地獄の沙汰も魂しだい
「あーそういえば一番初めに必ずいわなあかんこと言うの忘れたわ」
おいおい今頃言うなよ
「別に裁きに直接関係無いねんけどな、閻魔家に昔から伝わるありがたい言葉があんねん」
「これゆうとかんとまたおじんに起こられるしな」
またって何度も忘れてるのかよ
「わしら閻魔は沢山の魂を見てきた」
「鬼それぞれ好みはあるけどみんな一生懸命生きてきたからどれも綺麗やんねん」
「それなのにお前ら亡者はどうしてこうも比べたがるんやどうして一番になりたがるんや」
「世界にひとつだけの魂は一人一人違う輝きをもつねん」
「だから魂を輝かせることだけに一生懸命になったらええねん」
「あのー熱弁中悪いのですけど。それってSMAPの有名な歌ですよね?」
「なんやSMAPって。先祖代々昔から伝わるありがたい言葉やゆうてるやん」
「いやおじいさんに言ったほうがいいですよその言葉、現世にあるって」
「そんなんおじんにいえるかい」
「いやご先祖さんパクッてるって言った方がいいですって」
「俺が作って俺がゆうんやから間違いないねん!」
やっぱりバカ閻魔の考えだったか
「閻魔さんさっきから携帯電話の音なってますよ」
閻魔なのに着メロにしてるよ
しかもこのメロディやっぱりSMAPの『世界に一つだけの花』じゃん
「もーおかん仕事中に連絡してくんなや」
「大丈夫やってもうはんこ押し間違えて地獄に送ったりせえへんって」
なんか怖いこと言ってるよ
「わかってるちゃんと先祖代々に伝わる言葉も忘れてへんって」
初めに言うのは忘れてたけどね
「はいはい分かったじゃあな」
「クソババア。仕事中にかけてくんなちゅうねん」
「けどなあ俺のこと心配してかけてくれてんねん」
そら心配だろう。間違って地獄に送るんだから
「あんなんでもな俺の大事な親やねん」
「『世界に一つだけのババア』やねん」
メロディつけて歌わないでよ
「親は大事にしなあかんなあ」
「さっきは心労で倒れてんのに明日香のポイント調べさせようとしてごめんなー」
「母さん」
えーーーーーーさー婆さんがお母さんなの?
なんか実の母親に地獄よりつらい苦しみ味あわせようとしてなかった?
あんた超親不孝者だわ




