第十一話 裸王の称号
正直前回とくっつけても良かったんですけどね、この短さなら。話数稼ぎとでも思っていて下さいw
「(ふう、なんと誤魔化せた)」
『(あれは誤魔化せたと言えるのかな)』
「(この世界で俺はまだ1歳半だからな、おねしょくらい普通だろ)」
『(体感年齢18歳のいい大人が何を言ってるんだろうね)』
「(そ、そこを掘り下げないでくれ、泣きたくなる)」
そう、俺はさっきの霊術騒ぎのことをおねしょと言うカタチで誤魔化してきたのだ。まるで某世紀末覇者のような出で立ちで拳を天に突き立てていた俺を見たエリーゼは大きく驚いたあと何かを悟った菩薩のような顔をして、濡れた俺の衣服をひん剥いて洗濯をしに向かった。その背中を見送る俺は新たな衣服が届くまでさっきとは違う意味でラ○ウとなっていた。
『(で、裸の王様?ボクたちは今後どうしていくんだい?)』
「(そうだな、ひとまずあと1、2年は外出もままならないだろうから、部屋で出来る事を精一杯やることにするよ)」
『(そうだね、時間はまだあるし焦る必要は無いよね)』
とはいえさっきは流石にはしゃぎすぎた、今後は固体を生成することにしよう。
『(ところで、キミは6歳になったら学園に行くんだよね?)』
「(あぁ、そういうことになってるはずだ)」
『(じゃあ学科はどこにするんだい?)』
「(学科?そんなものまであるのか)」
『(もちろん、武術、魔術、商術、政術、教術、家政術の6種類の学科があって、入学して3年後から自分で選択した学科に入ることが出来るんだ)』
「(3年後?最初の3年間は何をするんだ?)」
『(最初の3年間は生徒全員統一で授業を受けさせるんだ、語学と算術に一般常識、あとは学科ごとの基礎中の基礎を実際には実技教科として体験して、自分に合った学科を選ぶ目安なんかもやっているんだ)』
「(へぇ)」
『(で、学科に入ってからさらに3年後に学科の中でもより細分化した分野に進めるんだ。例えばボクの行ってた魔術科だと、特別火に特化した分野や水に特化した分野などの4属性から1つの属性を集中する《4主単属専攻》分野、聖呪の2属性を専攻した《2補属性専攻》分野、魔術系道具を研究、製造する《魔道具》分野みたいな感じで他にも色々分野が派生しているんだ)』
「(へぇ、随分と細かいんだな)」
『(まぁ、40年前の知識だからもしかしたら少し変わっているかもしれないけど)』
「(そういえば俺の兄貴はどの学科へ進学するんだろうか)」
『(あぁ、エリオ君ね、彼はこの家にいる時から剣と槍の技術長けていたから武術科に進学するんじゃないかな)』
「(俺、兄貴の顔も声も聞いたこと無いんだよな)」
『(彼はとていい子だったよ、ここの領民にも人気があってね、よく下の村に行って農民の手伝いなんかもやってたよ)』
「(長男だし、卒業したらこっちに戻ってきてこの領地を継ぐんだよな)」
『(そうだね、そのための勉強も学園でやってるんじゃないか)』
どうやら俺のお兄ちゃんはマジメでいい奴らしい、前世で愛読していた転生モノの小説で兄貴はクズって言うイメージがついてたので少し安心した。
『(で、当のキミはどの学科へ進むんだい?魔力は無いから魔術科へ進むのは難しいだろうし、キミの性格からして武術科は合わないと思うし...家政術科、行く?)』
「(家政術は無い、確かに前世では炊事洗濯掃除こなしてたけども、それを他人に奉仕するのはなんか違う)」
『(へぇ、キミ、家事が出来たんだね)』
「(この体だと今は無理だけどな、そうだな、自由に身体を動かせるようになったら俺の完璧な家政術を見せてやるよ)」
『(ふふ、期待しとくよ♪)』
こうして、俺の興奮に満ちた1日は他の人間たちの何気ない日常に紛れて幕を閉じたのであった。