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今はただ、いつか届くその日のために

彼女が誰かの隣で微笑んでいた写真を見た夜から、

僕の中の時間の流れは、少し変わった。


何かが終わったようで、

同時に、何かが始まった気もした。


朝起きる。

いつも通り、食べる。

仕事をして、歩いて、疲れて、帰る。


けれど、そのすべてが「準備」に思えた。

この今世の暮らしすら、夢の一部として感じられるようになった。


僕の夢は、今日叶うものじゃない。

明日叶うものでもない。

きっと、十年後でも、百年後でもない。


だけど、それでも。


この世界のどこかで、

まだ誰にも知られていない未来のなかで、

僕の魂は、また彼女に出会う。


それだけは、確信があった。


“信じる”という言葉は、どこか淡くて、柔らかい。

けれど、僕の中にあるこの想いは、それとは違う。

“断定”に近い。

僕は、そうなる世界を選ぶ。

そうなるまで、想いを捨てないという選択を、

毎日、繰り返しながら、生きていく。


誰にも言わない。

言ったところで、理解されるわけがない。

笑われても、怖がられても、

僕はただ、この道を歩くだけだ。


ときどき、思う。

どうして、ここまで強く願ってしまったんだろうって。


でも、それももうどうでもいい。

この苦しみごと未来へ持っていく。

それが、僕にとっては、ただの“自然な選択”になっていた。


最近は、よく町で落とし物を拾うようになった。

小さなゴミを見つけたら、拾って処分する。

誰かが助かるようなことがあれば、そっと手を差し伸べる。


それが何になるのかなんて、誰も知らない。

けれど僕は信じている。

魂には、そういう些細なことも全部、記録されていく気がするから。


未来の僕が、また彼女に近づけるように。

まだ誰も知らない未来に、確かにたどり着けるように。


今日もまた、静かに準備を重ねていく。

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