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第105話『地獄のダンジョン二層』

 俺は階段を下っていき、二層のボスの部屋を見つけた。


 しかもボス部屋の隣には強制脱出用の転移水晶体まで置いてある親切設計である。


 最早ここが地獄とは思えないのだが。


 それと乱数調整ツールを確認すると、最大値を得られるまで、あと二十分足らずだ。


 しかも親切なことにトイレや寝室まで見かけたので、もう地獄じゃなくてテーマパークか何かの間違いじゃないのかと苦笑した。


 しかもその寝室へ試しに入るとフローラルの香りのするとても居心地の良い空間である。


 しかも銀貨一枚で食事が運ばれ、銅貨一枚で一時間冒険者カードを充電できるというとことんプレイヤーに配慮されたダンジョンである。


 これ設計した人って異世界人なんじゃないかなと、なんとなく勘付いてしまった。


 しかし、ゆっくりしている余裕など俺には残されていない。部屋から出て隣のトイレで用を足し、軽く【ポーションクッキー】と水筒の水を口にした。


 残りあと十分――。


 俺は戦闘前に、少しだけボスの情報をおさらいする。


 敵は緑鬼と言われるバインド系を得意とする【鬼人】である。


 とにかく厄介な攻撃パターンは予習済みだ。


 残り五分となったところで俺は二層のボス部屋の扉を開いた。


 二層のボスはきちんとした奴みたいだ。


 台座でこちらをじっと見据えている。


 そして、ヤバいと感じたのか、無言ですぐにバインド系の魔法【ストロング・バインド】を使用してきた。


 俺は瞬時に【パーフェクトキュア】の効果がある飴を口に含んだ。


 敵の【ストロング・バインド】が掛かった瞬間に、飴を噛み下して飲み干した。


 その時【ストロング・バインド】はすぐさま解除された。


 一瞬の隙を逃さずに俺は瞬時に新限界突破・改】で魔力特化に切り替えて、無詠唱で【マジックバスター】を放つ。


 二つに分かれた砲撃魔法が敵に直撃して、さらに二度爆発した。


 敵はそれを食らいながら悲鳴をあげた。


「な、なんでこんな化け物が、このダンジョンに来ているのだ。ぐ、ぐあああああああああああああああああああ!」


 瞬殺だった。


 苦戦すると言われていたが、対策さえしてしまえばどうということはなかった。


 思った以上に手応えがない。


 しかし、肉体に溢れ出した経験値の波を感じ取り、俺は思わず狂ったように大笑いした。


「あっはっはっはっはっはっは♪ 経験値がたっぷり入ってくるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♪」


 俺は圧倒的な経験値の快楽に酔い知れながら、自分のレベルが十以上も上がったことを確認した。


 つまりレベル178である。上昇ステータスは平均600まで至っている。


 今の俺のステータスは異世界人の中でも上位陣と同じ高さだ。


 それでもまだ不安は拭えない。


 何せ【独善】のユニークスキルがどれほど強力かは分からないが、とにかく圧倒的なステータス差がないと、ミカリスに簡単に倒さてしまう気がするのだ。


 それくらい自身の【傲慢】との相性の悪さを予知しているのだ。


 何か相手のスキルに対して圧倒的なアドバンテージを取れるような、そんなスキルな気がする。


 ただでさえミカリスは、ゲーム内でも有名である、あの鬼畜なルシフ抜きの実戦により、自分より常に実力が上の相手と戦ってきていると思う。


 そうなると技量の差では明らかに向こうの方が上だろう。


 その実戦で鍛え抜かれた勇者の剣に対抗するには、やはり圧倒的なステータスでパワーインフレするしかないという結論に至った。


 小細工など通用しないほどの圧倒的なステータスが欲しい。


 それにこのレベル上げに対する快楽性の強さは半端じゃない。


 なんというか常にドーパミンが放出されたような感覚に至っており、今も少し頬が赤らんでいることを感じている。


 とにかく次の階層のボスは、それほど手強くはないとのことだが、前口上が長いと書かれている。


 伝説の配信者さんもこの前口上の長さに圧倒されて乱数調整が狂ってしまったと嘆きの記事を書いている。


 つまり相手の前口上の長さも考慮しておけということである。


 次の最大値を得られるまで、三時間もある。


 次のエリアに向かう前に、多少食事と仮眠と冒険者カードの充電を行なっておこう。


「行くか……」


 そう口にして、俺は第二層を後にした。


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