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11 二回戦

真が闘技場に出ると、訓練で使われている杖を持った男子が現れる。


こいつは杖以外に武器を持っていないところを見ると、魔法一筋だな。


「東の方角は先程、素晴らしい戦いを見せてくれた、タカサカ カズマだ。おや?先程と木刀の形が違うぞ。見たこと無い形だ」


そう、これは俺が騎士団長に頼んで作って貰った物だ。俺が作って貰ったものは、刀の木刀だ。この世界で見るのは、全て西洋剣で日本刀が無かったのだ。


「西の方角はでスキルは火魔法レベル4と土魔法レベル5だ。エクストラスキルは持っていないが、魔法レベルはかなりのものだぞ」


一通り、アナウンスが終わると、審判がやって来て、先程と同じ説明をする。



俺は腰に刀の木刀を添えて、構える。


「それでは、始め!」


男子は後に下がりながら一真に杖を向けて魔法を唱え始める。


「炎「柴電」ごはっ!」


男子はいつの間にか、目の前にいる一真の一振りを体に受けていた。一真の体の勢いと刀の木刀を抜く速度で、勢い良く体が転がっていく。




魔力が少ない俺は、魔法主体で、戦う事は出来ない。だとすると剣術しかない。剣術と言っても、レベル1では、対して使えないだろう。そこで真人のソニックスラシュ、秀一の連続剣技を見て思い付いた事。それは魔法による剣術だった。最初は普通の木刀でやろうとしたが、技が複雑過ぎて出来るようになるには時間が足り無かった。縱斬りや横斬りを技にするには、単純な動きで、俺が技として認識出来ない事が問題だった。技として認識出来て、且つイメージするのも楽な剣術にしたのだ。



それが、居合いだ。



そう、これが俺に刀の木刀が必要だった理由だ。居合い。世界で一番速い最速の剣技だと言われているものだ。鞘から刀を抜くと同時に攻撃に入れる。単純な技だ。単純な技だが、俺のような素人が、達人のような居合いを出来る訳が無い。何年も修行して、出来るようになるのだ。それを魔法で発動させるには、それなりに苦労した。文字通り一日中振っていた。


仕上げに、野喜美さんに居合いを見せてもらい。イメージを固めた。


本当なら、木刀の刀を鞘に納めて、次の攻撃に対応出来るようにしたかったが、生憎時間が足りなくて、出来なかった。



だけどこれを選んで正解だった。魔法を発動する前に倒せるとは思わなかった。



一真は吹き飛ばされた、男子を見つめながら思った。これなら半分以上が普通に勝てるんじゃないかと。



審判が男子に近づいて、様子を確認している。審判は立ち上がると、



「西の方角男子、戦闘続行不可能。よって、東の方角タカサカ カズマの勝利」



審判の一真勝利宣言と共にアナウンサーが吠えた。


「カズマ、先程武器を変えての登場だったが、自分より格上の男子をあっという間に倒してしまったぞ。先程戦いは準備運動だったのか?!」


一真はそんなアナウンサーの声を背に受けながら、控え室に戻っていた。

一真は控え室にいる人間に頼んで、水を持ってきてもらい、それを持ったまま真人達がいる観客席に向かった。

「おう、2連勝おめでとう。何だよ、優吾との戦いの時手を抜いてたのか?」

一真の勝利を労いながら、話題は一真の先程の戦いの話に当然なった。

「優吾ごときに本気を出す必要無かったんでしょう?」

「まあ、あれだけ凄い剣術を持っていれば、優吾には使わなくても余裕だろう」

真人たちの言葉に一真は笑いながら答えた。

「まあな、あれは優吾に使わなくても大丈夫と余裕かましてたら、負けそうになったけどな。二回戦目からは本気だして、相手を瞬殺だったけどな」

「マジ、本当に瞬殺だから、笑ったわ」


「一真、あの技何だよ?」

一真はそこで黙ってしまう。一真はその問いにどう答えるか迷ってしまう。


正直に答えれば、この技は誰でも練習すれば使えてしまう。俺の強みが使えなくなってしまう。からと言って、黙っているのも心証に悪い。くっそ、この事態を想定して置くんだった。



「ほ、はら一真の切り札なんだし、簡単に人に話せないんだよ」

達也が助け船を出したが、これでは逆効果だった。それだと一真が真人たちを信用していないみたいになってしまう。

「いや、違う。そう言う事じゃないんだ」

一真が急いで否定するが、否定した所で、代わりの答えが出せるわけでも無かった。

「エクストラスキルのどれかか?」

「え?」

「あの技にはエクストラスキルが関係しているじゃないか?」

真人が無自覚だろうが助け船を出してくれる。一真がそれに乗らない手はなかった。


「あ、ああ多分そうなんだ。どのスキルかは分からないけど」

一真は頭をかきながら誤魔化した。

「へえーそうなんだ」

「分からないんなら、仕方ないな」

達也たちはそう言って納得する。その後一真は真人たちと久しぶりに楽しく会話した。一真は話しながら他の人間の戦いを観察して、自分が勝てるかどうか考えていた。


余裕で半分以上の順位にはつけそうだな。


殆どの人間は一真の攻撃より素早く動くことは出来ていなかったからだ。



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