第140話『魔王ミカリス視点~大魔王石~』
僕はある懸念点を抱いていた。あのルシフがこの短期間で急激に力をつけていることだ。
おそらく奴には何か特別な訓練方法があるのだろう。その予想では奴は更なるパワーアップを果たしてくるはずだ。
よってこの三日間の休みを利用して、僕は懐かしき魔王城へと帰還していた。
僕が帰還すると多くの部下が敬意を払って頭を下げた。
「おかえりなさいませ! ミカリス様!」
「うむ……。賢者はいるか?」
僕がそう問うと、聖女がやってきた。
「はい。ラフィエルなら、昨日ミカリスが言っていた、例のアレを完成させたところですよ!」
「そうか。あれができたか! 賢者は研究室だな?」
僕が嬉しそうに問うと、聖女は優しく微笑み頷いた。
「はい。ラフィエルもこんなに楽しいのは久しぶりだとはしゃいでいましたよ!」
「そうか。それはよかった。では早速向かうことにしよう!」
「はい。ミカリス。お気をつけて!」
「ああ。行ってくる!」
僕は王城の兵士たちの敬礼を受けながら、賢者の実験室へと向かった。そこには大量の骨と人体実験に使ったホムンクルスたちが存在していた。
とても皆それぞれ幸せそうに苦しんでいる。いい光景だ。思わず微笑ましくて笑みが零れる。
ラフィエルはどうやら読書をしているようだ。どうせまた魔術書だろう。本当にこいつはどうしようもない魔術オタクだ。
僕は読書に夢中になっているラフィエルに声をかけた。
「おい。ラフィエル。帰ったぞ!」
その声を聞くや否や、ラフィエルは穏やかな表情を見せた。
「やあ。よく帰ったな。ミカリス」
なんだかいつもの呑気さに思わず気が緩んでしまう。しかし、僕は魔王だ。ここは毅然とした態度をとるべきだろう。
僕はラフィエルに威厳を持って語りかけた。
「ああ。それより例のマジックアイテムはできたか?」
ラフィエルはちょっと狂気が混じったように微笑んだ。
「ああ。できたとも。これこそが、大魔王石。お前を大魔王へと格上げしてくれる石だ!」
「おお。これが大魔王石か……」
僕はその黒々としながらも大好きな青を帯びているのが、僕に相応しいという印象を抱いてしまった。
僕はその石を手に取った。
「早速、試してみていいか?」
「もちろんだとも!」
ラフィエルの言葉に促されて、僕は大魔王石を噛み砕いて飲み込んだ。
その途端力が溢れる気がして、端末でステータスを確認した。
ミカリス
ジョブ 大魔王
レベル500
生命力61567
魔力61679
攻撃力68550
防御力67255
敏捷69856
技術68970
知性69855
幸運61777
魔力属性 光
魔力装備 【独善の魔剣+3】 攻撃力3500(1500) 効果 独善のスキルの効果をアップさせる。
防具 【魔鎧】 防御力1000 効果 敵の奥義や魔法のダメージを半減にする。
ユニークスキル【独善】 相手のスキルやユニークスキルを無効化する。無属性と闇属性所持者に与えるダメージを10倍まで引き上げる。
流派 中央大陸流免許皆伝 勇者流免許皆伝 東大陸流免許皆伝 西大陸流免許皆伝 剣聖流中級 光魔法免許皆伝。回復魔法免許皆伝。防御魔法免許皆伝。
【魔力強化】 効果 魔力を身に纏い、ステータスを1・2倍アップさせる。
【魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを最大1,2倍上昇させる。
【新魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔法系のステータスを2倍に上昇させる。
【限界突破】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを3倍に上昇させる。
【限界突破・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを5倍に上昇させる。
【新限界突破・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔力系のステータスを6倍に上昇させる。
【限界覚醒】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを7倍に上昇させる。
【限界覚醒・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを8倍に上昇させる。
【真・限界覚醒】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを9倍に上昇させる。
【真・限界覚醒・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔力系のステータスを10倍に上昇させる。
【独善の魔王】 効果 姿が魔王形態に変化し、全てのステータスが15倍まで引き上げられる。
【真・独善の魔王】 効果 姿が魔王形態に変化し、全てのステータスが100倍まで引き上げられる。
【独善の大魔王】 効果 姿が大魔王携帯に変化して、全てのステータスが200倍まで引き上げられる。
【スラッシュ】 効果。飛ぶ斬撃を放つ。
【クリアスラッシュ】 効果。魔力を身に纏い、強力な一撃を敵に食らわせる。
【トリプルスライス】 効果。魔力を身に纏い、流れるような三連撃を食らわせる。
【ブレイドダンス】 効果。魔力を身に纏い、踊るような五連撃を敵に食らわせる。
【エクストリームブレイク】 効果。巨大な魔力の剣で敵を斬る。
【ファーストブレイド】 東大陸流初級剣術。魔力を剣に纏わせ、敵に大きさ袈裟斬りを放つ。
【セカンドブレイド】 東大陸流中級剣術。魔力を剣に纏わせ、交差するような袈裟斬りを放つ。
【サードブレイド】 東大陸流上級剣術。魔力を剣に纏わせ、四連続で交差して敵を斬る。
【フォースブレイド】 東流秘伝の剣術。魔力を剣に纏わせ、十二連続で交差して敵を斬る。
【ホワイトスティング】 西大陸流の初級剣術。魔力を纏わせ、突き攻撃を繰り出す。
【イノセントレイン】 西大陸流の中級剣術。魔力を纏わせ、三連続で敵を突く。
【ホワイトアウト・スティンガー】 西大陸の中級剣術。魔力を纏わせ、敵にクリティカルヒットを与える突きを繰り出す。
【スノウ・インフィニティ】 西大陸流の秘伝の剣術。魔力を纏わせ、連続四回クリティカルヒットを与える突きを繰り出す。
【セイントブレイク】 光の巨大な剣で敵を叩ききる
【シャインストライク】 光の魔力を纏い敵に突っ込む。
【シャイニングスライサー】 光の魔力を纏い敵に巨大な光剣を用いて四連続で斬る。
【ブリリアントソード】 光の魔力を纏い、全身に光を浴びて、一定時間無敵状態で敵に巨大な光の剣で攻撃できる。
【エスパーダ】 目にも止まらぬ二連撃の剣を放つ。
【バスターソード】 思いっきり上空を飛び唐竹割を食らわせる。
魔法
【シャイン】 光属性の魔法弾を飛ばす。
【シャイニング】 光属性の無数の魔法弾を飛ばす。
【レイ】 光属性の槍の雨を降らせる。
【ブリリアントブレイク】 光の巨大な稲妻の球を飛ばす。
【ヒール】 効果 怪我や体力を回復させる。
【キュア】 効果 状態異常を回復する。
【リヒール】 効果 一定時間自動で体力が徐々に回復する。
【リザレクション】 効果 瀕死や身体欠損を治す。
【エクスヒール】 効果 完全に傷や体力を全快させる。
【バリア】 効果 敵の攻撃を防ぐ魔法障壁。
【プロテクト】 効果 敵の攻撃をほぼ完全に防ぐ魔法障壁。
【ガードウォール】 効果 壁のような魔法結界により一度だけ敵の攻撃を完全に無効化する。
【パーフェクトプロテクション】 効果 巨大な魔法結界を生み出し、敵の攻撃を言って一時間完全に防ぐ。
完璧だ。これならルシフなど怖くなどないだろう。奴にはユニークスキルを封じられるという最大限不利な状況を与えられる。
これで僕が勝たない方がおかしいだろう。やつがどれほど努力しようともな。
僕は新たな自分の力に高笑いしてしまった。
「あはははは。あっはっはっはっはっはっは!」
ラフィエルも愉快そうに微笑んだ。
「ふっ。愉しそうだな。いまのお前は勇者の頃より輝いているよ!」
僕はラフィエルの言うことに深く共感して頷いた。
「そうとも。僕は勇者ではなく魔王に向いていたんだ。勇者などくだらない幻想に過ぎない。奴など、ルシフなどもう敵ではないわ! あっはっはっはっはっは!」
そこでラフィエルは僕に偉そうに忠告した。
「でも油断はするなよ。奴はイレギュラーの中のイレギュラーだからな。どんな手段を使ってくるか分からない!」
ちょっと偉そうな気もしたが、僕は仲間の言うことを信頼して頷いた。
「ああ。そうだな。少し調子に乗り過ぎた。慢心しないよう。奴を全力で潰すよ!」
ラフィエルは愉快に嗤った。
「ふっふっふ。それでもこそ俺たちの大魔王様だ。頑張れよ!」
「ああ。行ってくる!」
僕はにやつきが止まらなかった。これでようやくルシフを地獄の底へと葬り去れる。
胸の高鳴りとともに、僕は魔王城を後にした。




