非日常LIFE 千春の秘策
「四季殿この人の狙いは私です。だから私が逃げる間、少し時
間を稼いでください」
「じゃあなんで俺の前に移動したんだよ。てか助けてくれると思ってちょっと期待し
たのに結局自分の安全が第一かよ」
「はい、この世に自分の命より大切なものなんてありませんか
ら。でも四季殿がどうしても私の力を借りたいというのなら
私は四季殿を助けてみせますよ」
「へぇ~昨日はあんなにビビってたのに力を貸すなんてよく言
えるな」
「確かに昨日はビビッて何もできませんでしたけど今思い出し
たんです私には秘策があったことを」
「じゃあその秘策とやらでこの状況を打破してくれよ」
「承知しました」
と言って千春の顔つきは急に真面目な表情になり、メイド服のポケットから札のような物を取り出してそれを右手の人差し指と中指ではさみ顔の前にもっていった。そしてなにやら呪文のようなものを唱えだした。これはもしかして本当に今の状況をどうにかしてくれるかもしれない。僕は期待に胸を膨らませた。
「闇の力を秘めし鍵よ新の姿を我の前に示せ!契約の元、千春が命 じる。レり~ズ!!」
千春が呪文を言い終えた後10秒ほど無言の間ができ、遂には何も起こらなかった。やはり千春に期待したのが間違いだった。僕は失望に胸をしぼませた。
「おいおい千春ちゃんよ、もしかして今のが秘策だったのかな?」
「はい、そうですけど」
と千春は何も起こらなかったのが不思議でならないかのような顔をして僕の方に振り向いた。
「お前はバカかぁ~。そんな某魔法使いが言っていた召喚魔法を唱えたところで何も起こるわ
けねぇだろぉが」
「そんなわけありませんよ、この呪文は私の命の恩人に教えてもらった物にさらにアレンジを加えた 最強呪文なんですよ?」
「そんなの知るかよお前がその恩人に嘘を教えられたんだよ。しかもその教えてもらった呪文をそのま ま言うのならまだしも、なん でアレンジまで加えてんだよ」
「まぁまぁ落ち着いてください。今は怒ってる暇なんてないですよ 。早くここから逃げましょうケロ ちゃん」
「俺はケロちゃんじゃね~」
「ゴチャゴチャうるせぇんだよこれ以上、俺を怒らせるなぁ。八つ裂きにすんぞコラァ」
僕たちの会話にしびれを切らした飛鳥さんが長い刀を構えて僕たちの方に切りかかってきた。それを見て僕たちは飛鳥さんに背を向けて一目散に走り出した。飛鳥さんは酔っているからこのまま逃げ切れると思っていたけれどその考えはあまかった。
ふと僕が後ろを向いて様子を確かめてみると、飛鳥さんが酔っているとは思えないほどのスピードで追っかけてきていた。僕たちと飛鳥との距離は離れるどころかむしろ縮まってきていた。追いつかれるのはもう時間の問題だった。半分諦めた状態で前を向きなおす。すると僕たちの走っていく方向に黒い服を着た女性が立っているのが見えた。もう終わりだ・・・多分あの人は飛鳥さんの仲間なんだろう。はさまれた。今度こそ本当に終わった。昨日、千春を僕が成仏させるって誓ったのに・・・あの男の気晴らし目的のためだけに千春が殺される。
僕たちは黒服の女性の前で立ち止まった。




