17歳の誕生日
12月17日。
私、、、今日で17歳になりました。
朝、いつもの時間に目覚ましが鳴る。
寒くて起きる気にならないが、目覚ましの音がうるさいので手を伸ばして止める。
朝一番にすることはスマホで友人からのメッセージやメンションされたストーリーを確認すること。
毎日確認しないと不安になってしまう。
そういったことでしか友達と認識できない私は友達を承認欲求のためだとしか思ってないのかもしれないと思ったが、そんなことを言ってると何も言えなくなってしまうので、考える必要がないだろう思った。
布団を被りながら、スマホをいじってたら大分目が冷めた。
無理やり上体を起こした。
スマホの通知が鳴る、友達から今日は家まで迎えに来てくれるという内容で自然に口角が上がった。
改めて、誕生日をお祝いしてもらえることは嬉しいし愛されているのだと感じてしまう。
去年は災難でインフルエンザで誕生日どころではなかった。
去年付き合ってた彼氏に遷されたことを思い出すと苛立ちを覚えるが、過去は過去。
今年は大好きな友達や家族と過ごせる。生憎インフルエンザを遷してきた彼氏とは、今年の9月に別れたのでもういない。
そんなことを思い出していると、起きなければならない時間になってしまった。
閉ざしていたカーテンを開けると外は猛吹雪だった。
思わず、「まじか、、、」と口に出してしまった。
直ぐ様、スマホのホーム画面を開いたあとにLINEを開いた。仲いい子しか入ってない5人グループLINEに報告する。するとすぐに仲のいい彩夏から返信が帰ってきた。
「まじやばいよね。」と返信が帰ってきたと思ったらまたメッセージが来た。
「それでもみんなで迎えに行くから心配しないで!」と一緒にGoodの手をしたキャラクターのスタンプが送られてきて、一安心。
その後も、他の友人から「こんな天気問題ない。」などと不安を感じさせない返信が来た。
ふと時計を見ると、時計の針が6時の針を指しながら一番下の針を指していた。
今日は朝ごはんを作らなければならないことを思い出した。
急いでパジャマのまま階段を降った。
私の家は、お父さんとお母さんが病院関係のお仕事をしていて夜勤だったり、仕事時間がバラバラなため親がどちらとも夜勤だった場合は、私が妹と私の2人分の朝ごはんを作っている。そして昨日は運悪く2人とも夜勤だった。
お弁当も作ろうかと悩んだが、今日は学食を利用することにする。
”今日は自分の誕生日だし少しは贅沢していいよね。”と心のなかで自問自答して”それぐらい良くね?”と答えが返ってきたので、今日は良しとする。
私はバイトすらしていない身なので、自分に費やすお金が少ししかない。親からもらえる月に一度のお小遣いに頼っているのでお小遣いがもらえる前の月の月末は親の機嫌を損ねないように苦労している。
今月は、自分の誕生日だったこともあっていつもより多くお金が財布の中に残っている。
そんなこんなで考えながら料理をしていると妹が降りてきた。
私より2つ下の妹は心葉という。末っ子なせいか全然朝は手伝ってくれないし、降りてすら来ない。
2つしか年が離れてないせいか私と喧嘩してばかりだ。
妹は来年の3月高校受験を控えているので塾に行き、帰ったあとも夜遅くまで勉強という私からしたらストイックな生活を9月頃からしている。だから朝起きれないのは仕方が無いと割り切っている。
改めて思うと本当に妹は勤勉だと思う。
だが、妹の顔を見ると思い出すことがある。
それはすごい腹立たしい妹の発言だった。
今年の8月頃にもう少しレベルの高い塾に行きたいと妹が親に申し立てたときだ。
なにが腹立たしいのかって親が妹になぜそんなに勉強するのかと問た時だ。
私の家族は勉強家な人はいなく、妹はこの家では手塩にされている。
最初は、親から妹は愛玩子とされて私は搾取子のように扱われていたように感じたが、それは私が妹のことを気に食わなくて思い込んでいた被害妄想だった。最初はそんなふうに思ったが今は彼女は彼女なりに一生懸命取り組んでいてこのような成果を上げているのだと思う。これは姉として応援しないといけないなと思う。しかし、”お姉ちゃんみたいに馬鹿になりたくないから”だと言われた時は、一瞬頭が真っ白になった。
私はその時テレビを見るためにリビングにいたのでダイニングで話していた親たちの声が丸聞こえだった。
誰にも本音で馬鹿とは言われたことがなかったので当時は動揺した。
私も一度は思った事はある。いや一度どころではない。
勉強とかなんか突出した才能があったらいいなと思うが本当に凡人なのだ。
妹に誇れることと言ったら友達の多さぐらいだ。
そんなこんなで妹に朝の挨拶をして2人で朝ごはんを食べた。
相変わらず親がいないと言葉を交わすことがない。
もう慣れたが、いつになったら反抗期を終えるのか心配になる。ご飯を食べたあとは自分が食べたものの食器を片付ける。
大体私が先に食べ終わる。その頃妹はテレビを見ながらご飯を食べている。
そのあとは自分の学校に行く準備だ。自分の部屋に戻り、パジャマから制服に着替える。
12月に入ってからいつも以上に制服の丈を長くしていたが、今日で解禁だ。
私は今日だけ世界が私中心に動いていると思い込んで、自己肯定感を上げていく。
校則違反だがメイクもバッチリ決めて髪も下ろして巻く。鏡を見ると絶世の美女のように感じる。
毎日鏡を見ることは日課だ。なんなら授業の合間に顔を何度も確認してしまう。
だが今日は違う。誕生日だからかビジュが爆発している。いつも鏡を見て少しメイクが崩れて萎えるが今日は崩れない気がする。謎の確信に私は深く同意してしまう。
突然友達から「写真を撮ろう!」って言われても可愛い顔がカメラに映る自信がある。
自惚れしていると家のインターホンが鳴った。友達が迎えに来た合図だ。
私は2階で準備していたので、1階で呑気にご飯を食べていた心葉が対応してくれた。
私は急いで階段を下りた。
玄関に行こうと思ったが、玄関に行く廊下に飾ってある鏡で全身のチェックをしてクリアしているか確認して玄関に向かった。
ローファーを履いて玄関の扉を開ける。あたり一面が雪で白飛びしていた。
扉を開けた瞬間眩しくて目が痛くなってしまったが、そんなことよりイツメンの4人が頼もしく目の前にいる。
いつもは学校の近くのコンビニで待ち合わしているが、今日は私の誕生日だ。
わざわざ家まで迎えに来てくれたのだ。もうこれだけで幸せだというのにまだ1日の3分の1しか経ってないことに感動を覚える。
そのあと、私合わせて5人で仲良く学校に向かった。