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2.待望の学院生活

 建国当初に王都の丘に設立され、古い歴史と国一の規模の大きさを持ち、王国中の子供が憧れる学校、それがファルクスタッド学院である。

 王国中の令息令嬢はここで学ぶことを義務付けられており、5年間生活を共にする。令息令嬢を集めることで貴族のつながりを持ち交友を深めること、そして優秀な魔法使いを育てることが学院の役目であった。


 リザベルはこの学院に通える日を楽しみにしていた。新しい場所に心を弾ませていたというのもあるが、なんせ今までのような退屈な令嬢教育を受けるのではなく、様々な分野を幅広く学べる環境に感動していたのである。

 幼いときは座学や作法教育から逃げていたリザベルだったが、興味のあることに対しては人一倍向上心が強く前向きである。しかし、面白くないと感じたものにはからっきしだめで、いつも最低限の知識は努力して身につけるものの退屈さに負けていたのだった。

 そんな彼女も12歳になり学院に通う。彼女の世界はまだ未知のものであふれている。


(新しいことばかりで胸が高鳴ってしまうわ、とうとう学院生活が始まるのね。)


 これからの未来に対して、リザベルは心躍らせながら学舎ファルクスタッドの門をくぐるのだった。



 目的地である寮は校舎と門から離れた場所にあり、いささか質素なデザインであるが生徒を守れるように安全で頑丈な造りをしている。学院の生徒数は多いものの寮で生活する人は全体の2割ほどであるため、それほど大きくはない。

 貴族の子息令嬢には少し物足りないと感じる建物であったが、リザベルにとっては暮らすには十分であり、なにより量の屋根から繁華街を一望することができそうだったので、彼女の好奇心はうずうずしていた。

 そしてちゃっかり抜け道があることも確認していたのだった。



 寮の自室に入ると、ベッドだけでなくドレッサーや机といす、クローゼットまで配置されていたのでリザベルは用意周到さに感動してまう。部屋を見た瞬間綺麗さと広さに驚嘆して十数秒立ち尽くしてしまった。

 こんな贅沢な部屋を使っていいのかしら......とそわそわしながらも、持ってきた荷物を中へ運んで行った。



 荷物を少し整えた後、リザベルはロイに挨拶を告げるため、寮の玄関外へ向かった。


「ロイ、ここまで連れてきてくれてありがとう。屋敷の皆にも感謝を伝えておいてくれるかしら」

「もちろんです。お嬢様、成長なさいましたね。少し寂しくなります」

「そんなこと言ってくれるのロイだけよ。私頑張るわ、もちろんお休みの時は帰るつもりだから!」

「無理はなさらないでくださいね。あと帰ってくる際は必ずお土産をお願いします。お菓子だと良いですね」

「心配してくれてると思ったらちゃっかりお土産をせがまれるなんて!ロイ、抜け目がないわね......」

「はは、冗談ですよ。そうだ、お嬢様、手をお借りしてもよろしいですか?」


 そう言われてリザベルが手を差し出すと、ロイは一つの編み込まれたゴムを掌においた。


「エリーザ様とニナからです。お転婆なお嬢様はよく動くだろうからと」

「嬉しいような嬉しくないような、喜びづらいわね......でも、ありがとう。これで気が引き締まるわ。私たくさん学んで、ニナにおてんば娘なんて言わせないようにさせるのよ!」

「いい心意気です。でも無茶だけはやめてくださいね」

「心配ありがとう、ロイ」

「お嬢様の成長を楽しみにしております。では、そろそろ行きますね。お嬢様、応援しております。」

「ありがとう!気を付けて!」


 帰っていくロイの背中を見送りながら、リザベルの心に1人になった寂しさが沸々と湧いてきたが、これからの生活に胸を膨らませる気持ちも強まっていた。



 これからリザベルの学院生活が始まるのだ。

みじかめです

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