第一話 目覚めてキツネの台風一過
ここからようやっと本編です。相変わらず文字数が少ないですけど、慣れてくれば増やしていくので。
目を覚ますと視線の先には俺の知らない白い天井があった、ひとまず俺の部屋じゃない、俺の部屋の天井には好きなアニメのポスターが貼ってあったし。一瞬病院かとも思ったが俺は死んじゃった訳だし今更病院に行く必要もない。じゃあここはどこだろう?
ふかふかした感触が体を包んでいる、おそらく布団だろうか。
「(ひとまず起きるか、ふん!...あれ?)」
身体が起きない、手足が動いてはいるが思うような動きをしない、しばらく起きることを試みてみるが全く起きれない。
「(仕方ない誰か呼んでみるか、天井があるんだから室内だろうし)」
今度は見えない誰かに対して声をかけてみることにした
「あうあー(誰かー)...!?」
全く予想打にしない声が出てきた、まるで赤ん坊のような…赤ん坊?
「あう、あうあうおあうおおおおおお!?(俺、赤ん坊になっちゃったのおおおおお!?)」
無理矢理手を顔まで近づけるとそこにはちっちゃくてプニプニと柔らかそうなおててがあった。
するとトタトタと心地の良い足音が聞こえてくる。
「はいは~い、どうちまちたか~?」
赤ちゃん言葉を使いながらドアを開けて入ってきたのはメイドだった、もう一度言おう、メイドだった。紺色のロングスカートに白いエプロン、白いカチューシャを付けた本格的なメイド服だった。綺麗な金髪が目を惹く、アイドルや女優、グラビアでもそうそうお目にかかれないほどの美人だった。ただ一箇所、耳だ、頭部に獣っぽいツンと天を突く黄色い耳があった。キツネ...かな?
そのメイド、ここでは仮にキツネ子さんとしよう、キツネ子さんはおもむろに俺を抱き上げると
「キャー!ワタシを見つめて口ぽかんと開けちゃって可愛い~♡もう、坊っちゃまの女殺し♡」
何やら一人でものすごくテンションが上がってらっしゃる。
「あ、坊っちゃまもしかしてお腹すきまちたか?」
キツネ子さんは一瞬で自分の世界から帰ってきた。
「待っててくだちゃいねぇ~♡今からワタシがあげまちゅから...あ、ワタシお乳出なかった...」
ためらい無く自分の服をたくし上げかけた手を止めて今度は急激に落ち込んでる。文字通り狐日和って感じだな。
「(チラリと見えたがなかなかのボインだった...)」
「しょうがないですね、奥様を呼んできましょうか、ちょっと待っててくだちゃいね坊っちゃま~♡」
トタトタと廊下小走りして過ぎ去る台風(キツネ子さん)を見送り、俺は現状を整理することにした。
「(まず俺は死んだはずだ、うん、これは間違いない...で、俺は今赤ん坊になっているわけで...つまりこれは...生まれ変わった、のかな?)」
どうやら俺は前世の記憶を持ちながら転生してしまったようだ。