表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/50

39 会場へ

夕方になった。

あの後レイラは一度王宮へと戻り、お義姉様も舞踏会に参加するための準備をちょうど今終えたところだった。



「お義姉様、とっても綺麗です」

「ありがとうございます。ですがエミリアさんの美しさには敵いませんわ」

「えっ、そんなこと無いですよ!」



お義姉様は髪と同じ青色のドレスを着ている。

いつもと変わらない美しさだ。

お兄様が惚れたのも頷ける。



私がお義姉様と和気あいあいと話を繰り広げていたとき、私たちがいる部屋の扉が開けられた。



「リーシェ、準備は出来たか?」

「旦那様!」



扉から顔を覗かせたのはケインお兄様だ。

お義姉様はすぐにお兄様に駆け寄った。



「旦那様、私はいつでも行けますわ」

「そうか……今日も綺麗だな」



お兄様はそう言いながら薄っすらと頬を染めた。



(本当に仲良いわねぇ……)



兄夫婦の仲が良いことは私としても喜ばしいことだ。

決して羨ましくなんてない。



お義姉様をしばらくの間見つめていたお兄様の瞳が、今度はこちらに向けられた。



「エミリアも準備は…………って、お前誰だ?」

「えっ」



冗談かと思ってケインお兄様を見たが、お兄様は本気で分からないと言ったような顔をしていた。

見事なまでに変身した私を見てどんなことを言うのかと少し期待していたが、まさか第一声がそれとは。



(誰だって何よ!)



「ちょっと!血の繋がった妹の顔が分からないの!?」

「……お前本当にエミリアか?」



私が首を縦に大きく振ると、お兄様は驚いたように目を見張った。



「……エミリアにちょっと似た誰かだと思ってた」

「何よそれ!」



今にも喧嘩を吹っかけてしまいそうな私を見たお義姉様が慌てて仲介に入った。



「まあまあエミリアさん。それだけエミリアさんが変わったってことですよ」

「お義姉様……」



そこで私はようやく落ち着きを取り戻した。

これから舞踏会だというのに、険悪な空気になるのは良くないだろう。



「早く行きましょう。そろそろ舞踏会が始まります」

「そうだな」

「そうですね」



そして私とお兄様、お義姉様は三人同じ馬車に乗って王宮へと向かった。

ちなみにレイモンドはお留守番である。

活動的なあの子は勿論行きたいと駄々をこねていたが、こればっかりはどうしようもない。

まだ舞踏会に参加出来る年齢では無かったから。



「ふふふ、エミリアさんを見た皆さんの反応が楽しみです」

「そうだな、俺も最初どこの誰だと思ったよ」

「それ褒めてるの?」

「当たり前だろ」



お兄様は本当に失礼な人だ。



(昔から甘くなるのはお義姉様の前だけなのよね……)



それ以外の異性に対しては基本的に冷淡な人なのである。

もちろん実の妹である私も含め。






しばらくして、馬車が王宮に到着した。

先にお兄様とお義姉様が馬車から降り、私も御者の手を借りて降りた。



そして、少し離れたところに位置する会場までは歩きで向かうこととなる。



「――お久しぶりです、ログワーツ嬢」

「ダミアン卿!」



会場までの道のりを歩いている途中、私に話しかけてきたのはお兄様の知人である騎士のダミアン卿だった。



「久しぶりですね!最後にお会いしたのは何年前か……」

「そうですね、今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ、引き受けてくださってありがとうございます!」



ダミアン卿は今日の私のパートナーである。

私は離婚したばかりで婚約者もいないため、近しい仲だったお兄様が頼み込んでくれたというわけだ。



「レディー、お手を」

「まぁ、ありがとうございます」



私は彼が差し出した手にそっと自分の手を重ねた。

ダミアン卿はお兄様と違って紳士的な性格の方だ。

私も結婚前に何度か関わったことがある。



「それにしても、今日は一段とお美しいですね」

「本当ですか?そう言ってくださって嬉しい限りですわ」



私が口元に笑みを携えてそう言うと、ダミアン卿は軽く頬を染めた。

そしていきなりフッと前を向いたかと思うと、コホンと咳払いをした。



「会場に着きましたよ」

「あら、本当ですね」



どうやら話しているうちに会場へと到着したようだ。

私も彼の視線の先を追って前に目を向けると、ちょうどお兄様とお義姉様が会場へ入って行ったところだった。



(あの二人が入場したということは、次は私たちね)



舞踏会にはおそらくオリバー様や公爵夫人時代私を馬鹿にしていた人たちも参加しているだろう。

もちろん、緊張していないわけではない。

そこで私は、昼にレイラに言われたことを思い浮かべた。



『エミリア、舞踏会では堂々としているのよ。絶対に弱気になってはいけないわ。貴方は何も悪いことをしていないんだから終わるまで堂々としていなさい』



その言葉通り、私は胸を張って前を見据えた。



(今の私はそう簡単にやられるような女ではないわ)



そんな私を見た卿が声を掛けた。



「行きましょうか、ログワーツ嬢」

「はい、ダミアン卿」



そして私は、会場へと足を踏み入れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ