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0010東京支部と登録手続き

起稿20240306

起項20240524

改稿20240616


0010東京支部と登録手続き

2月15日木曜日早朝

スッキリと目覚めている俺を含めた4人とグッスリ眠る残りの3人を乗せて一路、東京にあるというメカニカルアーマー協議会の事務所を目指して車を走らせる。

グッスリ組は、スンカ、トウハ、シコウの3人。

俺、グウゼン部長、シクミ、ケンザンがスッキリ組という編成。

俺が運転で、グウゼン部長が助手席だ。道案内も兼ねてなんて言っていたが、ナビで表示されないのだろうか?

ま、ひとまずそこは置いといて、グウゼン部長は、身体能力測定などは受けないが、手続き関係での参加だ。部活の引率の先生のような感覚もある。

当初は、あまり話したことのない人だったが、コミュニケーションを取る機会も多くなり、それなりに会話をしながらの道中となった。

「東京の事務所って言ってましたよね」

「あぁ間違いないぞ」

「住所、神奈川ですよ」

「大丈夫だ。間違いない。そこに立ち寄る必要があるんだ。」

「立ち寄る必要ですか」

疑問符を浮かべながら、オウム返しするとグウゼン部長が頷いて口を開く。

「協議会は、比較的表向きに公表が出来ないことが多くて、機密事項を扱ってはいるが、秘密主義で構成された組織というわけでもないからな。」

「公開する場所を選んでいるだけってことですか?」

なんでそんな話になったんだ。とは思うものの、俺も興味本位で聞き返す。

「そうだな。だが、軍事に繋がるとか、関わるとかいうのもあるが、色々情報を隠しているという風に見せたいという面もあるそうだ。」

「ここは秘密の宝庫ですよって感じですか?」

「少なくとも、参加国には、ほぼ情報は公開しているそうなんだがな、参加国の機密情報は協議会では取り扱わないことになっているそうだ。」

「それ、守秘義務関係ですよね」

「あぁ。ガッツリな。」

「はぁ。俺に話して良かったんすか?」

「これから全員に話すことになるからな。事前情報だよ。ヒカク君とも話し合っているからな。大丈夫だ」

「でも、それぞれの国の機密情報を協議会で話せないというのは、なぜなんですか?」

「まず、そういうのを話す場は、参加国がそれぞれで確保するのが当然としてだ。協議会は公開する前提でなければ、機密情報は受け付けないとしているそうだ。」

「極端な話。ウチで話したらバラすぞってことですか?」

「そうなる。」

「軽い脅しですよね」

「いや、あからさまな脅しだな。協議会をサロンのように扱われないためのな。」

「あぁ都合の良い場所にはさせないぞ。ってことですか」

「まぁそんなとこらしい。それもあって表向き秘密主義っぽく見せるそうだ。」

「秘密主義っぽくって」

「どんなに強固にしても情報は漏れるそうだぞ。そういう技術が飛躍的に発展してるらしいな」

「ウチでも教育でセキュリティ関係やりますものね」

「そうだな。まぁなんでもかんでも情報を飛び交わせる状況は好ましくないらしいな」

「まぁお互いに機密を知っているのなら、日常会話で出ますから、それを避けたいのは解ります」

「そうそれだ。スパイからすれば、情報が取り放題になるわけだ。」

「そうなる前に、情報自体を入れさせないってことですか」

「ああ、そこから誰でも簡単に秘密を獲得できる構造を模索し始め、色々意見を交換しているらしいな。施設としては、ヒカク君の話だと秘密基地をコンセプトにスタジアム以外は建てられているそうだ。」

「秘密基地ですか?」

「ヒカク君の言葉を借りれば、ワクワクドキドキと秘密を探して貰えるように工夫するそうだ。」

「本当の機密事項もありますよね。」

「そうだが、主な目的が機密事項の漏洩対策というより、公開直前情報の漏洩を狙っているそうだ。なかなか難しいそうだぞ。」

「あたかも漏れたから、公開したという感覚に向けていく訳ですか、なんか徹底しているというかなんというか」

「まぁ、その関係で、入口を色々作ったり、手順を踏ませたりと工夫しているらしくてな。私もこれから行く入口は初めてだ。」

「そうなんですか」

「セキュリティ関係で、毎回ランダムに入れる入口を変えてるそうだ。」

「それで案内が昨日だったんですか」

「多分そうだろう。場所は同じでも、ルートは変わるからな」

「秘密基地か~。」

「どうした?」

「いや~。子供の頃に観た特撮ものを思い出してまして、山が二つに割れたり、プールから巨大ロボットが出てきたり。今思うととんでもない代物が多かったなぁと思って」

「多分ノリとしてはそっちなんだろうなぁ。」

「それはまた、楽しみが増えますね」

「なんだ。特撮好きか?」

「なんだかんだ子供の頃観てましたから」

「なるほどなぁ」

そんな会話をしているうちに目的地に近付き、やたらと高い壁に囲まれた場所に門衛がいるので話しかけてみる。

「こんにちは」

「ご用件を伺っても」

「ヒカク様にお目にかかりにきた足跡製作所のユキサキと申します。ヒカク様との面会と身体能力測定等を受けに来たのですが、中に入っても良ろしいでしょうか」

「足跡製作所様。はい伺っております。ヒカクさんとのご面会と能力測定ですね。こちらが仮の入門証となりますが、そちらの守衛所の隣にいったん車を駐車していただいてから、こちらに来ていただけますか」

「わかりました」

守衛所の隣に3台の駐車スペースがあり、そこに停める。

「みんな起きたか」

俺の守衛の方とのやりとりを見ていたシクミとケンザンがトウハ達を起こしてくれたようで、眠そうながらも起きているようだ。

「じゃ。行こうか」

「そうだな」

俺の声にグウゼン部長が応え、みんな車を降りて守衛所に戻ると、守衛の方がグウゼン部長を除く一人一人に首に提げられるようなストラップ付きの入門証を手渡していく。

「では、今手渡しさせていただいた方々は、こちらの入門記録を書いていただけますか、内容はご自身のお名前と入門証の左下に書かれている番号を書いていただければ助かります。」

一人一人名簿に名前を記入していくがグウゼン部長だけは、書かずに待機している。

「どうしたんですか?」

「私は私の入門証を所持しているからな。書かなくて良いんだ」

「なるほど」

そんなやり取りをしてから俺も記入していく。

「ご記入ありがとうございます。こちらの入門証は、部屋の入退室などに必ず使いますので、紛失の無いようお願いします。」

「使い方は?」

「これから実際に使っていただきます。こちらの認証機にかざすだけですのでご安心下さい。今配布させていただいた入門証は、仮の入門証となっておりますので、正規の入門証になるまでは、入門時に今回のように配布させていただき、退門時に、守衛へ返却していただきます。また、先程も触れましたが、入退門、各部屋の入退室、各棟の入退棟にも使用していただきますので紛失しないよう大切に所持していただければと思います。また、認証機を通さずに入ると不審者とみなされますのでご注意下さい。ではこちらにかざしていただけますか」

「私からお願い出来るかな」

「どうぞ」

グウゼン部長が率先して入門証をかざし、俺達もそれぞれ続く。

認証機にかざしてピッと音が鳴れば良いそうだ。

「今回は7番ゲートへ入っていただく形になります。こちらのタブレットが道案内しますので、タブレットの指示に従って進んでください。」

「え~と駐車場は」

「タブレットが先に駐車場にご案内する形になっておりますのでご安心下さい。」

「わかりました。ありがとうございます」

「お気をつけて」

「あ、ありがとうございます」

守衛の方に礼を述べて車に戻るとタブレットの電源を入れる。ようこそとメッセージが出て、タブレットが案内を始めた。

「部長も前回こんな感じで、入ったんですか?」

「あぁ、初めて来たときも、手続きが面倒に感じたな」

「確かに面倒ですね。」

タブレットの案内で、7と書かれた横にスライドする大きな扉にたどり着き、みんなで認証機に入門証をかざす。これはなかなか面倒だ。

認証機に入門証を全員通すと7の扉が自動で開いた。もしかしたら守衛の方が開けてくれたのかもしれない。まぁなんにせよ。7の扉を抜け、車ごと建物の中に入る。

まるで、地下の駐車場のような感覚で進んで行くが、途中に分岐もなく、結構な距離を真っ直ぐ下っていたと思う。そのうちに右に左にとカーブして、ようやく下りが終わったようだ。

「随分地下深くにあるんですね。」

「距離を稼いだだけだろう」

「どういうことですか?」

「そのままの意味さ。なにかしらの理由はあるだろうが、地下に潜る意味はあまり感じないな」

「そうでしょうか」

「ていうと?シコウ的にはなんかありそう?」

「この電波状態だとGPSも、外部への連絡も不可能です。もしこれから地上に戻るとしたら、少なくとも地中に潜った間は探知出来ていない状態になると思います。」

「そうね、追跡されている場合なら確かに見失うかも」

「でしょう」

「とはいえ入口がバレていれば一直線だがな」

「いえ、たぶんですが、いざというときに、ここに閉じ込めたりするんじゃないですかね」

「外部からの侵入者対策ということかい?」

「それなら。可能性だけだが、シェルターにもなるだろうなぁ。これだけ深ければ、核シェルターとしては申し分ないだろう。」

「なるほど秘密基地だな」

「なんかとんでもない所に来たのかもね」

しばらくそんな会話をしていても一向に出口らしいものは見えない。だんだんと会話もなくなってきたところで、今度は登り始めた。

「お、登り始めたな」

「まさか地上まで戻るんですか?」

「そのはずだ。今回はだいぶ素直な道だったぞ」

「前回はどうだったんですか?」

「前回は曲がる指示が多くてな。完全に方向感覚を失って、タブレットにすがりつきたくなったな。そういう意味では今日のこのタブレットは静かなものさ。道なりしか言わんからな」

「今後、そういうルートもあるんですね。なんとも手の込んだ………。」

「まぁ、このまま順調に進むしかないな」

それからどのぐらい経ったかは判らないが、だいぶ経ってから地上に到着。みんなで降りて認証機に入門証をかざすと大きな扉が開き、陽光を浴びる。なんだか不思議な気分だ。

サッサと車に乗ると扉を抜ける。扉の先は丁字路になっていて、道案内、ナビに従って進む。

駐車場の何処に停めるのかまで指定されて車を停めると、タブレットを持って建物の方に向かう。

さすがに車で寝ていた面々もゲートの度に起こされたからか眠そうではない。

いくつかの分かれ道もナビ通りに進み、大きな建物の一つに到着した。

ナビが認証機へ誘導し、入門証をかざして中に入ると、ヒカクさんがそこにいた。


「おはようございます」

「おはようございます。順調に到着されたようで何よりです。」

「だいぶ驚きましたが」

「すみません。セキュリティ等、仕方ない面もありますのでご容赦下さい。それでは早速行きましょうか」

「そうですな」

ヒカクさんの案内に従いながら、入り口からそれ程離れていない一つの部屋に辿り着き、入門証をかざして中に入る。

「守衛からも案内があったと思いますが、軽い説明と今日の予定を話しましょう。」

それぞれが席に着くとヒカクさんが話し始めた。

「ではでは、すでにお使いになっているので大丈夫だと思いますが、各入り口には認証機が設置されております。認証機に入門証を通さずに出入りしますと不正入退と判定され、かざし忘れ防止のアラームが鳴ります。」

「アラームですか?」

「一人であれば、扉が開かないので、かざす以外にないのですが、複数人ですと出入りすること自体は可能になりますから、アラームを鳴らすことにしています。また、アラームがなっても入門証を通さないでいますと、警備員がやってきます。アラームが鳴った段階で警備員に通報が入りますので、到着までは短いですよ」

「徹底してますね」

「不審者対策ですから仕方ありませんね。皆様の安全と状態管理が主な目的なのでご了承ください。」

「僕たちの行動を監視しているということでしょうか」

「半分はそうです。機密情報を取り扱っていますし、いつ来訪される方がスパイに転向されるかは、こちらで管理できませんから。もう半分は緊急事態対策ですね。何処に誰がいて何が出来る、何が出来ないが判明することは対処の幅と早期の対処という意味で変わります。出来ることを対処していただきつつ、出来ないことを出来る方で補強するための一つの策ですね」

「現実的ですが、なかなか厳しいですね」

「少なくとも、年に何回かスパイ風味の方が所内で捕まっている現状ですから、防衛対策としてはまだ足りないのが現状です。」

「スパイ風味?ですか?」

「最近把握しているところですと、本人にスパイという認識がないというのが一番の課題でして、そういう方が、本物のスパイに情報提供してしまうことで露見するケースが増えています。」

「なんか物騒ですが、よくそこまで調べられますね」

「口が軽いと言うよりも、日常会話の延長で情報が漏れるということか」

俺が独り言をポロッと零すと、嬉しそうに頷くヒカクさんがいた。何が嬉しかったのだろうか

「そういうことになります。書類やデータのハッキングという従来型も年中無休なので、情報管理班は日夜防衛対策に頭を悩ませていますが、人の管理というのがまた一筋縄ではいかない厳しい状況です。」

「俺達も気をつけないとな」

「皆様には当分の間、申し分ないのですが、監視の目が厳しくなると考えていただければと思います。これは私がというよりも、所員各自で観察させていただく形になります。」

「そうですか。」

「驚かないんですね」

「いや、それだけの対策をされているのなら、通い始めた見知らぬ連中は警戒するでしょう」

「うん。想定内かな」

俺とシコウが納得顔で返答すると、ヒカクさんも頷いて口を開いた。

「その辺りの行動指針につきましては、皆さんでお決めになって下さい。皆さんの到着が早かったこともあり、多少の時間は後ほど作れると思いますので。さて、今日の予定ですが、登録関係を午前中に行っていただこうと考えています。こちらはそこまで時間はかからないと思いますが、体力測定などは午後で段取りをさせていただいていますので、登録関係が終わったらお昼までですが所内を少しご案内しようと思っております。」

「ありがとうございます」

グウゼン部長が率先して礼を述べると、ヒカクさんは微笑んで俺達を見回した。

「では、早々に登録関係を進めてしまいましょう。席にあるタブレットの電源を入れていただけますか」

タブレットの数が一つ足りないが、これを使えってことか?

「俺の分は、守衛さんから借りた分でいいですか」

「はい、一人分はそのつもりでいましたので、それでお願いします。ただ他の方のタブレットと同じように、テーブルのコードを繋いでいただけますか、所内のサーバに繋ぐにはオフラインの有線以外では繋げることが出来ないので。」

ヒカクさんの言葉に俺がいそいそとタブレットにコードを繋ぐ。

「では皆さん。今の状態でブラウザを開いてもらえれば、協議会の非公開のホームページになりますので、開いていただけますか」

「非公開のホームページ。」

「所内のサーバでのみ閲覧可能となるホームページです。それを一番下の方までスクロールしていただくと、登録情報というリンクがありますので開いていただけますか。」

そんな説明から協議会への選手登録が始まった。

基本的な個人情報の取り扱いについての確認と承諾から始まり、俺達の個人情報を入力していく、氏名、年齢、血液型、これまでの体験した病気や現在治療している病気や怪我。体で不調を感じる部位、スポーツの経歴を入力。これから身体測定や能力測定を行うので、そこら辺は空白だが、あらかた入力出来たと思う。

「入力が終わりましたら少し休憩しましょう。」

俺達が手を停め始めたのを確認したのか、ヒカクさんが呼びかけて、俺達は休憩することになった。喫煙室や自販機、トイレの場所などを教えてもらってから、退室時の入門証をかざすのを忘れずに行って、メンバーそれぞれで各々休憩することにした。


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