第四話 現状理解は家族紹介
昨日に続き今日も投稿です。書きだめがいくつかあるので早いうちに読み物として楽しめるくらいには投稿しちゃいたいです。
この世界に転生してから早半年の歳月が過ぎてここでの生活にも慣れてきた。
今回は今まで得てきた情報を公開しようと思う。
まず一番大事な部分だがここは日本ではない、ましてや時代が違う、中世ヨーロッパが近いだろうか、そして何よりも俺の知ってる世界でもない。エリーゼを見れば分かるがあの耳は本物らしい、前に触らせてもらったが本物の感触と温かさがあり、本来耳がある部分に人の耳は無く、もみあげからずうっと後ろまで髪の毛が生えていた。他にも決定的な物があった、《魔法》が存在するのだ。
基本的に夜中はロウソクやランプの灯りを使っているのだが、ある日買い置きしていたロウソクが切れた、その日の夜、エリーゼが何かをボソボソと呟いた後にピンと立てた人差し指の指先が急に光りだしたのだ、明るさはロウソクよりも明るく前世で例えると蛍光灯くらいには光っていた、つまりこれはエリーゼが特別光りだす体質か魔法を使ったかのどっちかだろう。 魔法については気になるがそれはまた追々…
次は俺の住む家についてだ、この家は割と裕福な層に分類されるらしい、メイドは二人雇っているし、詳しい話はよく知らないがウチの親父は爵位を持っているらしい、聞く話によるとあまり高くはないそうだが。
それとこの家の住民は現在6人だ、『現在』と言うには訳があって実は俺には7つ上の兄が居るらしいからだ。名前は《エリオ》今は王都の学校に通っていて寮暮らしだそうだ。エリーゼが言うには俺も6歳から9年間通わされるとのことだ。俺が入学するときに兄は13歳か、卒業の2年前だな。
今この家に住んでいるのは俺こと《アルバート・ウィルホーキンス》と両親、二人のメイドともう一人だ。父親の《ローズベルト・ウィルホーキンス》、容姿は黒髪に黒目で無精髭を軽く生やしている、年齢は30歳くらいに思える、人前ではいつも仏頂面をしており、亭主関白と言う言葉が似合う男だが仕事にヒマさえあれば遊びに来てくれる良い親父だ、良い親父ではあるが俺と二人っきりの時に自慢の髭で俺の顔をジョリジョリと頬ずりするのはやめて欲しい。母親の《メアリー・ウィルホーキンス》 、金髪碧眼で右目の下の泣きボクロがチャームポイント、腰まであるストレートの綺麗な髪をよくエリーゼに自慢している、胸は非常に大きい(FかGくらいは余裕であるだろう)、いつもタレ目で笑うときに目を細めると神々しさまで伝わって来るような慈愛に満ちた笑みを浮かべる、これは決して俺がマザコンであるとかそういうことでは無い...と思いたい。そしてこの母は親父を尻に敷いている、いつだったかローズベルトが仕事を放ってまで俺のところに遊びに来ていたとき、メアリーが普段の慈愛に満ちた表情からは想像もつかない鬼の様な形相で彼の襟首を掴み投げ飛ばし、倒れたところを叱りつけていた。メア...いや、お母様のことは怒らせないようにしよう、怖すぎる。
そしてキツネ子さんこと《エリーゼ・イルマーク》、金髪に黄色い瞳を持っていて少し目はつり目気味、本当は長い髪を後ろで短く括って仕事に支障を来たさないようにしている。俺と遊ぶときによくキャーキャー騒いでお母様にしょっちゅう叱られている。もう一人のメイドは《シャルル》だ、シャルルの姓はまだ聞いたことが無い、赤の強いピンク色の髪はショートヘア、くるくるとしたクセっ毛で、よく指を絡めて弄っている。ルビーのように赤く透き通った瞳はいつも半開きで眠たげで、俗に言うジト目というやつだ。エリーゼとは反対に落ち着いていて、口調も静かで淡々としている。しかし、よくこっそりと周りを警戒して俺に会いに来ると顔をほころばせ、そっと俺を抱き上げて力いっぱいに抱きしめてくる、だが痛みはあまり感じず、多少苦しいくらいのものなので俺の命に別条はない。エリーゼとシャルルはホントの姉妹の様な仲で、二人でお互いの足りないところを補い合っている。
そして最後の住人だがこれが全くの謎だ、いつも真っ白な服を着ている真っ白いロングヘアーの可愛らしい女の子、年は14歳くらいだろうか、名前を聞いたこともないし、そもそも俺以外の住人には見えてないんじゃないかと思っている。この前もエリーゼに遊ばれている時にドアの隅からこっちを眺めていたので気になったから指差してみる、だがエリーゼは
「そこに何かあるんですか?ワタシには何も見えませんけど」
とのことだ、この家の中でイジメられているとかそう言うことでは無さそうだが。
開けっ放しのドアから顔をひょっこり覗かせて俺と目が会うと嬉しそう手を振ってきたり、たまに俺の寝ているベッドまで来て俺の顔を覗いたりしてくる。そこで俺はある仮説を立てた。
「(幽霊なんじゃね?)」
ってか今目の前で浮いてるし...。
次回、ヒロイン登場