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【完結】愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした  作者: 春乃りぜ(ましゅぺちーの)


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102/110

102 解毒剤

「え、オリバー様が解毒剤の居場所を吐いたんですか……!?」



突然の知らせに、私は驚きを隠しきれなかった。

彼から解毒剤についての情報を得るのは不可能だと思っていたから。



「はい、最初はいくら尋問しても沈黙を貫いていましたが……急に何かを諦めたかのように全てを話し始めたんです」

「……」



まさかオリバー様が解毒剤の場所を言うだなんて。

彼の意図が分からなくて困惑した。



(あの様子だと死んでも口を割らないと思っていたのに……)



オリバー様は死を望んでいた。

最後の最後までルークに対する憎しみを隠すことなく、自分の命を賭けてまで彼を地獄に堕とそうとした。

そんな人が突然変わったのだから、信じられないのも無理はない。



(一体どんな心境の変化が…………もしかして)



そのとき、私の頭に浮かんだのは最後に見たオリバー様の姿だった。

嗚咽を上げ、ハラハラと涙を溢すオリバー様。



「何故急に白状したのかは我々も分かりませんが……」

「厳しい尋問に耐えられなくなったのでは?」



王家の騎士たちは口々にそう言ったが、私だけが真実を知っていた。



(オリバー様……リオ君のために全てを白状したんだわ……)



リオ君とルークは似ている。

そのことにようやく気付けたからこそ、彼もルークを助けたいと思ったのだろう。



(最後に少しだけ改心してくれたようで良かったわ……これでルークを助けられる)



解毒剤の在処を知り、居ても経っても居られなくなった私は、馬車を借りてすぐにレビンストン公爵家へと向かった。





***




公爵邸へ着くと、既に王家の騎士たちが集まっていた。

邸の中を捜索しているようだったが、何やら様子がおかしい。



「どういうことだ、アイツまさか私たちに嘘を言ったのか!?」

「そ、それは……」



不思議に思った私は、騎士たちに近付いて尋ねた。



「あの、何かあったんですか?」

「ロ、ログワーツ嬢!?何故貴方がここに!?」



突然現れた私を見て驚いているようだったが、今はそれどころではない。



「解毒剤は見つかったのですか?」

「い、いえ……それが……」



私の問いに彼らは言いにくそうに言葉を詰まらせた。



「公爵の言っていた場所が……公爵邸に存在しないのです……!」

「……何ですって?」



騎士は困惑したように話し続けた。



「レビンストン公爵は、解毒剤は地下の実験室にあると言っていたのですが……その実験室自体が公爵邸には無いのです」

「……地下の実験室?」



公爵邸には十年もの間住んでいたが、そんな場所があるという話は一度も聞いたことが無かった。



(オリバー様が嘘をついている?いや、今嘘をついて何の意味が……)



この状況からしてオリバー様が騎士たちを欺いたという考えが有力ではあるが、私は彼の心を信じていた。

あのとき見せた彼の涙は間違いなく本物だったから。



「騎士様、どうか私も中に入れてくださいませんか」

「ええ、これはログワーツ嬢のやることでは……」

「お願いします!友人の命が懸かっているんです!それに、王家の騎士たちよりかは十年間公爵邸に住んでいた私の方が邸には詳しいと思いますが?」

「……」



何も言えなくなったのか、結局折れたのは彼らの方だった。




読んでくださってありがとうございます!


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