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第49話『恋人になってからの初デート』

 いよいよ二章開幕です。

 今日は何の日だと思う? それは俺にとって特別であり、記念すべき日だ。もう一度聞こう。何の日だと思う?


 答えは恋人になってからレビアと初めてデートする日だ。


 お前今まで死ぬほどデートしてきとるやんけというツッコミは受け付けない。恋人未満と恋人になってからのデートは別物なのである。


 今日もまた村の噴水の前で【魔力強化・改】を使用しながら、スクワットして二時間くらい待っていた。おかげでたくさん経験値が稼げた。これも愛の為す力である。


 ちなみに俺の生活は今までより、かなり忙しくなった。特別指定クエストは二週間に一回は入って来るし、クエストの内容もBランクからAランクモンスターの討伐依頼が多くなった。


 ちなみにほとんど舞花とふたりでこなしている。流石は異世界人で、元剣道全国大会優勝者なだけあってめちゃくちゃ強い。


 もしかすると、魔法と奥義を使わなければ、俺が負ける可能性も十分過ぎるほどある。


 やはり流石は俺の前世の幼馴染だ。舞花は凄い奴である。


「9999! 10000!」


 とうとうスクワットも一万回を超えてしまった。やはりデート前に女子を待つというのは男の性なのだろう。


 もう1000回やるかと気合を入れていると、背後からつんつんと指で突かれた。俺は後ろを振り返ると、前のデートの時に来ていた露出度高めのミニスカドレスを着たレビアがそこにいた。


 ああ。可愛い。可愛い過ぎだろ。俺の彼女。なんて早速惚気気味になったが、レビアは俺にぺこりとお辞儀して謝罪した。


「ごめんね。ルシフ。待たせちゃって。お弁当に手間取っちゃったんだ……」


 俺は首を振った。


「そんな。レビアは悪くないよ。それだけ俺のために一生懸命作ってくれたんだろ? ならオールオーケイさ! それにいいレベリングも捗ったしね!」


 俺はウインクしてサムズアップすると、レビアは嬉しそうに喜んだ。


「うふふ。やっぱりルシフは優しいね。じゃあ、ちょうどお昼だし、お弁当にしよっか!」


「おっ! 待っていました! 今日もチーズ肉サンド?」


 レビアはちっちと指を振って、得意そうな表情を見せた。


「甘いね。ルシフ。今日はなんとダブルハンバーグサンドだよ!」


「な、なんだってぇぇぇッ!」


 俺にしては一大事だ。だってあれだろう? ダブルハンバーグサンドって、つまりはダブルビーフバーガーってことだろう? そんなの嬉しいに決まっている。俺はハイテンションで拳を空に突き上げてジャンプした。


「やったぜ! ありがとう! レビア!」


「どういたしまして! じゃあ。食べよっか?」


「おう!」


 俺たちは噴水のベンチに座り、レビアがバスケット箱に入っている、包み紙を手渡してきた。


「はい。どうぞ!」


「ありがと!」


 俺は包み紙を受け取ると、早速中身を広げた。そこには異世界に来て初のハンバーガーが入っていた。俺は興奮してレビアに尋ねる。


「これ? どうやって作ったの?」


 レビアは冒険者カードを俺に見せつけてきた。そこにはダブル肉サンドの作り方という動画があった。そして、レビアは得意気に胸を張った。


「この動画を見ながら作ったの! どう凄い?」


 いや、動画見ながら作ったなら、凄いのはその動画投稿者だろうとツッコミたくなったが、彼女に激甘な俺はにやけ面で頷いた。


「うん! レビアは料理の天才だね!」


「うふふ。やったぁ♪」


 嬉しそうにガッツポーズするレビアも無邪気で可愛いなと思いながら、とりあえず「いただきます」をしてから、ダブルハンバーグサンドなるダブルビーフバーガーを頬張った。


 味付けは甘い醤油タレに、マヨネーズというシンプルな味付けだが、塩コショウも効いていて、凄く美味い!


 肉の旨味ともふもふのパンの感触が、とんでもない暴力を生み出している。間のレタスに塗られたマヨネーズの酸っぱい味付けも絶妙だ。


 俺は三十秒で食べてしまい、レビアに素直な感想を口にした。


「美味いよ! レビア! これめっちゃ美味い! 俺の前世の故郷で食べたハンバーガーと同じ味付けだ!」


 俺がハイテンションで浮かれていると、レビアも同じような態度を見せてくれた。


「本当! やったぁ♪ やっぱり異世界人の作る料理なら、ルシフが喜んでくれると思って、食材や調味料とか、仕事の報酬金で揃えて、いっぱい動画で勉強して正解だったよ! 本当に良かったぁ!」


 まさか俺のためにそこまで努力してくれたとは、なんかうるっときてしまう。俺は包み紙をレビアに返した。


「俺のためにそこまでしてくれて、本当にありがとう。ダブルハンバーグサンドめっちゃ美味しかったよ!」


 すると、レビアは微笑んで、包み紙を受け取ると、もうひと包み、バスケット箱から包み紙を取り出した。


「たくさん作ったから、まだまだおわかりはたくさんあるから、もっと味わって食べてね?」


「うん! 分かったよ! じゃあ、おかわり、いただきます!」


 俺はもう一個ダブル肉サンドなる、ダブルビーフバーガーを頬張った。やばい。やっぱりハンバーガーは美味過ぎる。懐かしすぎて涙が出そうだ。


 そろそろ異世界に転生して来て八ヶ月か。もうすっかりここの生活にも慣れたけど、やっぱりゲームをやりたい欲求はかなりある。


 いや、VRMMOをしていると思えば、凄く楽しいのだが、そろそろコンシューマーやソシャゲもやりたいと思ってしまう。


 最近はAランククエストですら、舞花が同行しているおかげであまり苦戦しなくなって退屈している。そろそろまたエンドコンテンツ級の隠しダンジョンにでも挑戦したいものだ。


それはそうと、レビアも錬金術師としてかなり高ランクのアイテム作成に成功していた。彼女ももう終盤の錬金術のサポートキャラクターくらいの腕前はあるのではなかろうか。


 俺は色々考えながら、ハンバーガーをもしゃもしゃと頬張り続けた。ああ。美味い。もう死んでもいいくらいだ。いや、死んだらこの異世界でレベリングやクエストができなくなるので、死ぬのは困るな。なんて浮かれたことは考えていると、レビアに話しかけられた。


「ねえ? ルシフちょっといい?」


「ん? どうした?」


「実はちょっと相談したいことがあるの……」


「ああ。別に構わないが……」


「本当! ありがとう! ルシフ!」


「お、おう! それで相談ってなんだ?」


「じ、実はね……」


 レビアは少し言いにくそうに遠慮していた。どんな内容かは分からないが、彼女が困っているなら力になってやりたい。俺はレビアの相談に乗ってあげることにした。


 いかがでしたか。二章のテーマは道具屋経営。ルシフが人として大きく成長する物語でもあるので、彼の成長を楽しんでいただけると嬉しいです。


 勇者ミカリス視点も増えていき、悪役として彼もますますヒートアップしていきますので、ルシフの光とミカリスの闇の対比も楽しんでいただけたらなと思います。


 では二章も闇堕ち魔王をよろしくお願いします。

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