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幽霊の正体見たり異世界か  作者: 固い六
第二章
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第二十話 紅蓮のモヒカン

そろそろ更新ペースを抑えようかと思います。具体的には週1か2くらいで。最近リアルが忙しくなってきてるんで、こっちの都合に合わせるような形になってしまって申し訳ございません。

出発から早くも一週間も過ぎ、王都ももう目前...なんだけど。


「ヒャッハー!そこの馬車! 俺様たちに荷物を置いてゆけ!!ヒャッハー!」


なんだかカラフルで世紀末な連中に囲まれた。


「お、お前ら何者っすか!?」


「聞かれりゃ答えるのが俺らの主義よ!俺らは巷を騒がす山賊一味《紅蓮の突撃隊(ヒャッハーズ)》だァ!ヒャッハー!」


「お前らがあの紅蓮の突撃隊っすか!」


紅蓮のって、赤いモヒカンお前だけじゃん。ほかみんな青とか黄色とかで赤いのお前だけじゃん。


「その通りよ!分かったら怪我しねェうちにとっとと荷物を置いていきやがれ!ヒャッハー!」


なんだかヒャッハーヒャッハーうるさい奴だな...


「置いてけと言われてはいそうですかと渡すオレっちたちじゃないっすよ! みんな、行くっすよ!!」オォー!!


「へっへっへ、素直に尻尾巻いて逃げればいいものを。野郎ども!あの無能兵士どもを蹴散らすぜェ!ヒャッハー!!」ヒャッハー!!!


わいわいがやがやと外がかなり賑やかになっている。軽く外を覗いてみると相手の戦力はだいたい20ほど、対してこちらは10人程度。二倍の戦力差があるが多分大丈夫だろう、現代式マッスルトレーニングをやらせた精鋭たちだ、たかがチンピラ程度に遅れをとるわけ...


「旦那!!は、早くここから逃げるっすぅ!!もう持たないっす!!」


...フラグ回収あざっす。


「アル、エリーゼ、早く逃げるぞ!?」


「あぁ~、お父様?ちょぉっと待ってて下さい」


俺はこめかみに血管を浮かせながらそう言うと馬車から外へ出て山賊どもにお灸を据えに行く、ついでに兵士どもにも。


「お、おい!アル!!いくらお前が魔術を使えるからといって、山賊に勝てるわけが...」


「なんだァ?このガキ?」


わーお、結構近くにいらしたんすね。


「ぼ、坊っちゃん!!早く、早く逃げるっす!!」


「なるほどォ、貴族のボンボンってわけだなァ?俺はよォ、貴族ってのが大ッ嫌いなんだよォ、坊主に恨みはねェが自分が貴族だったことを恨むんだなァ!ヒャッハーァァアアアアアアアア!?!?」


耳障りな世紀末ボイスを最後まで聞く前に俺は霊力で作った突風で天を突くような真っ赤なモヒカンの男をホントに天を突かせてやった。


「「「お頭ぁー!!」」」


今のがリーダーかよ!完全に下っ端Bくらいだと思ってたわ!


「さっすが坊っちゃんっす!どんどん奴らをやっちゃって下さいっすぅぅうううわあああああああ?!?!」


またしても耳障りな小物ボイスを今度は最後まで聞いた上で吹っ飛ばした。


「「「副長ぉおおお!!!!」」」


お前副長だったの!?ナンバー2なの!?完全に新米兵士Cくらいだと思ってたわ!


「クッソォ、やりやがったなァ!?」


「坊っちゃんいきなり何するんすかぁ!」


おぉお前らなかなか丈夫だな。


「山賊の...えぇっと、紅蓮のなんちゃらは俺らを襲った罪でぶっ飛ばす、兵士、テメェらは訓練が足りなかったようだから俺が直々に指導してやる!」


「紅蓮の突撃隊だ!」


「なんでオレっちたちまで!?」


「うっせぇ!覚悟しやがれ!!」


俺の霊術で辺り一面はまさしく地獄絵図だった。竜巻がいくつも起こり、大量の水が津波の如く襲い、空から土の塊が落下して...阿鼻叫喚と断末魔、男たちの絶叫が響きわたる。


「ヒャッハァァァアアアアアア!?!?」


「やめてくれっすぅぅぅううう!?!?」


「ふはははは!!!泣け!!喚け!!」


一方その惨劇を馬車の陰から覗くローズベルトとエリーゼは...


「旦那様...なんだかワタシも悪魔に見えてきました...」


「う、うむ...」


悪魔の正体は魔術ではなく性格の問題であると感じ始めていた。どんちゃん騒ぎが静まるとそこに立っていたのは件の悪魔だった。


「ふぅ、スッキリした」


満面の笑みである。


そこへおずおずとへっぴり腰のエリーゼが近づく。


「あの、坊ちゃま?彼らはいかがなされます?」


「ん?あぁ、山賊どもは荷馬車に積んであるロープで縛り上げて馬車の後ろに結んでおいてくれ、俺は兵士どもを叩き起こすから」


「は、はい!」


「アル、俺はどうすれば...?」


「お父様はエリーゼを手伝ってあげて下さい」


「わ、分かった」


エリーゼの方へ向かう親父の背中を見送り俺は一息着く。


「ふぅ、さって」


すぐそこで伸びているツンツン頭の副長のそばへ寄る。


「おーい、ラリー、生きてるか?」


「う、うぐ...もう、もうダメっす...」


「よぉし、ならその最期、俺が直々にピリオドを打っててやろう」


手のひらから霊術で作り上げた氷の刃をチラつかせながらドスを効かせて言ってみる。


「じょっじょじょじょじょ冗談っすよ~、やだなぁ坊っちゃん、ジョークっすよぉ!」


「なんだ元気じゃないか、ほらお前も他の連中起こすの手伝え」


「...へい」


全員を無理矢理にでも叩き起こす、奇跡的なことに兵士たちの怪我はそこまで深くなく、唾でも付けとけば治る程度であった。いや、俺がそうなるように手加減しといたわけで奇跡でもなんでもないんだが...。


「坊ちゃま~、こっちは終わりました~」


エリーゼの方も無事に終わり俺たちは再び王都へ向かうのであった。


ちなみになぜ俺があそこまで暴虐の限りを尽くした理由は完全なる八つ当たりである。そりゃあ一週間も馬車生活だもん、道は悪いからガタつくし、ほぼ平原だから景色変わんないし、風呂に入れないから身体臭いし痒いし、U○Oで親父とエリーゼに負けるし...ストレスが溜りに溜まったうえに山賊に襲われ理性の糸がぷつんと切れた、限界だったからね☆キャピーン


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