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第130話『カズキの復讐』

 俺は現在、選手控室にいる。自販機に売店やトイレや更衣室が完備されており、


 選手にとってこれ以上ありがたい施設は他にないだろう。


 本戦一回戦第二試合だが、カズキが不祥事を起こしたので、タカネの不戦勝となった。


 俺は暇になったので、売店で軽食を購入した。


 ハムサンドイッチだ。


 ここのハムサンドは本当に美味い。


 俺は上機嫌でハムサンドを口にしていると、ピロンと冒険者端末が鳴った。


 そこには差出人不明の者から、王都北側の裏路地へ来いという話だった。


 もしかして、暗殺者か、何かかと思ったが、もしかするとまだ見ぬ強敵との戦闘が待ち受けているかもしれない。


 俺はついテンションが上がってしまい、その場所へ向かうため、選手控室から出た。


 闘技場を後にして、俺は指示通り、王都北側の裏路地へと猛ダッシュした。


 裏路地へ到着すると、そこにはカズキとミズキの二人組と、その他の冒険者がいた。


「へっへっへ。よく来たな! 闇堕ち魔王!」


 俺は内心、いま闇堕ち魔王になっているのは、ミカリスの方では冷静なツッコミを内心入れつつ、俺は呆れたように答えた。


「一体何の用だよ? 言っとくけど、あれはお前の方から仕掛けてきたんだから慰謝料とかは支払わないぞ?」


 はっきりと相手の要望を断ったつもりだが、どうやら奴の狙いは違ったようだ。


 俺は念のために、冒険者端末で録音を開始する。

 カズキは吠えた。


「うるせぇ。てめぇにおれがどれだけ恥をかかされたと思っている! おれが望むのはお前の命だ!」


 どうやらこいつは本気で俺を殺すつもりらしい。仕方ない。俺は冒険者端末で兵士団へカズキの録音とメール文を張り付けて、案内フォームへチャットを送った。


 これで時間の問題でカズキは捕まるだろう。


 俺はカズキが仕掛ける前に、レビアから念のために持たされていたミカリス専用の魔法札を使用した。


「これでお前の【生体停止】は使えないぞ? 観念するんだな!」


 カズキはゲラゲラと笑った。


「ぎゃっはっは。んなわきゃねぇだろうが! スキル【生体停止】発動! あれ?」


 カズキは動揺しながら、もう一度同じ行動を繰り返した。


「く、くそぅ! スキル【生体停止】発動! な、なんで発動しないんだよぉぉぉぉっ!」


 慌てるカズキに、今度はミズキが前に出た。


「私に任せてください! スキル【物体操作】発動! あ、あれ? どうして……」


 俺は冷静にもう一度分かりやすく説明した。


「この【スキル封印】の魔法札は相手複数のスキルの使用を封じることができるんだ。魔王ミカリス戦に向けての切り札だったけど、お前ら相手にスキルを使われたら流石に勝ち目がなかったんでな!」


 俺の説明に逆情したカズキは血相を変えた。


「こ、この卑怯者! 正々堂々と戦いやがれ!」


 一体どの口が言うのだか。


 裏路地でたじろいでいるカズキたちに俺は正論を突きつけた。


「じゃあ。こんな裏路地に待ち伏せして数十人で俺を囲むことが正々堂々だとでも言うつもりか?」


 カズキはもう言い返す言葉に詰まり、周囲の者に合図した。


「行くぞ! お前ら! おれたち全員でかかれば、こんな雑魚なんて大したこったねぇ!」


 ずいぶんと舐められているようなので、分からせてやる必要があるようだ。


 俺は一気に魔力を解放して【真・限界覚醒・改】を発動させた。


 そして、自身の最大の奥義を放った。


「観念しろ。カズキ。ゲーマーのプライドを思い知れ! ルシファー!」


 圧倒的な白い羽根が周囲の冒険者やカズキに襲いかかる。


「あ、あぎゃあああああああああああああああああああああッ!」


 そのままカズキは倒れて、他の冒険者も倒れた。


 ちょうど兵士団が駆けつけた。


「ルシフ殿。また奴ですか?」


 俺は惨めに倒れて泡を吹いているカズキたちを眺めながら頷いた。


「ええ。こいつらの仕業ですよ。もう牢から出さないでください。こいつは立派な集団による殺人未遂を行なったのですから!」


 兵士は俺から受け取ったチャットを証拠品として、了承してくれた。


「そうですね。二度の殺人未遂となれば、無期懲役は免れませんね!」


 これでどうやら一件落着のようだ。


 そろそろ第三試合が始まる。


 俺は急いで選手控室に戻った。

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