第三十七話 救世主登場!?
場所は変わってセリーヌの部屋。
「さて、説明してもらいましょうか」
俺、アガーテ、パルティアの3人はセリーヌの自室で正座させられている。
「いや、セリちゃん。これには深ぁ〜いわけが...」
「寮長です。今は貴方達への処分を決めなくてはなりませんので、プライベートな呼び名はよして下さいワイスローダさん?」
「は、はい。寮長...」
ダメだ、あの目は完全に仕事と割り切っている目だ、情に訴えかけようだなんて思っちゃダメだ。さて、どうしたもんか。
チラリと2人の顔を見るが両方共策は無さそうだ。パルティアはセリーヌに指摘され落ち込み、アガーテは必死に打開策を模索しているが何も思いつかないと言った苦虫をかみつぶした表情をしている。
「(ここはやっぱり俺がやるしかないか...)」
本日何度目かわからない演技をまたやろうと思う。
「セリお姉ちゃん、アタシっておとこなの?」
「え?...えぇ」
「でもでも、おとーさんもおかーさんもアタシはおんなのこっていってたよ!」
「そんなことないです、その...下半身のソレを見れば分かることです」
セリーヌは手で顔を隠しながら俺のマイサンを指差した。
「これ?おかーさんがおとなになればとれるっていってたよ?」
「あ、ありえません!」
「いってたの!」
「ありえません!」
「いってた!!」
「絶対に、ありえません」
「うぐっ、いって...ひっく、いってた...いってたもぉおおおおん!!!びえええええん!!!」
俺はえぐえぐと泣き出した、これには意外だったのだろうセリーヌはオロオロと取り乱し始めた。ちなみにこの時アガーテとパルティアの2人は目を点にして俺のことを見ていた。
「な、泣くことのことじゃないでしょう!?」
「いってたんだもぉぉぉん!!」
「う...えっと...どうすれば...」
セリーヌは2人に助けを求める視線を送っていた。
「ど、どうすればって...」
パルティアが言葉に詰まっているのですかさず俺が視線で演技だということを教える。
「あ、あーー!!寮長がアリエルちゃん泣かした!!」
「んな!?泣かせてません!!」
「いけないんだー!!せーんせーに言ってやろー!!」
「(小学生か!!)」
俺がパルティアとセリーヌの一連の流れを見て心の中でツッコミを入れているとアガーテがセリーヌに耳打ちをしに行った。俺は霊力操作で聴力を引き上げ、会話を聞いた。
「寮長、ちょっと」ボソッ
「な、何かしら?」
「実はアリエルは男でありながら女として育てられたと言う境遇なの」
「え?」
なるほど、そういう設定で話を進めるのか。
「そ、それってどういうことですか...」
「彼女...いえ、彼の家はずっと男兄弟しか産まれなくて、彼は6番目の弟なのよ。そろそろ女の子が欲しいと考えていた両親はまた男の子が産まれた、だから逆の発想で女の子として育てれば良いじゃないって」
「それってつまり...」
「えぇ、アリエルは自分が男だって知らずに育ってきたのよ。だから今回のことは見なかったことにして、彼に女の子として接してあげて欲しいの」
ナイスな落としどころだ、後は俺が演技しながら話を引き継げば...
「坊ちゃまああああああああああああああ!!!!」
突如どこかで聞いたことのある声が聞こえると、その声の持ち主が天井を突き破って落ちてきた。
「坊ちゃま!坊ちゃまあああああああああああ!!!!!」
エリーゼ・イルマークだ。エリーゼは俺を見つけるとアメフト選手ばりの強烈なタックルをカマしてきた。
「うぐぅえっ!?」
「坊ちゃま!!心配いたしましたよ!!」
と言うかコイツ女装した俺を一瞬で見破りやがっただと!?
「ばっ、エリーゼ!苦しいからさっさと離せ!!」
「い〜え、離しません!丸一日ワタシを心配させた罰ですぅ〜!」
「それはお前が早起きしないのが悪...ぐぇえっ!」
いきなり現れた狐耳のメイドに驚きを隠せない残りの3人は目を点にしてコッチを見ている。
「だ、誰なんですの貴方は!?」
理解不能の連続に耐えきれなくなったセリーヌが口調を少し間違えてそう叫んだ。
〜数分後〜
「説明して頂きましょうか?」
正座組に一名加わった計4人が一列に並んでいる。部屋自体そんなに広いものではないので流石に5人も入ると窮屈だ。
「(さて、どうしたもんか。もう隠しきれんぞ...)」
周りの3人に目を配る。アガーテはもう無理だと悟ったようで、諦めの表情をしている。パルティアは未だに何が起こっているのか理解できていないようだ。そして場をかき乱した張本人のエリーゼは...
「でへへ〜、坊ちゃまぁ〜♪」
こりゃ弁明の余地は無ぇな。素直に白状するとしよう。
「えー、今までのことは全部嘘でした。すいませんでした」
人間悪いことしたらまず謝罪だよね。と言うことで俺は元日本人の魂で綺麗な土下座をした。
〜説明なう〜
「なるほど、つまり貴方はあのエリオット・ウィルホーキンスの弟、アルバート・ウィルホーキンスで2年後に入学するので見学してたら2人に出会い、回っているうちに仲良くなって拉致されたと...」
「そう言う事です」
俺は事実を言ったまでだ。
「「ちがっ!?」」
「はぁ、まさか貴族の方を拉致するなんて...貴方達、どうするつもり?」
もう怒鳴る気にもならないのか、呆れた声音でセリーヌは2人に問いかける。
「招待!招待だよ拉致じゃなくて!!」
「そうよ!ヴァロッサ様が招待なら罪にならないと言っていたわ!」
「本来、男子をこの女子寮に招くことは、禁じられています」
「だから、問題にならないように女装させて...」
「そこです、悪いことをしていると自覚していながらそれを隠そうとする考えがこのような事態を引き起こしたのです」
「でも、そうでもしないと入れられないし...」
「しかし入学規定未満の年齢であれば寮長の承認が降りれば寮に入れることは可能ですよ?」
「「「え?」」」
今この女子なんと申したか?
「ですから、6歳未満なら私の許可があればこの寮に入ることは可能ですよ?」
「「「.........」」」
「おい...」
俺が2人に声をかけると同時にそっぽを向いた。
「おい!どういうことだよ!!」
「いやぁ〜、そんなこと知らなかったしぃ〜」
「生徒手帳にそんなことも書いていないのが悪いのよ」
「書いてありますよ?」
「「え?」」
セリーヌが取り出した生徒手帳はアガーテとパルティアの取り出したものとは若干違っていた。新しいのだ。
「え、何それ。新品?」
「貴方達見ていなかったんですか?」
「何を?」
「このあいだ配布した手紙のことですよ、生徒手帳に修正と記載事項が変更すると言うお知らせの」
「何それ!?私は知らないわよ!?」
「私も知らな...あ...?」
一同の視線が一斉にパルティアへ向けられる。
「もしかて...あれかな...?」
〜10日ほど前 パルティア視点〜
「うぅ...先生宿題出しすぎだよぉ〜」
今私の目の前には軽い百科事典ほどの厚みをした宿題が積み重なっている。
「パルが授業聞かないのがいけないんでしょ?」
「でも〜...」
「でもじゃないの、じゃあ私は先にお風呂行ってるわね」
「うぅ、いってらっしゃ〜い...」
バタン
「いくらなんでもだよぉ〜」
部屋に一人になった私は抑えきれなくなってそんな泣き言を喚いていた。するとそんなとき...
コンコン
「?開いてますよー」
「失礼します」
「あ、セリちゃん!いらっしゃーい」
セリちゃんが訪ねてきた。
「今は寮長です。コロンさんはいらっしゃらないんですか?」
「あーちゃん私を置いて先にお風呂行っちゃたんだよ〜」
「そうだったんですか」
「そうなんだよ〜、だから意地でもここでセリちゃんを引き止めないと寂しくて私死んじゃう」
「寮長です。それに、まだ仕事が残ってるんですから。はい、これ」
セリちゃん改めて寮長が一枚の紙を渡してきた。
「何これ?」
「学校から通知の手紙です。寮生全員に配布しなくてはならないのでいつまでも油を売っているわけにはいきません」
「ふーん、そっかぁじゃあ仕方ないね。お仕事頑張ってね〜」
「はい、お暇が出来たら遊びに来ますよ。それじゃあ失礼します」
バタン...
「......行っちゃった。...宿題やんなきゃ...」
〜数分後〜
「あ、やば。クシャミ出そう...ふぇ、へ...ぶぇっくしょん!!」
私は手元にあった紙でなんとか鼻水が飛ぶのを防いだ。そのまま鼻もかみ、くしゃりと紙を丸めてゴミ箱に捨てた。
「クシャミしたらなんかスッキリした!よっし、ラストスパート頑張るぞぉ」
なぜかスイッチの入った私は宿題の山を気合いと根性で切り崩すのであった。
〜時は戻って アルバート視点〜
「今思えばあれがその手紙だったんじゃないかなぁ〜...なんちゃって」
「「「.........」」」
あはは、と頭を掻きながら笑うパルティアに無言で睨みつける俺、アガーテ、セリーヌの3人。エリーゼは話の内容が良く分からないといった表情で首を傾げている。
「えぇ、あの時の手紙が生徒手帳更新のお知らせでした」
指で眉間を押さえ、呆れたような声音でセリーヌがそう言った。
「「.........」」
「あはは......えっと、ごめーんね♡」
パルティアの苦笑い混じりの「ごめーんね」に俺とアガーテは全力で脳天にチョップをかました。
ーーーーーーー
その後、来客用の部屋へ案内され夜を越すこととなった俺とエリーゼ。
「なぁ、エリーゼ」
「なんですか?坊ちゃま」
「なんで俺のとこ来れたの?」
俺はエリーゼにそう尋ねた。またもベッドの中で抱きしめられながら。コイツ主人に対して如何せん舐めすぎじゃないの?
いい加減にして欲しいですホント、たまに首締められるときあるし。
「ハンス様にお聞きし(無理矢理吐かせ)ました」
「おい、なんか怖い副音声が聞こえたぞ!?」
「気のせいです♪」
エリーゼは年甲斐もなくキャピキャピした声でそう言った。
「あと俺女装してたのになんでわかったの?」
「匂いで分かりますので」
「あぁ、獣人族だからか」
「多分シャルちゃんも分かりますよ?」
「シャルルは人を辞めたのか...」
思わぬ伏兵の存在に呆然としているとエリーゼがニヤニヤと笑った。
「んふふ」
「な、なんだ気持ちの悪い」
「いやぁ、女装した坊ちゃまがあまりにも可愛くてつい思い出し笑いを...あだっ!」
「さっきのことは今すぐ忘れろ、じゃないと今度はチョップじゃなくてグーで行くぞ」
「やめて下さい〜」
なんだかんだ言ってエリーゼが迎えに来てくれたことに安心した俺はしばらく今日の出来事について話したあと眠りについた。
EXVSMBの勝率が上がりません、どうしましょう。
と、無駄話は置いといて。
現在書きため中の話を大幅に修正中でして、次回投稿がいつも通り一週間後になるかわからない状況です。進行状況においてはTwitterの方で報告させていただきます。
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