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第112話『地獄での最終決戦』

 この【地獄のダンジョン最終ボスエリア】で、俺はチャラオジこと【閻魔大王】と壮絶な死闘を繰り広げていた。


「あひゃひゃひゃひゃ♪ いいね。今の一撃悪くなかったぜ?」


「そっちこそ、さっきの横薙ぎもなかなか食らったよ。さあ。もっともっと俺を楽しませてくれ!」


「あひゃひゃひゃ。そりゃこっちのセリフだわ! もっとテンションアゲアゲで行こうぜ!」


 俺は秘剣のひとつ微塵切りで、チャラオジにクリティカルヒットを十四連撃で与えた。


 しかし、チャラオジは全く怯まずに、ますますテンションを上げて笑っていた。


「あひゃひゃひゃひゃひゃ。いいねぇ♪ マジでいまの良かったぜぇ? さあ。もっともっとテンション上げて気持ち良くなろうぜぇ。イエアァァァーー!!」


 なんていうタフネス。なんというテンションの高さだろうか。こいつは俺の十倍くらいバトルジャンキーだ。


 まさに陰キャのバトルジャンキー・対・陽キャバトルジャンキーの戦いだ。


 俺に負けずにチャラオジも派手な奥義をぶちかましてきた。


「さあ。俺の攻撃を食らって昇天しなぁぁぁぁ! ヘルバーサーク・ストライク!」


 チャラオジはこの世界において我流で極めた極地の奥義を放った。


 それは課金コンテンツで追加コンテンツをダウンロードしないと使えない特別仕様の奥義だ。


 おそらく直撃すれば死は免れない。


 俺は瞬時に防御魔法【ガードウォール】を展開した。


 敵の攻撃はその四回連続で相手の攻撃を無効化する魔法の壁を軽々と貫いてきた。


 迫りくる地獄の爆撃破壊が俺の身に容赦なく襲い掛かった。


「うわあああああああああああああああああああああああッ!?」


 その理不尽な破壊の暴力に俺は地獄のような痛みを味わった。


 しかし、何故だろう。その痛みすら心地がいい。こんな奥義を食らったのは生まれて初めてだ。


 そのあまりの快楽に脳内のエンドルフィンが爆発的に増加する。


 俺はその地獄の破壊を耐えきり、自分の生命力が残り一割にも満たないことを自覚した。


 異世界に来て何度も味わったが、今まで以上に本能がやばいと叫んでいる。


 これは間違いなく死ぬ奴だ。


 それでも死ぬと分かっていながらも俺は楽しくて、楽しくて仕方なかった。


「ふはははははは。ふっはっはっはっはっは。いいね♪ チャラオジ! お前最高だよ♪ がはぁ――ッ!」


 俺は猛烈に吐血した。


 もう死んでも可笑しくない状況なのにこんなに楽しいなんてやっぱり戦いはこうじゃないと面白くない。


 俺はバトルジャンキーとして、ゲーマーとしての本能が刺激され、あまりの高揚感に胸の高鳴りと興奮が消えなかった。


(ああ。生きている♪)


 生まれて初めて武術を本気になって極めようとしている人の気持ちが分かったかもしれない。


 そう思うくらい本能的な喜びと快楽に溺れた。


 死にそうになりながら笑っているなんて、もう俺は人として欠落しているのかもしれない。


 全ての血を吐き終わったあと、口を拭き、俺は自身に【リヒール】を再びかけて、ゾンビ状態を作り出した。


 そして、俺は魔剣を斜めに構えた。


「行くぞ! チャラオジ! 世界一のゲーマーのプライドを見せてやる!」


「あっひゃっひゃっひゃっひゃ。来いよ。小僧。おめぇの本気見せてみろや! オラァァァァァ!」


 奴は再び先ほどの奥義を放つ気だ。俺も本気で立ち向かうために、自身の最大奥義にして十八番を使うことにした。


「あひゃひゃひゃひゃ。死ねや。小僧。これでくばってろ! ヘルバーサーク・ストライク!」


「行くぞ! チャラオジ! ゲーマーのプライドを思い知れ! ダークネスブレイカー!」


 俺の放った虚無の剣撃波とチャラオジが放った地獄の破壊衝撃がぶつかり合った。せめぎ合いの中で俺はさらに【真・限界覚醒・改】を魔力特化に切り替えた。


 その瞬間、爆発的に虚無の渦が高まり、地獄の破壊を飲み込んでいく。


 最後の瞬間俺は吠えた――!


「チャラオジ。これが俺のゲーマーのプライドだぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」


 俺自身で最強にして最大の一撃が、地獄の破壊ごとチャラオジを飲み込んだ。


「あひゃひゃひゃひゃひゃ。小僧。やっぱお前マジパネーわあぁぁぁぁ! あひゃひゃひゃひゃひゃ! ああああああああああああああああああああああああああああああああッ!」


 虚無の渦に抱かれて、チャラオジはお得意のあひゃひゃ笑いをしながら消え去った。


「終わったか……。ああ。楽しかったな♪」


 俺はこの大陸最難関エンドコンテンツ【地獄のダンジョン】をソロ踏破した。


クリア後の達成感は凄まじく、もうこれが真の幸せかとある種の悟りに至った。


その瞬間、身体に大量の経験値が流れ込んできた。


「きたあああああああああああああああああああああああああああああああああ♪」


 この快楽のために戦っていると言っても過言ではない。


 俺はステータスウィンドウを確認するとレベルが250に到達したことを確認した。


 これは追加DLCでレベルキャップに価するが、伝説の動画配信者さんはレベル500超えてそうなので、たぶんレベル上限に終わりなんて存在しないのだろう。


 そして【地獄のダンジョン】のクリア報酬はなんと【ギャラクティカアダマンタイト】と呼ばれる追加コンテンツで入手できる最強の鉱石だった。


 これをレビアに渡せば【傲慢の魔剣+3】をさらにパワーアップさせることができるだろう。


 俺は思いっきり伸びをした。


「んんぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! さてダンジョンから脱出して、禁断領域の破壊から周回し直すか!」


 まだ足りないその想いだけで、俺は残りの日数全てを費やして、さらにもう一周【禁断領域】の破壊と【地獄のダンジョン】をクリアして、レベル300に到達したのであった。

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