第57話『白竜魔刀』
「行くぞ! 舞花!」
「来なさい! 卓也!」
俺たちは屋敷の庭で今日も鍛錬に励んでいた。それも次のクエストユニコーン討伐のために舞花戦闘の武器を錬金する必要があるため、それを待っている間に修行に励んでいるというわけだ。
それと睡眠時間を最近は十四時間に増やしている。その方が大量の経験値を得られるからである。しかも【魔力強化・改】を物理特化から魔力特化に切り替えることで、さらに経験値効率が倍増した。一時間で10万経験値も得られるのだ。
そして、現在の俺のステータスはこうなっている。
ステータス
ルシフ・ホープ
ジョブ 魔剣士
レベル 75
生命力750
魔力735
攻撃力955
防御905
敏捷1450
技術745
知性135
幸運1500
魔力属性 無
魔力装備 【虚無の魔剣+3】 攻撃力120(135) 効果 全ての敵に与えるダメージが2倍+クリティカルヒット率上昇。追加効果 攻撃力+15
防具 【影竜のコート】 防御力100 効果 全ての魔力耐性と全状態異常耐性を50パーセントアップする。追加効果 魔力耐性25パーセントアップ。全状態異常耐性25パーセントアップ。
アクセサリー 【キュアリング】 効果 全状態異常耐性が25パーセントアップ。
ユニークスキル【傲慢】 一度攻撃すると2回攻撃判定が入る。しかも一度に2回魔法と奥義を放てる。2回目は消費魔力はなし。魔法や奥義も1回につき2回判定が入る。かなり高速度で魔法詠唱でき、奥義による硬直時間も無効化する。
流派 流派 中央大陸流 免許皆伝 東大陸流免許皆伝 西大陸流免許皆伝。虚無流免許皆伝。無属性魔法免許皆伝。回復魔法免許皆伝。防御魔法免許皆伝。天下無双流上級。
奥義。
【魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを最大1,2倍上昇させる。
【新魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔法系のステータスを2倍に上昇させる。
【スラッシュ】 効果。飛ぶ斬撃を放つ。
【クリアスラッシュ】 効果。魔力を身に纏い、強力な一撃を敵に食らわせる。
【トリプルスライス】 効果。魔力を身に纏い、流れるような三連撃を食らわせる。
【ブレイドダンス】 効果。魔力を身に纏い、踊るような五連撃を敵に食らわせる。
【エクストリームブレイク】 効果。巨大な魔力の剣で敵を斬る。
【ファーストブレイド】 東大陸流初級剣術。魔力を剣に纏わせ、敵に大きさ袈裟斬りを放つ。
【セカンドブレイド】 東大陸流中級剣術。魔力を剣に纏わせ、交差するような袈裟斬りを放つ。
【サードブレイド】 東大陸流上級剣術。魔力を剣に纏わせ、四連続で交差して敵を斬る。
【フォースブレイド】 東流秘伝の剣術。魔力を剣に纏わせ、十二連続で交差して敵を斬る。
【ホワイトスティング】 西大陸流の初級剣術。魔力を纏わせ、突き攻撃を繰り出す。
【イノセントレイン】 西大陸流の中級剣術。魔力を纏わせ、三連続で敵を突く。
【ホワイトアウト・スティンガー】 西大陸の中級剣術。魔力を纏わせ、敵にクリティカルヒットを与える突きを繰り出す。
【スノウ・インフィニティ】 西大陸流の秘伝の剣術。魔力を纏わせ、連続四回クリティカルヒットを与える突きを繰り出す。
【シャドウレイン】 無の剣を無数に出現させて飛ばす。
【ブラッドネスバースト】 無の魔力を纏い、ドリルのように身体を回転させて突っ込む。
【デススティンガー】 無の魔力を纏い、敵の急所を突き、一定の確率で即死させる。
【ダークネスブレイカー】 無の魔力を纏った剣で、無数の巨大な剣を出現させて飛ばす。
【火花一閃】 火花が飛び出るような居合斬りを放つ。
【無双連閃】 目にも止まらない連続二十回の連続斬りを相手に浴びせる。
【天下布武】 無心になり斬ることで、敵にクリティカルヒット+二倍のダメージを与える。
魔法
【ヒール】 効果 怪我や体力を回復させる。
【キュア】 効果 状態異常を回復する。
【リヒール】 効果 一定時間自動で体力が徐々に回復する。
【リザレクション】 効果 瀕死や身体欠損を治す。
【エクスヒール】 効果 完全に傷や体力を全快させる。
【バリア】 効果 敵の攻撃を防ぐ魔法障壁。
【プロテクト】 効果 敵の攻撃をほぼ完全に防ぐ魔法障壁。
【ガードウォール】 効果 壁のような魔法結界により一度だけ敵の攻撃を完全に無効化する。
【パーフェクトプロテクション】 効果 巨大な魔法結界を生み出し、敵の攻撃を言って一時間完全に防ぐ。
【マジックショット】 効果 無属性の魔力弾を飛ばす。
【マジックバスター】 効果 無属性の魔力砲撃を放つ。
【マジックボム】 効果 無属性の巨大な魔力爆撃弾を放つ。
【マジックバースト】 効果 無属性の巨大な魔力砲撃で大爆発を巻き起こす。
とまあ。こんな感じだ。敏捷性だけなら、クッズ戦の時の奴と同等のステータスくらいは強くなっているはずだ。
そんなわけで俺は舞花の剣術を上級まで盗んだのだが、なかなか免許皆伝奥義までは見せてくれない。なので、彼女の奥義を習得できずにいた。
俺は焦らされているみたいでちょっと苛立ちを覚えて、舞花に頼んでみた。
「なぁ? 舞花? 免許皆伝奥義教えてくれよ?」
舞花は腰に手を当てて怒り出した。
「そんな簡単にただで教えるがわけないでしょう! ただでさえあんたに魔法面でのステータスや技術では敗北しているのに、これ以上先を越させてたまるもんですか!」
「ちぇ。ケチ!」
「いいのよ。ケチで。アタシはあんたの虚無流の剣術を焔流に昇華させて吸収してやったし新魔力強化・改だって修得したね。これで剣術面だけならあんたに負けてないはずよ!」
俺は口の端を歪めて挑発した。
「それはどうかな。舞花は俺に一度だって勝てたことないしなぁ!」
その言葉がトリガーとなり、舞花は激怒した。
「はぁ? もっかい言ってみないさいよ! このおたんこなす!」
舞花は俺の身体に締め技をかましてきた。俺はその痛みに悲鳴をあげた。
「いたたッ! 暴力反対! 令和の女子高校生のやることじゃないってば! やめてぇぇぇぇ!」
そんな風にじゃれ合っていると、レビアが真っ黒でぐるぐると嫉妬の炎が渦巻いた瞳をしてやってきた。
「ふぅん。ずいぶんとふたりで楽しそうだねぇ♪」
死んだ瞳のまま笑う彼女はまさにサイコホラーそのものだ。その狂気はある意味クッズより恐ろしい。
俺はすぐに舞花の占め技から抜け出し、レビアに土下座した。
「許してくれ! レビア! これはただじゃれていただけで決してお前が思うようなことじゃない! 断じて誓う!」
俺が何度も何度も土下座していると、レビアはその頭を足で踏んできた。
「ねえ? 今度やったらどうなるか、わかっているよね? ね♪」
美少女の足で踏まれるのも、それはそれで嬉しいのだが、そんなことよりもけっこう力が入っていて本気で痛い。
俺は地面に顔をうずめながら全力で謝罪した。
「ず、ずびまぜん。もう二度としないので、ゆるじてぐだざいぃぃ!」
俺の本気の謝罪が伝わったのか、レビアは足をのけて、すぐに俺を抱きしめて、耳元で囁いた。
「ねえ? 世界で誰を一番愛しているのか。言ってくれるよね?」
俺は問答無用で即答した。
「そんなのレビアに決まっているだろが! 俺が世界一愛しているのはレビアだけだ!」
その言葉を聞いた瞬間。レビアはさらに俺をぎゅーと抱きしめたあと、咄嗟に唇を奪ってきた。
長い接吻のあと、レビアは満足そうに蕩けた顔をしていた。
「えへへ。ルシフ。だぁいすき♪」
もうそこには狂気は消えており、いつもの優しいレビアに戻っていた。俺も強く抱きしめて、リリアに誓った。
「俺もだ。俺もレビアが大好きだよ!」
そう言い合ってから再び抱擁していると、こほんと咳払いが聞こえてきた。
「そういうのはふたりの時にしてくれないかしら? 見ているこっちが恥ずかしいわ!」
俺とレビアは顔を真っ赤にして俯き、声を合わせて謝罪した。
「「す、すみません……」」
舞花が溜息を吐いたあと、レビアに重要なことを聞いた。
「それよりレビア。魔装備は完成したの?」
すると、レビアは俺から離れて、近くに置いてあった【収納リュック】から、一本の白い刀を取り出した。
「当然だよ。これは嫉妬のユニークスキルがいい仕事してくれたわたしの最高傑作白竜魔刀だよ!」
レビアはその白い刀【白竜魔刀】を舞花に渡すと、舞花はすぐにそれを抜いて刀身眺めた。
「これは至高の一振りね! まるで刀身からレビアからの嫉妬の炎をびりびりと感じるわ! 凄く頼もしいわ! ありがとうね。レビア!」
「ううん。お礼を言うのはわたしの方。やっぱりわたしは嫉妬してこそ本領を発揮する女なんだって理解できたから。これからまた恋のライバルが現れる度に、この嫉妬の炎を糧にして、世界一の錬金術師になってみせるよ!」
舞花はぐっと親指を突き立てた。
「ええ。その意気よ!」
そうしてふたりは笑い合った。なんだかんだこのふたりは仲良くなってきたのかもしれない。
それにしてもあの【白竜魔刀】を冒険者カードでスキャンしたのだが、攻撃力が300もあり、錬金効果が+3追加で60ポイントも攻撃力が加算されている。追加効果は炎属性の威力を3倍まで高めて、敵の相性を無視するという。ぶっ壊れ性能だ。間違いなく俺の虚無の魔剣より遥かに業物である。ユニークスキル【嫉妬】はマジで恐ろしい。これは本当に世界一の錬金術師に成れてしまうのではと思わざるを得ない。
おそらくこの一振りを装備した舞花には攻撃力のステータスでは大きく差をつけられてしまっていて通常攻撃の火力だけなら勝てないだろう。でもそれだけ仲間としては頼りになる。
課題となっていた火力は問題なさそうだ。レビアは魔法札でデバフをかけて、俺が魔法で攻撃し、舞花が剣で叩き斬る。この戦法でおそらく【ユニコーン】にも対抗できるだろう。
準備は整った。俺はレビアや舞花に語りかけた。
「みんな。いいか? このユニコーン戦をクリアしたら、レビアはまた夢へと一歩大きく前進することになる。それは長期的に考えたらこのホープ村の冒険者の戦闘力強化や病気の人の命を救うのに大いに役立つことだろう。だから俺はから言えることはこれだけだ!」
俺は言葉を続けた。
「このクエストを絶対にクリアしよう。そして、その次のクエストもクリアして、俺たちの最強の道具屋を完成させるぞ!」
「「おお~~!」」
こうして、俺たちは決意を新たに、多少の準備をしてから、すぐに【ユニコーンの湖】を目指して旅立つことになった。




