表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
おまけ章】大人の鳥撮り事情
98/113

第94話:アオバトをテレコンで撮る



 アオバトを撮りに。


 早朝からバイクで少し遠出して、海辺までやって来て。


 ちょっとしたアクシデントはあったけど。


 涼子(りょうこ)さんに車で送ってもらった場所から、歩くことしばし。

 いや、早朝とは言え、真夏。


 十キログラム近いカメラ三脚にカメラバックを担いで歩くのは、結構、疲れるし、汗だくだく。


 それでもどうにか。


 目的の海岸へ、到ぅ着ぁく。


「うわぁ……まさかアレ、全部、アオバトですか?」


 岩場なので、三脚を降ろす場所を見つけるのも大変だけど。


 その岩場から、海の上。


 海面から顔を出した、小さな島のようになっている、岩。


 その岩の上と言わず、周囲に、大量の、鳥さんたち。


 岩に止まる鳥さん。


 周囲を飛び交う鳥さん。


 なんとか、三脚を倒れないように立てて、足場を確保して。


「てか、遠ぃなぁ……」

「もっと近くで見れると思ってましたわ」


 そう。


 方菜(かたな)ちゃん、蘭先輩のおっしゃる通り。


 その場所まで結構、距離がある。


 わたしもカメラで何枚かシャッターを切って、プレビューで確認してみる。


 小さいけど、拡大して確認みると。


「あぁ、でも、アオバトですね、ほとんど、と、言うか、全部?」


「なンか混ざっとるかもしれンけど、大概(たいがい)アオバトっぽいな」


 方菜ちゃんがファインダーを覗きながら、答えてくれる。


「こんなに遠いとは思わなかったよ……うぅん……そうだなぁ……」


 カワサキさんも、同じくファインダーを覗きながら。


 まぁ、鳥さんを撮ってる時は、だいたいこんな感じで。


 みんなカメラのファインダーを覗きながら、声だけで、会話。


「よっし、じゃあ、禁断のアレ、使うか」


「禁断?」

「アレ?」


 はて?


 カワサキさんの不穏な発言。


 見ると。


 カワサキさんが、カメラバックを背中から降ろして、そのバックの中から、何やら取り出す。


 取り出したモノを手に。


 え?


「ちょ、カワサキはン、それナンやねン」


 レンズからカメラを取り外して。


 取り出したモノを、レンズに取り付けて。


 さらにその後ろにカメラを取り付けなおす。


「おじさま、まさか、それはテレコン!」

「あぁ、テレコン」


 なんですとー!?


「おっさん! テレコンは(くろ)ぅなって画質下がるし絶対やめとけ言うて自分使(つこ)ぅとるやンけっ!」


 さすが、本場関西のツッコミ。


 テレコン。


 テレ・コンバータ、の、略称。


 レンズとカメラの間に挟んで、レンズの焦点距離を伸ばすことができる、オプションのレンズ部品(パーツ)


 方菜ちゃんが言った通りに。


 焦点距離は伸びるけど、オツリとして、F値が下がるし、余分なレンズが追加されることで、画質が悪くなってしまう。


 だから。


 カワサキさんは、使わない方がいい、ってわたしたちに教えてくれてたんだけど。


「1.4倍だから、まだマシだし、後でみんなにも貸すからー」


 いざと言う時には、こんな感じで使うこともある、って事ね。


 まぁ、カメラメーカー純正のテレコンって、結構高いし。


 めったに使わないモノを持ってるのも、無駄と言えば、無駄。


 幸い。


 カワサキさん直伝で、みんなカメラのメーカーを揃えてるから。


 なんだかんだ、パーツを貸し借りすることが、可能。


 とりあえず、テレコンなしで、普通に撮影。


 やがて、カワサキさんが撮り終えたら、方菜ちゃんにテレコンを渡して。


 蘭先輩、そして、わたし。


 三脚と言うか、雲台をいったんロックして、レンズが動かないように固定して。


 レンズから、電源を落としたカメラを外して。


 レンズ側にテレコンを装着。


 レンズに付いたテレコンに、カメラを再装着。


 カメラの電源をオン。


 ファインダーに見える画像は……。


「うーーーーん、ちょびっと大きくなった?」


 劇的、と、までは行かねども。


 多少?


 その状態で、何枚か撮って。


 これくらいでいいかな?


 ってところで、テレコンを外して、カワサキさんに、返却。


「たまぁに、こっちまで来よるヤツも()ンな」

「ですわね……狙ってますけど、すぐに移動しやがりますわね」

「うーん、(むず)いなぁ……」


 岩場で、足場が微妙に不安定な事もあって。


 あまり大きく、急な動きもできないので。


 狙った正面付近を中心に、待ってはみるものの……。


 なかなか。


 思うようには、行きませぬなぁ。



 まぁ。


 これが、鳥撮り、とも、言えるけど、ね。



挿絵(By みてみん)





残念ながらこのシチュエーションは実体験ではなく、他の方の写真からの想像で書いてます(なんと偶然にもシンさんのモデルの方が、少し前にちょうど海岸でアオバトの写真を撮られてたのです!)


なので、リアルネタとしては『テレコン』に焦点を当ててみました。


作中でカワサキさんが言ってる通り、暗くなるし画質が下がる関係で、テレコンは『使わないに越したことは無い』ので。


以前は、テレコン付けっ放しで使ってたんですが。

逆に、テレコン外して撮ってみたら、画質が格段にあがったので、それ以来、テレコンは全く使ってません。


写真は、上がテレコンを付けた状態で、下がテレコン付けてない状態。x2倍のタイプなのでわりとデカいタイプです。もっと薄いx1.4倍のものもあって、そっちの方が主流(x2倍になると暗さや画質の劣化のデメリットが大きすぎる)


ちないに、テレコンって呼び方はメーカーによって違いがあって『エクステンションチューブ』とか『エクステンダー』とかって呼び方をするメーカーさんもある模様(ウチはもう、ずっとテレコンって呼んじゃってるので、エクステンダーがピンとこない)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ