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第64話『勇者視点~完全敗北~』

 翌朝ギルドの中がめちゃくちゃ騒がしかった。僕は何事かとウリエスに話しかけた。


「どうしたんだ? 何かあったのかい?」


「ミ、ミカリス。そ、それが……」


 ウリエスが何かを気にかけている。その様子が気になり、僕は皆が集まっているギルドの魔導掲示板を眺めた。


 そこには誰かが偉業を成し遂げたということが書いてあった。この僕を差し置いて生意気だと思いながら掲示板の内容を見ていると、そこに映っていた冒険者名には覚えがあった。


「Aランク冒険者ルシフ・ホープが、七神竜【水竜リヴァイアサン】を討伐だって……」


 あの田舎の引きこもりのルシフが七神竜を討伐。しかも序列二位の【水竜リヴァイアサン】をソロ討伐。


「あ、ありない……。こんなの何かの間違いだぁッ!」


 僕は思わずギルドの机をバンと叩いた。魔王より格上の七神竜を討伐だと。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ。


「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ……ッ!」


 僕は心にひびが入る音が聞こえた。


「ありえない。ありえない。ありえない。ああ、ああああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」


「おい! しっかりしろ! ミカリス! オイラたちだってあいつに負けないくらいの成果を挙げているじゃないか!」


 その言葉にラフィエルも同意していた。


「ああ。全くその通りだ。七神竜など天災だ。出会ったら最後。そこで破滅する運命の敵。そんな規格外の敵をソロ討伐したルシフ・ホープとやらは確かに凄いし、嫉妬する気持ちも分かる」


 そして、ラフィエルは続ける。


「だがな。魔人王は人災だ。世界の敵対者であり、我々人類が討伐すべき最優先事項だ。天災は関わらなければ害がない。でも人災は違う。こちらが和平を述べようとそれを拒否して世界を敵に回しているのだ。つまりいくら奴が派手でも我々の方が人類の役に立って――」


 そこで僕はラフィエルの言葉を遮った。


「うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! うるさい! 僕は、僕は、ルシフを、ルシフを殺さなければならないんだ! あんなに苦しみ抜いて努力したのに、何故ルシフに届かない? 奴は何者だ? なんで奴は世界を救うことを放棄して天災なんかを相手にしている。つまり、こういうことだろう……」


 僕は続けた。


「魔王軍なんて討伐している僕らより俺の方が凄いんだって。あのニヒルな笑い方で馬鹿にしているんだろう! クソが! カスが! なんで、なんで、なんで、あんなクズなんかにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」


 僕は暴走した。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ギルドの酒瓶を割り、テーブルや椅子を蹴り、暴れまわった。その時、背中からちくりとする感触を覚えた。


「あ、あぁぁぁ……」


 そこには鎮静剤を手に抱えた聖女がいた。僕は「この裏切り者」と呟いた。しかし、聖女は「これもあなたのためですわ」と慈愛に満ちた少し悲しげな瞳で僕を見つめた。やめろ。やめてくれ。そんな目で僕を見ないでくれ。僕はそのまま意識を失った。


 そして、一日後、僕は目を覚ました。



「僕は……」


 僕はふとあの出来事を思い出し、冒険者カードを確認した。そこのAランク冒険者上位勢のステータスを裏ルートから公開している闇の動画配信者の動画で確認した。


 そこに書かれているルシフのステータスを見て、僕は完全に脱帽した。



 ステータス 

 ルシフ・ホープ

 ジョブ 魔剣士

 レベル 77

 生命力770

 魔力755

 攻撃力975

 防御925

 敏捷1490

 技術765

 知性155

 幸運1540

 魔力属性 無 

 魔力装備 【虚無の魔剣+3】 攻撃力120(135) 効果 全ての敵に与えるダメージが2倍+クリティカルヒット率上昇。追加効果 攻撃力+15 

 防具 【影竜のコート】 防御力100 効果 全ての魔力耐性と全状態異常耐性を50パーセントアップする。追加効果 魔力耐性25パーセントアップ。全状態異常耐性25パーセントアップ。

 アクセサリー 【キュアリング】 効果 全状態異常耐性が25パーセントアップ。

 ユニークスキル【傲慢】 一度攻撃すると2回攻撃判定が入る。しかも一度に2回魔法と奥義を放てる。2回目は消費魔力はなし。魔法や奥義も1回につき2回判定が入る。かなり高速度で魔法詠唱でき、奥義による硬直時間も無効化する。

 流派 流派 中央大陸流 免許皆伝 東大陸流免許皆伝 西大陸流免許皆伝。虚無流免許皆伝。無属性魔法免許皆伝。回復魔法免許皆伝。防御魔法免許皆伝。天下無双流上級。

 奥義。

【魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを最大1,2倍上昇させる。

【新魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔法系のステータスを2倍に上昇させる。

【スラッシュ】 効果。飛ぶ斬撃を放つ。

【クリアスラッシュ】 効果。魔力を身に纏い、強力な一撃を敵に食らわせる。

【トリプルスライス】 効果。魔力を身に纏い、流れるような三連撃を食らわせる。

【ブレイドダンス】 効果。魔力を身に纏い、踊るような五連撃を敵に食らわせる。

【エクストリームブレイク】 効果。巨大な魔力の剣で敵を斬る。

【ファーストブレイド】 東大陸流初級剣術。魔力を剣に纏わせ、敵に大きさ袈裟斬りを放つ。

【セカンドブレイド】 東大陸流中級剣術。魔力を剣に纏わせ、交差するような袈裟斬りを放つ。

【サードブレイド】 東大陸流上級剣術。魔力を剣に纏わせ、四連続で交差して敵を斬る。

【フォースブレイド】 東流秘伝の剣術。魔力を剣に纏わせ、十二連続で交差して敵を斬る。

【ホワイトスティング】 西大陸流の初級剣術。魔力を纏わせ、突き攻撃を繰り出す。

【イノセントレイン】 西大陸流の中級剣術。魔力を纏わせ、三連続で敵を突く。

【ホワイトアウト・スティンガー】 西大陸の中級剣術。魔力を纏わせ、敵にクリティカルヒットを与える突きを繰り出す。

【スノウ・インフィニティ】 西大陸流の秘伝の剣術。魔力を纏わせ、連続四回クリティカルヒットを与える突きを繰り出す。

【シャドウレイン】 無の剣を無数に出現させて飛ばす。

【ブラッドネスバースト】 無の魔力を纏い、ドリルのように身体を回転させて突っ込む。

【デススティンガー】 無の魔力を纏い、敵の急所を突き、一定の確率で即死させる。

【ダークネスブレイカー】 無の魔力を纏った剣で、無数の巨大な剣を出現させて飛ばす。

【火花一閃】 火花が飛び出るような居合斬りを放つ。

【無双連閃】 目にも止まらない連続二十回の連続斬りを相手に浴びせる。

【天下布武】 無心になり斬ることで、敵にクリティカルヒット+二倍のダメージを与える。

 魔法 

【ヒール】 効果 怪我や体力を回復させる。

【キュア】 効果 状態異常を回復する。

【リヒール】 効果 一定時間自動で体力が徐々に回復する。

【リザレクション】 効果 瀕死や身体欠損を治す。

【エクスヒール】 効果 完全に傷や体力を全快させる。

【バリア】 効果 敵の攻撃を防ぐ魔法障壁。

【プロテクト】 効果 敵の攻撃をほぼ完全に防ぐ魔法障壁。

【ガードウォール】 効果 壁のような魔法結界により一度だけ敵の攻撃を完全に無効化する。

【パーフェクトプロテクション】 効果 巨大な魔法結界を生み出し、敵の攻撃を言って一時間完全に防ぐ。

【マジックショット】 効果 無属性の魔力弾を飛ばす。

【マジックバスター】 効果 無属性の魔力砲撃を放つ。

【マジックボム】 効果 無属性の巨大な魔力爆撃弾を放つ。

【マジックバースト】 効果 無属性の巨大な魔力砲撃で大爆発を巻き起こす。


 それを見た僕は思わずこう呟いた。


「もう真の英雄は勇者ミカリスではなく、魔剣士ルシフの方だったんだな……」と――。


 その後、僕は一か月間の休養を取ることにした。もちろん魔王を倒さなくてはならないので【魔力強化・改】だけは続けて、ひたすら飯を食べて、筋トレをして、ひたすら寝るという生活を淡々と続けた。そして、僕は思った。もう僕ではあいつには逆立ちしても敵わない。そう思い至り、ちょっとずつだが、仲間たちとの会話や穏やかな生活の中で、ありのままの自分を愛することができるようにメンタルが回復していった。


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