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愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした  作者: ましゅぺちーの


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23 ログワーツ伯爵家

「わぁ!本当に懐かしいわね……!」



しばらくして、馬車は私が幼少期を過ごした伯爵邸へと到着した。

そこでお兄様とその奥さんが私を出迎えてくれた。



「エミリア、久しぶりだな」

「お兄様……!」



久々に見るお兄様は目の下にクマがあり、少しだけ疲れているように見える。



「エミリアさん、こんにちは」

「あ、お義姉様……」



そんなお兄様の隣にいるのは侯爵家から嫁いできてくださった奥さんであるリーシェ様だ。

青色の髪をした、優しそうな雰囲気を持つ方である。



「エミリア、大変だったな」

「お兄様……」

「お前を救ってやれなくて悪かった」

「そんな……!離婚の話を断っていたのは私の方よ!お兄様たちは何も悪くないわ!」



お兄様をこんな風に感じさせていたとは申し訳ない。

どうやら私もオリバー様に負けず劣らず周りに迷惑をかけていたようだ。



「エミリアさん、今日からは楽に過ごしていいのですよ」

「お義姉様……」

「私、ずっと妹が欲しかったんです。こうして戻って来てくださってとっても嬉しいですわ」

「私もまたお義姉様に会えるだなんて思ってなかったです」



伯爵家にとっては厄介者でしかない私が戻って来たというのに、お義姉様は快く邸に迎えてくれた。

貴族令嬢として伯爵邸にいた頃、お兄様の婚約者であるお義姉様とは何度か関わったことがあった。

穏やかで優しい、淑女の鑑のような人だったのをよく覚えている。



(まぁ、お兄様はそんなお義姉様にベタ惚れなのよね……)



愛し合って結婚した二人だが、愛が重いのはどちらかというとお兄様の方である。



「そうだ、エミリアさんに会わせたい子がいるんです」

「まぁ、それはもしかして……!」



私はすぐに伯爵邸の中に入って持って来ていた荷物を部屋に置くと、お義姉様についてある一室へと向かった。



「ここですわ」

「この中にいるんですのね!?」

「はい」



扉を開けて中に入ると――



「お母様!」



小さな子供がお義姉様に飛びついた。



「もう、エドモンドったら。そんな風に走ったら危ないわよ」

「えへへ、ごめんなさい。でもお母様に会えたのが嬉しくてつい」

「さっきまで一緒にいたじゃない」



お義姉様にギュッと抱き着いた小さな男の子は、へへっと照れたように笑った。



(キャー!何て可愛いの!)



その一部始終を間近で見ていた私は心の中で悶え上がった。

エドモンドと呼ばれたこの子はお兄様とお義姉様の第一子である。

今年で七歳と聞いている。



(お兄様に子供がいることは知っていたけれど……一度も会えていなかったのよね)



こうして見てみると本当に可愛らしい。

顔はお兄様にそっくりだが、瞳の色はお義姉様と同じものだ。



(可愛さはお義姉様譲りかしらね)



私がそう思いながら扉の前でじっとしていると、ふいにエドモンドがこちらを向いた。



「あ……」

「……」



困惑するかのような視線が私に投げかけられる。



「エドモンド、紹介するわね。こちらはお父様の妹のエミリア様よ」

「お父様の妹……?」

「ええ、貴方の叔母さんに当たるわね」



そこで、一度お義姉様に向いていたエドモンドの視線が再び私を捉えた。



(ど、どうしよう……受け入れてくれるかしら……)



突然知らない人と一緒に暮らすことになるのだ。

まだ幼いエドモンドからしたら不安で仕方が無いだろう。

もしかしたら泣かれてしまうだろうか。

そのことが気にかかった。



しかし、エドモンドの反応は私の予想斜め上を行くものだった。



「……」



エドモンドは私のスカートを小さな手でギュッと掴んだ。



「エ、エドモンド……?」

「叔母さん!」



そしてキラキラした目で私を見上げた。



(か、か、か、可愛すぎる!)



これは反則だ。

今なら何だってしてあげられるような気がしてくる。



「叔母さん、僕と一緒に遊ぼうよ」

「もちろんいいわよ!」

「わーい!じゃあ外に行こう!」

「ええ!」



私はエドモンドと二人手を繋いで外に出た。

チラリと後ろを見ると、お義姉様が優しく微笑みながら私たちを見ていた。


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