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18 追求

更新したつもりで 清書しただけで忘れてました 

一真の目の前の通路をクラスメートが走り抜ける。そしてすぐ後ろからビャクガンが転がりながら迫ってきていた。


「走れ、もっと早く!!」

「押すな、押すな!」


女子が一人、一真の目の前で転ける。その上をビャクガンが転がろうとする。


「大切断!!」


クラスメートが走っていた先から人影が飛び出して、三メートルはありそうな大きな剣で、転がるビャクガンを止める光景が一真の目に飛び込んだ。


「あれは……優吾!」


ビャクガンを止めたのは優吾だった。優吾が持っている剣もよく見ると、刀身が魔力によって伸びているようだった。


確かに楓のように矢を魔力で作れるのだから、魔力で刀身を延長することは可能だろう。だけど優吾の魔力では……


一真はそこまで考えて、優吾の姿を改めて見ると優吾が何かを口に咥えてるのが見える。


MPポーション?!


一真は驚いて目を見開いた。優吾が驚きの手段で自分の魔力の少なさを補っていることに。だがそれと同時に優吾に驚異を覚えていた。優吾は一真が昨日渡したヒントのMPポーションと昨日から今日までの短時間で、この技を考え出したのだろう。魔力により剣技。一真のとは形態が違うが考え方は全く同じだろう。


ズザザザ!


優吾の足が少しずつ下がる。さっきまで拮抗状態だったが、優吾が押され始める。MPポーションが切れればあっという間にビャクガンに潰されるだろう。優吾はそれを理解しているから、MPポーションの消費抑えている。その結果、力が弱まり徐々に押されていく。優吾はこの状況を打開しようと、辺りを見回し一真と目が合う。一真は一瞬ピクリとなるが、優吾が視線で何かを示す。一真はそれに釣られて優吾の視線の先を見る。そこにいたのは楓だった。先ほど転んだ女子は楓だったのだ。一真はそれで優吾が何をして欲しいのか伝わった。一真は躊躇ったが、すぐに楓の元に駆け出した。一真は楓の下までたどり着くと、体を持ち上げた。これまでの筋トレで一真は女性一人ぐらいなら抱えるぐらいは出来るようになった。一真は楓を抱えてビャクガンから急いで離れた。背後では優吾が必死にビャクガンの進行を押さえ込んでいる。




俺が楓を隊の最後尾まで連れて行った時、誰かが泣き叫びながら、優吾の名前を叫ぶ。俺はそれを聞いて振り返って背後を見る。優吾の背中から槍が突き出て、血溜り優吾の足元に出来る。ビャクガンの体を覆っている装甲から飛び出していたのだ。泣き叫んでいたのは美羽だった。

「天海さん……」

美羽は優吾を助けようと回復魔法を唱え始める。それを見ると同時に秀一と幸助が同時に動き出すだが……

「もういいや、帰っておいでビャクガン」

あの魔族アガレスの声だった。アガレスのその言葉と同時にビャクガンの体が光消えた、ビャクガンに貫かれた優吾と共に。


「優吾君!!いやああああああああああああ!!」


美羽の悲痛な泣き叫び声がダンジョンに広がった。美羽は先ほどまでいた優吾がいた場所までよたよたと走りより、力が抜けたように優吾が作った血溜りの中に崩れ落ちる。脅威はいなくなったが、手放して喜べる状態では無かった。


一真達はダンジョンから出ることができた。泣いてる者、下を俯いてる者、喜んでいる者はいなかった。




一真たちがお城に戻ると、魔族がいた事、優吾が死亡したことを口止めされた。魔族がダンジョンに潜んでいるとなったら、パニックで街が大変なことになるからだ。優吾のことは、勇者が一人死んだとなると外聞が悪いからだ。だが人の口には戸を建てることが出来るはずもなく。勇者の誰かがが死んだことは広がってしまった。ダンジョンから意気消沈して出てくる一真たちをみれば誰もが想像出来る。





「これから審判の儀を始める」


一真を中央に一真の前にこの国の王様のローゼウス・バーレルとその他の法律の専門家数人と主要な貴族達。一真の背後にはクラスメートだ。一真は今裁判に掛けられていた。話は今日の朝食の時まで遡る。




ガシャーン!!


皿が落ちて割れる音。全員の視点がその音の原因に集まる。秀一が幸助と一緒に昨日のダンジョンのことについて一真の行動を追求しに来たのだ。その時一真の胸ぐらを掴んで立たせた。その時に一真の手が皿に当たり床に落ちたのだ。


「一真君、君は自分が悪いと思わないのか?君がみんなを置いて逃げたせいで、騎士団のみんな、それに優吾君まで死なせたんだよ!」

一真はそれに心の中で舌打ちをした。秀一が自分に絡んできたことにもイラついていたが。一真が一番忌々しいと思ったのは、秀一の行動だ。秀一の行動で嫌が応でも、秀一の荒げた口調と胸ぐらを掴まれたことで落ちた皿のせいでクラスメート全員の視線がこちらに集まる。これで全員が注目する中俺が逃げ出したことを宣伝することになる。一真にとって非常に嫌な状況であった。秀一がこんなふうに一真を糾弾すれば、あの事件全てが一真のせいになりかねない。一真はどうしたら状況が悪化しないのか、冷静に考えた。そして取った行動は……


「………」


無視だった。一真は何も言わずにゆっくりと席に座り直して朝食の続きを食べた。ここで何か反論したところで、状況が悪くなる可能性の方が大きいからだ。いつの間にか落としたら皿はメイドに回収されて、綺麗に片付けられ、一真の席には新しいお皿が用意されていた。


「おい、何とか言ったらどうだよ!」


痺れを切らした幸助が一真の肩を掴んだ。一真はそれと同時に幸助の胸ぐらを掴んで、自分の目線まで下げて、小声でしかし、周りのクラスメートに聞こえるように言う。


「王様に言われた事を忘れたのか?」


王様に口止めされていることだ。これでクラスメートには黙っているのは、自分が不利だからではなく、王様の言いつけを守っている、と伝わっただろう。一真の言葉に秀一と幸助は黙って立ち去る。一真はこれで秀一達からの追求は終わったと思っていた。だがそんなことは無く、秀一は仲良しお姫様を通じて、一真に対する追求を裁判として執り行った。



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