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幽霊の正体見たり異世界か  作者: 固い六
第一章
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第八話 初めての修行はたっぷり濃厚

今日は三連続投稿です。


〜翌日〜


『(さあ、今日から霊力の扱い方について教えるよ)』


「(お願いします!先生!!)」


『(うむ、先は長いぞ?)』


「(いつまでもついて行きます!!)」


『(ふふ、死んだ人間のことを追いかけるなんて変なこと言うね)』


「(俺も一度死んでるし)」


『(それもそうだね、じゃあまずキミには霊力の引き出し方を覚えてもらうよ)』


「(引き出し方?)」


『(そう、一番簡単なやり方だよ、正直これは普通の人間は死ぬまで経験することにないこと、キミだからこそ使うことのできる方法なんだ)』


「(俺だからこそ?どう言う意味だ?)」


『(キミ、自分がどれだけイレギュラーな存在か理解できてないようだね、キミはボク達幽霊に触ることができるんだ)』


「(ほう、それがそんなに凄いことなのか)」


『(なんだい、キミの前世では幽霊に触れることは日常だったのかい?)』


「(いや、そんなことは無いけど、この世界ならアンデットとかそういった魔物もいるだろう?)」


『(アンデットと幽霊を一緒にしないで欲しいな)』


シャティアは少し憤慨したような口調でそう言った。


「(違うのか?)」


『(全然別物さ、ボク達幽霊は死んだあとに行き場を失い、手持ちの霊力が尽きるまでこの世から離れることのできない元人間。比べてアンデットは生物の身体を乗っ取る寄生型の魔物なんだ、確かにアンデットの中にはゴーストと呼ばれるものもいるけど、あれの正体はアンデットの依代にした生物から集めた仮染めの霊力で活動している魔物なのさ)』


「(つまり、幽霊は元人間、アンデットは実体を持たない寄生型の魔物ってわけか)」


『(そういうこと、ちなみにアンデットに人型が多いのは、生物のなかで最も効率良く霊力を集められるのが人間だからなんだ)』


「(なるほど、でもなんでアンデットは霊力を集めたりしてるんだ?)」


『(多分アンデットの食料が霊力だからじゃないかな、寄生前のアンデットは実体が無いから血肉を食べることは出来ないしね)』


「(なるほど...)」


俺はシャティアの話を聞いてこの世界も上手く物事が循環しているんだなと再認識した。


『(で、キミの存在だ。滅多に居ないけど幽霊をぼんやり見ることが出来たり声をうっすら聞いたりすることが出来る人間もいる。だけど誰もキミほどに幽霊をハッキリ認識することは出来ないんだ、ましてや触ることが出来る人間なんて後にも先にもキミだけだと思うよ)』


どうやら俺はそれほどまでに奇妙な存在らしい。


『(本来死ぬまで扱うことの出来ない霊力、ボク達に触れるキミならではの方法で使えるようになるんだ)』


「(どうやるんだ?)」


『(うん、まずは霊力の溜まっている部分が胸の奥だと考えて欲しいんだ)』


シャティアは手を俺の胸まで持ってきてそう言った。


『(今からやることを説明するね、ボクがキミの手を握ってそこからキミの霊力をゆっくり吸い出すんだ)』


「(吸い出す?そんなことして俺の霊力が無くなったりしないのか?)」


『(キミの霊力はそんなヤワなものじゃないよ、多分その霊力をボクが全部吸い出そうとしたら何十年かかるか分かったもんじゃないよ)』


「(そ、そんなに規格外なのか...)」


『(うん、だから心配する必要は全くないよ)』


そう言うとシャティアは俺の小さな左手をギュッと握った。


『(大丈夫かな?ボクの手、変だったりしない?)』


「(いや、ちょっと冷たいだけで特におかしなところは無いよ)」


『(そっか、安心した)』


シャティアが嬉しそうに微笑む。可愛い。


『(じゃあ始めるよ、ふっ...)』


「(うお、何だこれ、胸の奥から...シャティアの握ってる手まで何かが流れていってる様な感じ...)」


彼女が俺の手にくっと力を込めると胸から手の先へ水が流れるような感覚が伝わって来る。


「(なんか変な感じ...)」


俺がその感覚を不思議に思っていると、シャティアの様子がおかしくなっていることに気付いた。


『ん...んはぁ、あ、あぁん...!』


なんかすんごいエロいんですけどお!?


「(えっと...シャティアさん?シャ〜ティアさーん)」


俺がシャティアに心の中で呼びかけてみるとしばらくして気付きスッと手を離した。


『はぁ...はぁ...。ふぅ...』


「(あ、シャティアさんお戻りになられましたか...)」


『(うん、なんか...ゴメンね?ちょっと、スゴクって...)』


「(凄い...?)」


『(うん、どうやらキミの霊力は多いだけじゃなくて凄く濃厚なんだ)』


「(濃厚?濃さとかあるんだ)」


『(多少はね?でもこんなに濃いのはボクも初めてだよぅ...)』


シャティアは頬を赤く染め、艶やかな表情でそう言った。やっぱりエロい。


『(ふう、なんとか落ち着いてきた。それで、霊力の引き出し方は分かったかい?)』


「(え?あぁ、うん。何となくわかったような気がするよ)」


『(じゃあそれを使ってボクが指定する部位まで霊力を流して見てもらっていいかな、ちゃんと流れているかボクが見ておくから)』


「(霊力の流れが見えるのか?)」


『(ああ、今からやることの応用で霊力を見ることも教えるから、まずはボクの支指示に合わせてね)』


「(了解)」


『(じゃあまずは...)』


それからしばらく俺はシャティアの指示にしたがって霊力を身体の各所に流した。

手、足、膝、肩、指、と言うふうにランダムに指示された通りの部位へ霊力を送る。最初のうちは慣れなかったが数をこなすと嫌でも慣れてくる、独特の感覚だからな。今日の講義は幽霊とアンデットの違い、それと霊力の大まかな操作で1日が終わった。


明日からも毎日練習に付き合ってくれるらしい、暇なんだろうか。


次回は閑話を挟みます、メチャクチャ短いし飛ばしてもらっても構いません。

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