祈ってみました
さて。
十日は過ぎようとしております。
相も変わらず、わたしは団長さんのところにお預け状態。
捜査主権は第三とやらなので、下手に手を出してはまずかろうと、こちらは深く関わらない方針らしく、いじられるけどかまわれるけど面倒見てくれるけど、それだけです。
衣食住を保証してもらえているだけでも御の字なので、それに否やはないんですが、なんとなく、こう、宙ぶらりんっての?
落ち着かないわけですよ。
『あっち』からのコンタクトもないしさ。
もしかして、こちらから動かなければならないのだろうか。
となると、やっぱりこの世界観なら、教会かな?
そこ行ってお祈りするふりをすれば、お話できるんではなかろうか。
「教会?」
自分と同じ高さの机に指先をかけて背伸びをしながら、書類仕事中の団長さんに訊いてみた。
「うん。かみさまにおいのりするの。こわいのでないようにって。そしたらあぶなくないでしょ?」
団長さんたちの仕事は、どうやら荒事中心らしい。魔獣だの盗賊だのという言葉がよく聞こえるからね。良い理由。
「そ、そうか!」
団長さんが胸を押さえる。
「パパ?」
「あ、いや、コホン。それはうれしいんだけどな、教会はハイルハプスにしかないから無理だな~ だいたい、信仰権がないしな」
「しんこーけん?」
なんぞや。
「神様にお願いできる権利だな。それがある人だけお願いできるんだ。全部のお願いを聞いていたら神様も忙しいだろう? ま、そんなことを言ってもわからんか」
………………………………………………
はああああああああああああああっ?
団長さんに頭ポンポンされながらも、驚愕の嵐である。
権利がないと、お願いできない?
しんこーけん って、 もしかして、 信仰権?
なにそれ!
神様にお願いなんて、24時間365日、明日天気になりますように、から、世界平和人類みな兄弟、まで、ぽろっぽろするもんじゃないの?
「ないのにお祈りしようしたのがばれたら怒られるからな、しーだぞ」
……怒られる?
神様にお願いしたら、怒られる?
なにそれーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
どーしたもんか。
どうやって来たのかわからないけど、わたしは隊舎裏の馬場にいた。
うん、あまりにも衝撃的だったらしい。
権利がないと神様にお願いできないとか、なんじゃそりゃ。
教会に行かないとお願いできない。教会は遠くて、高い(入場料)そうな。
敷居高すぎじゃない?
神様その辺ゴロゴロの日本人としては、理解できる範疇越えております。
ゴロゴロ……
そうよ。居るかもしれないじゃない。
その辺に。見えないだけで。
柏手二つ。
ダルマクさ~ん、建御雷神~、百歩譲ってナタルのバカでもいいから、反応して~。
両手合わせて祈ってみる。
…………
……そううまくいかないか。
日本だって、神さまと直にお話なんてできないしね~
はあ…………
ガラガラガラ ピッシャ~~~~~~ン!!!!
真っ白〜っ!