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幽霊の正体見たり異世界か  作者: 固い六
第二章
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第二十二話 兄の功績、要らぬ置き土産

4/1 サブタイトルに「第」が入ってなかったので入れました。

「おっふろーーー♪」


エリーゼの歓喜に満ちた声が響きわたる。


「エリーゼ、せめて前を隠せ。はしたない」


「そんなこと言いましても坊ちゃま、こんなにも広いお風呂ですよ!?テンション上がります!」


「それは分かるがな...あ、コラ!湯船に入る前に体を流せ!」


ドボーン


エリーゼがぴょんと湯船へ飛び込み大きな水しぶきが上がる。


「うっひゃー、あったかいですよー坊ちゃまー」


「たく、少しは落ち着けっての」


軽くかけ湯で体を流しゆっくりと湯船に浸かる。顔には出さないが元日本人としてこの広い風呂にかなりテンションが上がってる。


「あ"~、これは良い...」


「坊ちゃまぁ~、オヤジ臭いですぅ~」


「極楽極楽♪」


「溶けてしまいそうですねぇ~」


エリーゼが肩まで湯船に浸かるがそれを阻止するかのようにプカプカとお湯に浮いている二つの果実は正直目のやり場に困る、まぁまだ性欲の発達していないこの体ではなんとも言えないが。


「坊ちゃま~、こっちにいらしてくださいよ~」


「ん~?なんだよ~」


エリーゼが手招きするので俺はゆっくり近付いていく。


「えへへ~、ぎゅー」


「うわっぷ」


近付いてきた俺を捕らえるかのようにエリーゼは抱きついてきた。まるでぬいぐるみを抱えるかのような体制である。俺の背中ではエリーゼの柔らかな果実がこれでもかと言うくらいに押しつぶされている。


「んふふ~幸せですぅ~」


「抜け出せん」


「ダメですよぉ~、逃がしません♪」


「まあいいか...」


しばらくこの感触を楽しむとするか。



〜その頃ウィルホーキンス家では〜


「!なんだかアル君の身に手を出している輩がいる気がする...」


「...私もなにか感じました」


『なんなのこの人達...』



〜ヴァロッサ邸〜


「ふう~、サッパリしましたね、坊ちゃま」


「あぁ、良かった。また入りたいな」


「満足してくれたようで嬉しいよ、さぁ食事の用意が出来ているからついてきてくれ」


風呂から上がった俺たちはヴィクターさんに食堂まで連れられた。


「お父様!!このような田舎者をウチに入れるとはどういうことですか!!」


食堂で待っていたのはヴィクターさんと同じく茶髪だが少し色が薄くて赤っぽい色をしている、目は切れ長で顔立ちはまぁまぁ整っていて、ヴィクターさんとは真逆で気の強そうな男の子だった。年は俺よりも少し上くらいだろうか。


「ハンス、彼らは父さんの大事な親友の家族なんだ。そんなことを言うんじゃない」


「ですがこんな下級貴族が...」


「こら!父さんはいつも言っているだろう、身分なんて関係ないと。ごめんねアルバート君、うちの息子が失礼なことを...」


「いえいえ、こちらこそ自分たちが田舎者なのは十分承知ですから」


「そーだそーだ、さっさと田舎へ帰りやがれ田舎貴族!」


「こら!!!」


「ふんっ」


ハンスと呼ばれた男の子は最後に俺たちを侮蔑の目で見ると気分を害したように部屋を出ていった。


「はぁ...ごめんね、昔はあんな子じゃなかったんだけど...」


「いえ、別に気にしていませんから...それより彼は?」


「あぁ、あの子は僕の息子の《ハンス・ヴァロッサ》今は6歳でついこの間学園に入学したんだ」


「息子さんでしたか、昔はあんな子じゃなかったって言うのは?」


「学園に入学してから自分の身分の高さに気付いちゃってね、身分が下の人間を見ると蔑むようになってしまったんだ...」


「そうだったんですか、悩みの種ですね...」


俺はヴィクターさんへご苦労様ですといった念を込めて言った。


「...ロズのやつが羨ましいよ、こんな立派な息子が二人もいるんだから」


「兄のことをご存知なのですか?」


「そりゃあね、学園ではかなりの有名人だよ」


「そうなんですか?」


「なんだ、知らないのかい?」


「ええ、実はまだ会ったことも無くて...僕が生まれた時には既に学園に入学してて会う機会がなかったんですよ。ですから兄がどういうお人なのか教えてくれませんか?」


「もちろんだよ、君のお兄さんは今武術科で50年に1人の逸材とまで言われるくらい剣術が得意でね、学校にいる師範代を中等部の一年目で倒しちゃって軽く伝説を作っちゃったんだよ」


「へぇ~そうなんですか...」


「それだけじゃないよ、彼自身頭も良くて学園での成績はいつも上位一桁台、加えて顔まで良いからファンクラブまであるって話だよ」


「ファンクラブまで...」


「ただ魔術の腕がからっきしダメらしくてね、初級すらまともに扱えないんだってさ」


「他が良すぎるから丁度いいんじゃないんですか??」


「そうだね、けど剣術に関して言えば今現在彼に勝てる生徒はいないって話さ」


「流石にそれは言い過ぎじゃ...」


「いやいや、ホントの話だよ。師範代を倒した彼に武術科の生徒全員が一人ずつ相手をして誰一人として勝つことが出来なかったらしいんだ」


「そんな人の弟だったなんて...二年後周りからなんて思われるか...」


「そうだね、かなり期待の目に晒されると思うよ、また同時に良くも思われないだろうね」


「なんでですか?」


「君のお兄さんが誰よりも現状強いから位の高い貴族連中がよく思ってないんだ。それに彼、無口で無表情だから愛想も良くなくてね、生徒からの人気はあまりいいものではないんだ」


「でもさっきファンクラブがどうとか...」


「まぁ見た目は良いからね、女子の一部に人気はあるね」


無口で無愛想...シャティアから聞いてた感じとは随分違うな、もっと爽やかイケメンお兄様だと思っていたが。


「なるほど、それで兄に手を出せない連中のシワ寄せが全部弟である僕に来るというわけですか...」


「そう言う事、残念だけど。大人からはあのエリオットの弟なんだから相当な人材なんだろうと期待され、生徒からは兄に対する鬱憤がまとめて降りかかってくる」


「うっわ...」


「これに関しては僕たち他の人間にはどうにも出来ないよ...」


「はい...」


「ま、まぁそんなに悲観しなくても良いと思うよ!あと二年もあるんだからお兄さんを越えるほどの逸材が...」


「50年に一度の次は何年に一度なんでしょうね...」


「あ、あはは......ごめんね、無責任なこと言っちゃって...」


「...いえ、良いんですよ...」


自分の将来に大きな悩みが出来たのであった。


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