僕と彼女その8*
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「なあ、また看護科と飲み会するけど来る?」
昼休み、カップラーメンをすする僕に前の席の細田さんが聞いてきた。細田さんっていうのは今年30歳で初等科のお兄ちゃんって感じの人。昔はやんちゃしてました、ってオーラが出まくってるけど嫌いじゃない。年齢こそ近いが僕とは全く別の人生を送ってきたとすぐに分かる。教員のたまごという以外になんの接点が無いぐらいだ。細田さんもこの前の忘年会…もとい合コンの参加者だった。
「行く行く!行きたい!」
あぁ…このテンション…宮田がちぎれそうなぐらいシッポを振る小型犬に見えてくる。
「そうか、そうか。宮田は参加な!で、お前は?」
「人数が足りなかったら参加で」
「足りないから参加、と」
「え。」
「え。じゃない。ほんとに足りないから。参加できるんだろ?」
「ああ。来月の頭ならまだバイトのシフトも出してないし」
「よしよし。俺が主催じゃあ人が集まんなくてさ。怖いのかな…」
「そんなことないっす!細田さんは怖くないっすよ!」
可愛く首とか傾げちゃって分かんないフリをしてるが仮にも初等科のお兄ちゃんみたいな奴の主催だ。人が集まんない訳がない。何か事情があって意図的に人を選んでるんだと思った。
僕は密かに期待してたんだ。彼女も来るだろうって。なんていうか彼女に興味がわいてきたんだよね。付き合いたいとかじゃなくて純粋に話しをしてみたい。2回目ならもっと話してくれるんじゃないだろうか?少なくとも会話が続かないなんてことはないと思う。
「彼女のこと気に入ったの?」
細田さんが席を外した途端に宮田が聞いてきた。こいつは時々鋭いことをついてくるから、年齢が10歳離れている感じがない。宮田といるとタメの友達と一緒にいるような錯覚に陥っている。
「気に入ったというよりも興味があるよ」
「そっか。いいんじゃない?彼女…来るといいね」