、何を考えている」

ゼノンが怖い顔をするが怒っていないことは筒抜けだった。

「これからどうするかと考えてな」

「取り敢えず、この土地から出たほうが良いだろう。騎士団が帰ってこなければ、村で待機している騎士の仲間が探しに来るだろう。あまり長居はオススメできない」

「分かった、けど路銀とかどうする?」

俺が色々と考えていたが、ゼノンは俺がそれを口に出す前に全て答えてくれる。

「金は我の財宝から持って来れば良い。路銀に関しては空を飛べばそこまで掛からない。だが流石に裸足では問題があるだろう。財宝の中から適当な靴を履くことだ」

俺は財宝の中に走り寄ると適当な靴を見繕った。靴はウルフマンの足に変えた時に壊れてしまっていたから、丁度良いだろう。俺は靴を履くために手足を自分のに変えた。

「これで良いか?」

「ああ、それと適当に硬貨を持っていけ。それと高坂が思っているようなアイテムボックスの魔法やバックは無い。持っていくものは制限があるからな。考えて持っていけ」

ゼノンはやはり俺の思考を文字通り先読みして答えてくれる。

「だいたいそんなものがあったら、我は財宝をこんな所に隠さずに常に持ち歩いている」

「おっしゃる通りで」

俺は適当に銅貨、銀貨、金貨を掴んで袋に詰め込む。それが終わると自分のステータスカードが入っている定期の鎖に縛り付けてローブの内側の手袋に入れようとした。

「待て、その血塗れのローブでは目立つ他の服を着ろ。他にも似たようなローブもある、それを着るんだ」

俺はゼノンに言われた通り、すぐに着ていたローブを脱いだ。ローブは腕のところはすでになくなっていて、俺の血でびしょびしょだった。とてもじゃないけど、人前に出て行ける服装では無かった。俺は硬貨をかき分けて、ローブを引っ張り出した。引っ張り出すと俺は着る。

「うん、丁度いいな」

それで俺はローブのポケットの中に財布を入れる。今回のローブは前がボタンで止められるようになっていて、腰の部分は紐で縛れるようになっている。ジ

「ついでだ、その男が持っているアスカロンを貰っておけ」

「大丈夫なのか?ドラゴンスレイヤーだけど?」

かすり傷だけでもドラゴンにとっては致命傷だ。

「鞘に入れて持ち歩けば大丈夫だ。それにこのまま人間の手に渡るよりはマシだ」

「分かった」

俺はそう言うと団長の指から剣を外し、腰についている鞘を外して腰につけた。

「最後にこの財宝をどこかに隠したんだが……どうすれば……」

ゼノンの首が右往左往と動き回る。

「放置するかないだろう?」

「うむ、まあそれしかないだろう。しかし……」

ゼノンが未練がましく財宝を見つめる。

「ほら、行くぞ。騒ぎになるのは嫌だからな」

俺はそう言うと外に走り出そうとしたが、足を止める。

「しまった!出入り口を」

「そうか我は財宝の隠し方を思いついたぞ」

そう言うとゼノンは顔を洞窟の天井に向けて、空気を吸い込むと吐き出した。ゼノンの吐き出した息が付くつの天井を崩していく。

「な、何した?」

「毒ガスを吐いただけだ。毒ガスで岩を溶かして出口を作る。そしてー」

ゼノンの視線が財宝のあった場所に向けられる。

「おお!」

俺が感嘆の声を上げる。宝の上には溶けた天井が落ちていく。財宝は溶けることなく、財宝に落ちた時点で固まり始めて、財宝を隠していく。

「これなら誰にも財宝は取られない」

ゼノンは満足そうに鼻を鳴らすと、今度は炎を吐き出した。

「ゼノン何してる?」

「残った毒を燃やしているのだ。この毒は燃やす……酸化させると酸性が中和されるのだ」

「………いつの間にそんな科学知識を?」

「高坂の頭からだ。中々興味深いぞ」

どうやらすでにゼノンは、俺の頭の中にある知識を色々と見ているようだった。ちなみに黄金竜は炎以外に自分の体内で生成した色々な毒をブレスとして使うことが出来るみたいだ。俺の科学知識を使ってとんでもない毒を作り出しそうで怖くなる。

「それでは行くぞ」

ゼノンはそう言うと俺の腕からさらに自分の腕を生やして、勝手に服のボタンを外して上半身をはだけさせる。

「おいおい、何を!?」

「飛ぶぞ」

それと同時に体が空に浮く。背中からゼノンの翼が生えて、空気を叩いて空に舞い上がろうとしている。

「うわあああああああああ」

俺のそんな叫びと共に物凄い速さで洞窟を抜けて、空に舞い上がる。俺は手足を思わずバタつかせてしまった。

(お、落ち着け!高坂。暴れるとバランスが崩れて落ちるぞ)

(わ、分かった)

心に直接語りかけられて、すぐに落ち着く。ゼノンの落ち着きようが俺にも伝わって、すぐに落ち着く。

「でこれからどうする?」

「そ、そうだな」

俺は上空から周りを眺めながらこれからどうするか考えた。考えた結果


「取り敢えず、ここから遠くに行こう」

俺はこの世界に地理に詳しくないので、これしか言えなかった。

「そうだな」

ゼノンも特におすすめの場所があるようではないので反対しなかった。



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