僕と彼女その2*
***
彼女は話をする気が無かったと思う。それでも僕は何をするわけでもなく彼女の隣にいた。だってすぐに戻ったらナンパに失敗したみたいで僕の小さなプライドが許さなかったから。
奥手の僕が彼女の隣にいたのが面白かったんだろうね。友達の宮田が僕の隣にお酒を持ってやってきた。彼女はあからさまに不機嫌そうな顔をしているが宮田は気付いていない。頼む、マジ頼むから喋んないで!宮田あぁぁ!っていう僕の心の叫びももちろん届いていない。
「何飲んでるの?」
うっわー…マジか。数分前の僕と同じ質問だよ。超笑顔で聞いてるけど彼女にしてみたらTake2だからね?だから喋んないで!って念じたのに…
「梅酒。さっきもこの人に聞かれたんだけど」
「なーんだ。お前も同じこと聞いてたの?そうなら早く言ってくれれば良かったのに。だからカノジョが出来ないんだよ。な?」
楽しそうに僕の肩をバシバシと叩くんじゃない!
「あ、ああ。そうだな…」
こいつ…だいぶ酔ってるな。僕にカノジョが出来ないのは無関係だろ。それにしても思ったより彼女は真面目に答えてくれた。最悪は無視も考えていた僕としてはありがたい。
ん?彼女の隣にも誰か来ている。えーっと…美季ちゃん…だったかな?自己紹介の時に宮田が巨乳美女がいる!って興奮してたから覚えてる。たぶん今日の一番人気だろう。現に宮田がそわそわしてるし。
「楽しんでる?」
「…まあまあかな。美季ちゃんが楽しんでるならいいよ。それに美季ちゃんが酔っ払ってもちゃんとお家まで連れて帰るから心配しないで飲んでいいよ^^」
僕や宮田には向けなかった笑った顔で彼女は美季ちゃんと話してる。さっきとは対照的に会話を続けようとさえしているのが分かる。
「もーっ!そこまで飲まないってば。それよりあいあんを心配してあげてよ。このままだとお持ち帰りされそうだよ?」
彼女はちらっと目をやると溜め息混じりに言った。
「まだ平気。ヤバくなったら行くから今は楽しませてあげて」