プロローグ後編
後編です。今日は書きだめしてる何話分かを一気に投稿します。
「ふぁ~」
俺は目を擦りながらゆったりと身を起こした。
「...ん?あれ、目覚まし...あぁ!?」
いつもは目覚まし時計に無理矢理夢の世界から引きずり出されるのに対して今日は自分で起きた、これが意味するのは…
「やっべぇ!今からじゃ走っても間に合うかどうか」
時間は朝の8時15分、学校まで歩いて20分かかる、走ってもせいぜい5~8分短縮出来る程度だ。
急いで着替え...
「あれ、昨日制服のまま寝ちゃったのか」
...る必要は無かった、既に制服を着ていた。
急いで部屋を出る、階段を降りるのも鬱陶しい、俺は今日ならイケると思い...
「ジャンプっ!」
20段近くある階段から飛び降りた
「スタっ、おぉ、行けるもんだなぁ」
足音もたてず上手く着地できたことに少しだけテンションが上がる。
「父さーん!今日は朝ごはん要らんよー...って、居ないのか、もう仕事行ったのかな」
とりあえず家を出て急いで学校まで走る。
その後リビングで付けっぱなしになっているテレビでは
『次のニュースです。昨日午後6時頃○○県の公立高校で火災が発生しました、原因は生徒によるタバコの不始末、重軽傷者数名と死者1名にも及ぶ被害が...』
「今日はなんか身体が軽いし走ってもあまり疲れないな、これならもう少し頑張れば...」
走っても十数分かかる学校まで今日に限っては十分もかからなかった。
学校の前まで来ると。
「あ、校門締まってるじゃんか、でも、なんか今日ならイケる!」
そう言うと俺はまたしても...
「ジャァァァンプ!!」
全体重を乗せて校門よりも高くを目指して飛んだ。
「スタっ、いよっしゃああああああ」
再び上手く着地を決めて気分が良くなる。校舎に入り急いで教室へと向かうとそこには誰も居ず、黒板に大きく『今朝は校内講堂で全校集会です』の文字。
「全校集会?みんな講堂にいんのか」
俺は講堂まで来るとこっそりと中に入り普段出席番号順で慣れた席に着いた。
「(いやぁ、悪い悪い、ちょっと通してね~)」
周りを見てみるとみんな顔を俯せて静かにしていて、所々からすすり泣くような声が聴こえる。
そこで不審に思った俺は初めて講堂を見た。
「(何だあれ、遺影?誰か亡くなったのか、誰だろう)」
何がなんだかわからず首を傾げていると
『では、生徒の皆さんにはクラスごとに前へ出て教室で配られた花を供えて下さい』
マイクを通して鼻声になっている校長先生の声が聴こえた
「(やべぇ、俺花なんて貰ってねぇや)」
俺は心の中で焦りつつ、しかしどうすることも出来ずに自分のクラスの順番を待った。
『次は、2年A組、前へ出てきてください』
自分のクラスの番だ、俺は花を持ってるように見せかけて持ってないことがバレないように軽く俯いて歩く。
既にいくつかのクラスが置いていた花が見えたのでゆっくりと顔を上げて遺影に写ってる人物を目にすると...
「なん...だよ、なんだよコレ、なんで...俺...?」
そこには17年間ずっと見てきた自分の最もよく知る顔、灘芝龍一の顔があった。
瞬間、俺の頭の中に昨日起きた事件がフラッシュバックされる、そして身体は糸が切れたかのように力が入らなくなり後ろへゆったりと倒れ、目が自然と閉じ意識が飛んだ。
次回から第一章、異世界編です。すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが作者の語彙のレパートリーはそんなに多くありません。ですので毎話文字数が少ないですがご了承下さい。