表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/144

第83話『勇者視点~魔王誕生~』

 僕はあの後、魔人王城にいる魔族を皆殺しにした。使えそうな一人を除いては。魔族なんて生きる価値のないゴミだと前々から思っていた。しかし、僕は例外だ。何故なら有能だからだ。


 もし僕が勇者のままだとしたら、ポイント稼ぎのために、無能な魔族を見逃す方向に走っていただろう。


 でも僕は勇者には成れなかった。僕は魔王になったのだ。まだ人類の味方をするか、人類を敵に回すかで、立場は英雄か新たな災厄の誕生かに分かれる。


 しかし、どうせ人間の味方をしたとしても、魔族に堕天し、魔王化した勇者として後ろ指を指されて生きていくことになる。


 この僕を敬わない人間如きに無能な生物に存在価値などあるだろうか。僕の答えはノーだ。そんな無価値なゴミは始末して本当に優秀で自分に逆らわない忠実な部下だけを残せばいい。


 それ以外のちょっとくらい使えるゴミは全員奴隷として、飯と水を与えて強制労働だ。



 そうやって優秀な奴だけを残して行けば、最強の布陣を築けるだろう。もちろん僕より出来る可能性のある奴も始末だ。自分の優位性を揺るがしかねない規格外など仲間ではなく敵なのだから。


 僕は今まで自分が善性なる正義の化身だと信じて疑わなかった。でも違った。僕の本質はあの傲慢な田舎の英雄と同じ部類の独善という物だ。


 つまり最初から勇者に向いてなかった。人として屑同然の男だったのだ。それを僕はありのままに認めた上で悪に生きると決めた。


 自己を肯定しつつ、あの傲慢なる田舎の英雄に復讐する。


 それこそが僕のとる選択肢。人類なんて僕の駒に過ぎない。この圧倒的な力の前に逆らえる人類などいない。


 それにどんなに異世界人が強敵でも、女神と邂逅を果たした者は、世界を救えないという制約がある。


 だからもし伝説の配信者がその制約を破って立ち向かってきたら、その圧倒的なスペックやスキルは失われてしまう。


 そんなゴミなど相手にすらならない。


 僕は決めたのだ。人類の敵対者【独善の魔王ミカリス】として世界を征服して、英雄や救世主などちっぽけ世界に縛られた存在ではなく、世界の覇者になるのだと。


 その方が権力と金と支配という武器で何でも自分の思い通りに自分に逆らう奴は全て排除することができる。


 英雄より権力者になった方が何倍も得なのだ。


 これは僕の使命である。


 その僕の新たな使命の最大の障害となるのが魔剣士ルシフという存在だ。


 僕にとっての宿敵であり、僕を闇に堕とさせた張本人だ。そんなカスは早々に始末する必要がある。


 そこで僕は一人使える駒を用意していたのだが、奴は魔人王城、いやもう僕の城だから魔王城か。


 つまりそいつはこの城から飛び出し、何処かで遊び歩いているのだ。そんなカスのために僕は貴重な時間を無駄にしなければならない。いや修練に費やすとしよう。どうせ奴が失敗したら、次は僕自らがルシフを抹消しなければならない。


 あの人間のゴミの強さだけは折り紙つきだ。特にユニークスキル【傲慢】。あれはおそらくこの世界で一番強いスキルだろう。異世界人を探せばもっと強いスキルもいるかもしれないが、そいつが僕の配下に下る可能性は低い。むしろ女神と邂逅した奴なら敵対できないとして逃げられる可能性が高い。


 どちらにせよ。今の僕はあとレベルさえルシフを抜くことができれば勝てるのだ。スキル【独善】はある意味【傲慢】にとって最大の天敵なのだからな。


 どうやらこの世界の神は最初から勇者としての僕ではなく、魔王として世界の覇者として君臨することを望んでおられるようだ。


 僕は神に反逆したりしない。神に逆らう馬鹿はみんな最後に自滅すると相場が決まっているからだ。


 だから僕は神を愛し、自分を愛し、世界を統べる覇者となる。


 それこそがこの僕【独善の魔王ミカリス】の真の果たすべき使命なのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
改心した矢先、パーティーの仲間が全員殺されてしまい、その絶望でミカリスくんが魔王へと変貌してしまったのが意外でした。 家庭も築けそうだったのになんか可哀想でした…。 果たしてルシフくん達はどう対処する…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ