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第97話『勇者選別武術大会の招待状』

今日からまた毎日投稿再開します。

 ミカリスの配信が終わったあと、世界中は新たな魔王軍の誕生により大混乱となっていた。


 SNSでは、あれやこれやと憶測が書き込まれて、俺はSNSをやっていないので、何の通知も来なかったが、母に呼び出されて常に警戒を怠らずクエストより今は鍛錬に励めと冒険者活動を休止させて貰っている。


 そして、今日も舞花と一緒にハードな実戦形式の修行を行なっていた。


「脇が甘いわよ!」


「当たるかよ!」


 俺は舞花の横薙ぎをジャンプで回避して、すぐさまカウンターで虎乱刀を仕掛けた。


しかし、舞花はそれも身体を半身ずらして避けて、連続で袈裟斬りを行なってくる。俺はそれらの剣を全て弾き返し、横蹴りで舞花の横っ腹を狙った。


 舞花はなんとか手で受け止め、俺の顔にパンチを繰り出そうとしてきた。俺はそれすら顔を逸らして回避して、舞花に頭突きをお見舞いした。


「いったぁ……」


 舞花が怯んだ瞬間に、俺は彼女の喉元に剣を突き立てた。


「俺の勝ちだな!」


 舞花は頭突きをされた痛みで半泣きになりながら、文句を言った。


「あんた女の子に頭突きとか今時アウトよ? そんなだからレビアみたいな天使みたいな子に出会うまでモテなかったのよ!」


「悪かったな。モテない陰キャで!」


「陰キャとか以前に勝つためにガチになり過ぎだって言ってんのよ! そんな東京スカイツリーより高いプライドしているから女子に引かれるのよ!」


「はいはい。どうせ俺はプライドの高い傲慢野郎ですよ!」


 俺が頬を膨らませると、舞花は呆れたように手を掲げた。


「本当に精神年齢小学生なんだから。もっと大人になりなさいよね!」


 流石に精神年齢小学生はど頭に来たので、キレ気味に言い返した。


「お前だって、そんな口が悪くて、性格キツイから男っ気ないんじゃないの?」


 俺も少しデリカシーがないかなと思った。でも舞花はけっこう半泣きになりながら激怒した。


「最低! 誰のせいで男っ気なかったと思ってんのよ! バカァァァッ! うわぁぁぁぁぁん……」


 いやお前も十分精神年齢小学生じゃねぇかと思ったが、流石に泣き叫んで屋敷に戻っていった奴にこれ以上追い打ちをする気になれなかった。


 そこへ誰かが俺の肩をつついて振り返ると、頬にキスされた。


「って! うわ! 絵美! 何するんだよ!」


 絵美は無邪気に笑いながら、その純真な表情と裏腹にめちゃくちゃ不道徳なことを言い始めた。


「人様の男の子にワタシ成分をほんのりマーキングしておこうかと思いまして。てへ♪」


「てへ♪ じゃねぇよ! マジで勘弁してくれ! レビアにバレたら薄暗い部屋で縛られて数時間くらい説教されるから!」


 絵美は納得したように頷いた。


「確かにレビアたんは嫉妬深いですからね。それくらいのことはしそうですよね。普通に!」


「いや。だったらやるなよ!」


 全く絵美と居る時はいつも調子を狂わされっぱなしだ。絵美は俺の頬を突きながら説教は開始した。


「でもでもぉ。さっきのはいただけませんねぇ。また卓也の乙女心の理解度ゼロで、鈍感過ぎる特性が発揮されていて舞花が可哀そうでした」


 ぐうの音も出ない。俺は絵美の言葉を黙って受け入れた。


「もっと卓也は自分が思っているより異性に意識されているんだって自覚を持った方がいいですよ? 前世でワタシに遠慮していただけで、卓也のことが好きな女子沢山いたんですからね!」


 その言葉に俺はちょっとびっくりした。


「え? マジで?」


 絵美は呆れたように手を掲げた。


「そりゃあれだけスポーツ万能で、顔も中世的で、自分の世界を貫いていて、クールな美男子がモテないわけないじゃないですか! 正直に申し上げると、卓也は前世から陰キャのくせにスペックが高すぎなんですよ!」


「いやいや。確かにスポーツは人よりできたけど、顔だって中の上だし、髪型はただのモブみたいなショートヘアだし、私服はジャージだし、テストの成績だって平均点だし。そんな奴がハイスペックなわけがないだろう!」


 絵美はいきなり「ぶぶぅぅー」と言いながらバッテンマークを作った。


「確かにテストは平均点でしたが、普段授業中に寝ていて、テスト前に一夜漬けで勉強して平均点なら普通に地頭いいですよ。だから異世界でも知性のステータスが低いというデバフ状態でもそれだけ頭が回るのではないですか? ウチの高校は偏差値高いから、本当に頭が悪いなら入学できていませんよ!」


 確かに馬鹿ってわけじゃない。ゲームに関しては天才的だと思うが、それ以外運動神経が人よりいいくらいしか取り柄がないのだ。


 しかも顔だって中の上だぞ? 令和の時代どれだけ芸能人クラスのイケメン男子高校生が沢山いると思ってんだと文句を言ってやりたい。


 だけど、その心理すら絵美は読んでいたようで、はっきりと言い切った。


「それ顔については自己認識が低すぎです。ヘアスタイルがダサい。服もダサい。靴もダサい。スキンケアは適当。眉は整えない。美顔器とか使って顎のラインをシャープにする努力もしてない。歯だってホワイトニングしてない。筋トレはしているけど、あまり食べないから痩せすぎでひ弱そうに見える」


 数々の問題点を指摘して下げたあと、愛の告白かと思うくらい熱烈に推してきた。


「何の努力もしてないのに客観的に見て上の中くらいは恰好良かったですよ? 磨けば芸能人の美形です。頭と容姿に関しては卓也の完全な努力不足のせいですね。それは間違いありません!」


 なんか褒められたのか、貶されたのかは分からないが、絵美がそれだけ俺のことを好いてくれているのは分かる。


 でも彼女のいる身としては、お前も彼女でハーレムだなんて言えるわけがない。ラノベと現実は違うのだ。


 実際にこの世界でも貴族以外の多重婚は禁止されているし、俺も貴族だが、男爵家令息くらいの身分でハーレムなんて築いた日には、もっと上の貴族に睨まれる可能性だってある。


 それに第一レビアが許さないだろう。彼女はとても一途であり、健気であり、ヤンデレなほど独占欲が強くて嫉妬深いのだ。


 そんな彼女を裏切る真似なんて、俺にはできない。なんて言おうか戸惑っていると、絵美が「えいっ」っとデコピンしてきた。


「と~も~か~く~。卓也はもっと乙女の気持ちに敏感になるべきです。浮気しろなんて言いませんから配慮くらいはしなさい! 分かりましたね?」


 ちょっと怒った表情を見せならすぐに「えへへ」と笑顔になった。本当に絵美はいい奴だ。確かに舞花にあんた乱暴な真似して、乙女心を傷つけたことには違いない。


 俺は謝罪しようと思い立ち、屋敷へと駆け出し、振り返って絵美に手を振った。


「ありがとう。絵美。俺、舞花に謝ってくる!」


 絵美は手を振って。


「はい。乙女心には充分配慮してくださいね~♪」


 と笑っていた。


 俺は屋敷に戻ると、そこには入り口近くに舞花の姿があった。俺は何かを見つめている舞花に驚かせないように配慮しながら語りかけた。


「舞花。さっきはごめん。俺のデリカシーがなかったよ!」


 舞花こちらを向くと首を振った。


「別にあんたがデリカシーないのはいまに始まったわけじゃないから別にいいのよ。気にしてないし。それよりこれ見なさいよ!」


「え? 何が?」


 と首を傾げながら舞花からはがきを受け取った。そのはがきには『勇者選別武術大会のご案内』と書かれていた。


 どうやら俺は世界を救う勇者候補の一人として選ばれたようだった。


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