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ACT.1 Prologue さやかと則人

 二人が教室に戻ると、もう他に生徒の姿はなかった。


 秋の夕暮れ。


 見事なまでに赤い夕日の光が、教室をすみまで染めあげている。

 そのあまりにも美しい幻想めいた空間の中で、二人は会話を見失った。

 まるで何かに誘導されるかのように窓際へと歩み寄り、無言でその空に魅入る。


 ―――――― 時間が過ぎ、夕日が姿を消して空の色は戻り。

 教室が薄暗いいつもの見慣れた風景へと還った時。

 まだ二人は心をとらわれていた。


 彼女が振り返って彼を見つめる。

 彼も窓から彼女へと視線を移している。


 お互いの視線が、まるで何かの一本の線のようにつながれ、そして導かれた。

 ……彼女が歩み寄ったのか、彼が引き寄せたのか。

 ……彼女が引き寄せて、彼が歩み寄ったのか。

 見つめあう距離は次第に近くなって、自然と唇が触れ合った。


 その刹那に流れる、電流のような痛み。


 二人ははじかれたように身体を離した。


 ―――――― 夢?







 彼は、窓を開けて風を入れた。

 彼女は、自分の机に戻り、カバンを取った。


「……お疲れ様」


「……おう」


 彼は、彼女を振り返らずに応えた。

 彼女は、振り返らずそのまま教室から立ち去った。

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