第121話『予選Dブロック』
控え室にカズキもやってきた。
先ほどからミズキと楽しそうに談話している。
俺はぼっち状態で、Dブロックの試合に向けて選手のステータスを再確認していた。
武道王タカネ・サエキ
ジョブ 武道王
レベル400
生命力10000
魔力5000
攻撃力30000
防御力20000
敏捷30000
技術20000
知性2000
幸運2000
魔力属性 無
魔力装備 【?】 攻撃力10000(5000) 効果 ?
防具 【?】 防御力10000(5000) 効果 ?
スキル【?】
流派 中央大陸流武道術。
奥義。
【魔力強化】 効果 魔力を身に纏い、ステータスを1・2倍アップさせる。
【魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを最大1,2倍上昇させる。
【新魔力強化・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔法系のステータスを2倍に上昇させる。
【限界突破】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを3倍に上昇させる。
【限界突破・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを5倍に上昇させる。
【新限界突破・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔力系のステータスを6倍に上昇させる。
【限界覚醒】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを7倍に上昇させる。
【限界覚醒・改】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを8倍に上昇させる。
【真・限界覚醒】 効果 魔力を身に纏い、全ステータスを9倍に上昇させる。
【真・限界覚醒・改】 効果 魔力を身に纏い、物理系か魔力系のステータスを10倍に上昇させる。
【フォースジャブ】 効果 魔力を拳に纏い高速のジャブを三連続で繰り出す。
【パワフルストレート】 効果 魔力を拳に纏い強烈な右ストレートをお見舞いする。
【ジャンボキック】 効果 足を巨大化させて敵に飛び膝蹴りを決める。
【アクロバティックアクション】 効果 身体中に魔力を纏い、無の心になって相手に連続で100連撃の攻撃を与える。
正直ステータスだけでもとんでもないが、ここにスキルが加わると、何処まで強くなるのか、予測がつかない。
あのミズキやカズキでも、あそこまでチートだったのだから。
スクリーンを見ていると、いよいよ試合が始まるようだ。
実況のおじさんがルール説明を始めた。
これもいつも通りである。
スクリーンにアップで映されている武道王タカネは、凄まじいまでに鋭い目つきをしている。
とんでもない気迫だ。
一体どんなとんでもない力を秘めているのか、正直ワクワクが止まらない。
そして、とうとう試合のゴングが鳴った。
タカネは馬鹿でかい声で叫んだ。
「スキル発動【神速】! 強化奥義発動【真・限界突破・改】――ッ!」
その瞬間、画面からタカネの姿が消えた。
いや違う正確には見えないのだ。
あまりのスピードに目が追いつかないだけだ。
よく目を凝らすと、僅かな瞬間にタカネが次々と参加選手を殴り飛ばしているのが見える。
そのあまりの速度に次々と選手が、ぶっ飛ばされて気絶していく。
なんて奴だ。
思った以上にとんでもない。
しかし、このスキルには欠点がある。
それはカズキとすこぶる相性が悪いということだ。
タカネはカズキに勝てないだろう。
これだけの傑物でもスキルの相性でひっくり返る。
それはまるで原作でゲームをやっていた時に痛いほど経験したことだ。
そして、気が付くと、全ての選手が倒れて、試合終了のゴングが鳴っていた。
「勝者! 武道王タカネ・サエキ!」
その瞬間ギャラリーが湧いた。
とんでもない奴だ。
しかし、その試合を見ていたカズキがゲラゲラと笑い出した。
「あっはっはっはっは! あのタカネって奴のスキル【神速】だってさ! こんなのおれの餌食じゃんか! いやーついているね。こりゃ優勝も目じゃないな!」
笑って奢るカズキに、ミズキはさらに勝ち誇ったようにマウントを取った。
「ふっふっふ。それは貴方も同じじゃありませんか? 貴方の【生体停止】のスキルでは私の【物体操作】の敵ではありませんよ!」
カズキは笑った。
「甘いな。ミズキ。先ずお前の場合あそこにいるぼっちの英雄さんにすら勝てるか怪しいじゃねぇか!」
カズキがこちらに視線を送る。
俺は視線を合わせないように必死に目を逸らした。
ミズキは馬鹿にしたように笑い出した。
「バカ言わないでください。私があんな雑魚NPCに負けるわけがないじゃないですか!」
カズキも同じように笑った。
「あっはっはっは。全くだぜ。所詮勇者ミカリスに負けるようなこのゲームのラスボスだもんな! しかも、エンドコンテンツの敵の方があんな奴よりよっぽどつええし。あっはっはっは!」
どうやら奴らは俺が転生者であることに気が付いていないらしい。
それにしても、クラスに居た陽キャ集団を思わせるような奴等だ。
こちらの事情も知らない癖に勝手な思い込みで決めつける。
これだから陽キャは嫌いなんだ。
俺は奴らを強く睨みつけた。
すると、カズキが俺に近寄ってきて、ガンを飛ばしてきた。
「てめぇ? なぁに睨んでんだ? コラァ!」
俺は挙動不審になりながらも本当のことを告げた。
「こちらの事情を知らない癖に勝手なこと言うなよ。正直、迷惑だ!」
カズキはブチキレた。
「陰キャの闇堕ち魔王の分際で、なぁに調子こいてんだ? ああ?」
俺はカズキを睨みながら言い返した。
「言っておくが、俺はお前に負けるつもりはないし、特別劣っているとも思わない!」
カズキはとうとうぷっつんきて、俺の襟首を掴んだ。
「てめぇ。今すぐ分からせてやる! スキル発動【生体停止】!」
その瞬間俺は身動きが取れなくなった。
どうやら身体に魔力すら練れないようだ。
でもユニークスキルは使えるようだ。
それに体内の魔力が消えたわけじゃないし、口は動かせる。
俺はユニークスキルを発動して、唾液に【ダークネスブレイカー】を混ぜて待機した。
「はっはっは! どうやらこれで終わりだな。お前。死ねや! オラァ!」
カズキは思いっきり手持ちの細剣で俺の頭を狙うが、俺はすぐに唾を吐いた。
その瞬間、カズキは四連続の虚無の渦に飲まれた。
「あ、ああああああああああああああああああああ!」
カズキは俺のダメージ感覚で生命力一割を残して気絶した。
その瞬間、ミズキが叫んだ。
「きゃああああ! ひ、人殺しぃぃぃぃぃぃ!」
いや、お前もさっきまで散々人の命を玩具にしていただろうが。というか殺してないしと心の中でツッコみを入れた。
その瞬間、兵士が現れた。
「ど、どうした? 殺しか?」
ミズキはヒステリック気味に答えた。
「は、はいぃぃ。あの、あの闇堕ち魔王がカズキをこ、殺したんです! カズキは何も悪いことしてないのに!」
いや、充分しただろうとまたしても内心ツッコミを入れた。
兵士は俺に近づき、こう尋ねた。
「英雄ルシフ殿。これはどういうことですかな?」
俺は素直に監視カメラを指した。
「あれを調べたら分かると思いますが、この男の方が俺を殺そうとしてきたので、抵抗して気絶させました。殺してはいませんよ!」
兵士がカズキの身体を調べると、息があることが分かり、すぐに頭を下げた。
「これは英雄ルシフ殿の言い分の方が通ってますな。この男は参加失格として、処理します!」
「あ、はい!」
兵士がカズキの身柄を連行して、この場から立ち去った。
ミズキは唖然としたあと、俺にこう告げた。
「覚えてなさい。カズキの仇は私が取ります!」
そう言い残し、激怒しながら、控室を立ち去った。
俺は面倒なことになったなと頭を悩ませつつも、ペットボトルの炭酸ジュースを飲み干した。




