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魔法学院物語シリーズ

リアル格ゲーキャラの憂鬱

作者: 彪紗

久しぶりに投稿したので、文章がおかしいところも多々ありそうです。

ごきげんよう、リリオ・アイズラントでございます。

あれからピオニア嬢は少し体が落ち着いたからとアロルドと帰っていきました。



「だからあれほど、彼女には注意するように申し上げましたのに」

「……ごめん」

「私に謝ってどうするのです。謝罪せねばならぬは件のリリオ・アイズラント女史であるはず」


聞こえてきた会話。


話していたのは無口系のルーベルト・サンダーと、彼に仕える専属の侍女、スイレン。


この世界の世界観ならメイドさんじゃないかと思うでしょうが、話によると

スイレンは、私が前世で生まれ育った日本の過去の姿と似たような異国の出身であるのだとか。


だから話し方も古風なのでしょう。


「あら、リリオ・アイズラント殿ではありませぬか」

「!」


ルーベルトは大きな体をびくつかせると、スイレンの後ろに隠れました。

…隠れ切れていませんが。


「若…いつまでも己の過ちから逃避していては何も変わることなど出来ません。お許しをいただけないとしても、謝罪の意思は伝えなくては」

「……」

「そのようなことをしてはなりません。私は先に戻ります故、しかと謝罪してから戻ってきてくださいまし」


腰を90度に曲げた会釈をして、スイレンは立ち去っていきました。


背筋を伸ばして堂々と歩く彼女。

漫画ではルーベルトに付き従う大和撫子といった立場でしたが、先日まで…ルーベルトがアンナに骨抜きにされてからは彼の傍を離れていました。


なるほど、彼女の侍女として与える愛はまるで母の愛のようだと表現されていたので、自分で気づいてくれるように、と離れたのかもしれません。


確かに、すべてやってしまっては何もできない人間になってしまいますからね。

ルーベルトも漫画よりコミュニケーション障害が強いというか、ヘタレのようですし。


「…先日は、申し訳ないことをした…。許してほしいとは言わない。だけど、反省も後悔もしていることは知っておいてほしい…それじゃあ」

ルーベルトは彼にしては滑らかに言うと、スイレンの歩いていった方向に去っていきました。



その数日後のこと。


「お嬢様」

「どうしましたマルタ?」

「実は、お嬢様に会いたいという友人がおりまして…会っていただけますか」

「構わないけれど…」


マルタの友人は、あまり聞いたことがありません。

もちろんマルタだって使用人とはいえ学生、友人くらいはできますが…。


その友人という人物が待っているという場所に向かうと、そこにいたのはスイレンでした。


「…マルタ?」

「俺はお嬢様の使用人で、彼女はサンダー家の侍女ですから、自然と話も合いまして…今回は彼女がお嬢様に会いたいと」


「改めまして、私、ルーベルト・サンダー様に仕える侍女のスイレンと申します。以後、よしなに」

「リリオ・アイズラントです。それで…私に会いたいとのことだけれど」

「先日の若様の件で謝罪したく、マルタ殿に貴女への面通りを依頼したのでございます。此度は我が主が大変なご無礼を働きましたこと、深く謝罪致します」


「頭を上げて。それに彼からは謝罪してもらっていますから」


「主の罪は仕える者の罪でございます故。謝罪を受けていただけますか」

ゆるりと頭を戻して、私の目をまっすぐ見つめながらスイレンは言います。


「許す許さないは別、なのでしょう?気持ちは受け取りました」


「…そうですか。ならば安心致しました。かくなる上は、とこれも持ってきていたのですが」


スイレンが取り出したのは、小太刀。


「スイレンお前、」

「勘違いなさいますな。私の故郷の贖罪の手法を取ろうと思っていただけです」

「…贖罪?」


気色ばむマルタを穏やかに遮ったスイレンに、嫌な予感がします。


「この腹を小太刀で一思いに裂いて割腹するのです。何もアイズラント女史を傷つけるつもりはありませぬ」


やっぱり切腹!


「…お前…見た目によらずバイオレンスだな…」

「ですから故郷の作法だと申しましたでしょう」


ため息を吐くマルタとあっけらかんとしているスイレン。

本当に使用人という立場同士、仲がよいようです。


「謝罪は受け取りましたから、そのようなことを女性がしてはいけません。それでは、私とマルタはこれで失礼します」

「えぇ。私のような者にお時間を割いていただいて、有難う御座いました」


…使用人は使用人同士でしかわからないことがあるのでしょうけど、少し、モヤモヤとします。


マルタの心はマルタのもの。


そうは分かっているけれど…私もまだまだ心が狭い人間というわけですね。


心の広い人間というのは、スイレンのような人のことを言うのでしょう。

…私の態度は明らかに失礼なものでしたが、嫌な顔一つせずに見送るなんて…。



彼女がもしライバルキャラだったら、勝てる気がしないんじゃないかと思います。


というか、漫画では私よりも影の薄い女子キャラの方がライバルキャラに向いていたと思う。


何で私が悪役だったのか…解せぬ。




就職してすっかり投稿は出来なくなりましたが、新しいシリーズや今までの連載は温めていますので、続きを待っていただいてる方は気長にお待ちください。

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