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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
おまけ章】大人の鳥撮り事情
97/113

第93話:偶然にも保土ヶ谷


<まえがき>


 えと、今回のお話は、なるるの他作品とのコラボ回となっており、まったく同じサブタイトルを付けています。


 内容的にはここではスキップしても問題ありません。


 興味のある方だけご覧いただければと。

 なお、今回はカクヨム版と同時公開にしています。


 では、本文をどうぞ。







 プチ夏休み。


 社会人になると、夏休みは学生時代の超長期とは、行かず。


 お盆の前後に、少し。


 土日の前後に有給休暇を取って、プチ夏休みも追加。


 入社してまだ少し。


 有給休暇なんて、と、思ったりもするけど。


 どうやら、最近は、有給休暇もちゃんと消化しないといけないらしく。


 有給休暇の取得の心得? みたいなものもあって、そういった指導も、されたり。


 当然、体調不良とか、身内の云々な理由で、急に休むのは仕方ない部分もあるけど。


 計画的に、休暇を取得して、趣味や家族サービスやら、余暇を満喫して、仕事の疲れを癒し、仕事の効率を上げる、とか、なんとか。


 会社に入って。


 社会に出て。


 学生の頃とは、まったく違う世界に。


 戸惑いも、あれど。


 学ぶ事が大杉謙信。


 それは、さておき。


 そのプチ夏休みに、まさに、趣味! とも、言える、鳥撮りへ。


 カワサキさんたちとバイクツーリング(これも趣味!)を兼ねて、海岸のある町へとやって来た、わたしたち。


 そのバイクをホテルに置いて。


 カワサキさんの妹で、蘭先輩のお祖母さんの涼子(りょうこ)さんの車で海岸近くまで送ってもらって。


 三脚にカメラを乗せて。


 海岸に向けて、徒歩で、てくてく。


 歩いていたらば。


 道路沿いに、豪華な家? 別荘? みたいな建物がある近く。


「あ? なんか変わった鳴き声が聞こえてくる……」


 カワサキさんが、その鳴き声に気付く。


 言われると、確かに、何やら、聞きなれない鳥さんの声が。


 はて、いずこ??


 鳥さんの鳴き声……音の方角、は、なかなか解り辛い。


 わたしの場合、生まれつき右の聴力が弱く、左右がアンバランスなので、なおさら。


 補聴器を着けていても、正確な方角は、イマイチよくわからない。


 このあたりの感覚は、慣れろと言われてもなかなか、ね。


 そうそう。


 学生の頃は、聴力に難のある右側だけに補聴器を着けてたんだけど。


 そうすると、左右で『音質』が変わってしまって違和感があって。


 大学に入ってからアルバイトして、左側にも補聴器を着けるようになった。


 まぁ、日常生活では不便は無いので、ほとんど両方着ける事はないけど。


 講義とかは右だけで十分だったし。


 でも、鳥撮りの時は、左右のバランスが、結構大事。


 なので。


 でも。


 どこだーっ!?


「アレちゃうか? あの窓ン張り出し」


 方菜(かたな)ちゃんが指差す方向を見ると。


 道路の脇に立つ、豪華なお家の、その窓のひとつ、そのヒサシに。


 薄暗くてはっきりと見えないから。


 三脚を降ろして、照準器でその鳥さんを捕捉(エイム)


 わたしが確認するよりも早く、カワサキさんが。


「イソヒヨ、だな」


 とのこと。


 追っかけ、わたしも捕捉(エイム)してカメラのファインダーを確認。


 ファインダーを明るくして確認すると、水色と赤と白の小鳥さん。


「オスのイソヒヨドリ、ですね」


 普段、通っているいつもの公園(フィールド)では、見る事が無い、鳥さん。


 海岸とかにはよくいらっしゃる、らしい。


 まれに海岸から遠い町の中でも見る事はある、けど。


 ファインダーを適切な明るさ、つまりは適正露出に戻して、何枚か撮影しつつ。


「さすが海岸近くって感じですわね、鳴き声も初めて聞きましたわ」


 蘭先輩のおっしゃる通り。


 こういう鳴き方なんだぁ、と、わたしも、初めて。


「そうだよねぇ、町で見かけることあるけど、鳴いてるのは初めて聞いたかも」


 ぱしゃぱしゃ、と、()()()()()()()に向けてシャッターを切っていると。


「あ」

「あっ」

「やばっ」


 窓に、人影!?


 全員、あわててレンズを明後日の方へ向けて。


 素知らぬ顔で、明後日の方を向いて。


 さすがに。


 民家の窓にでっかいレンズを向けてるのは、ヤバい。


 盗撮と誤解されかねない。


 早朝だし、ひと気がなかったんで、油断してた……。


 このまま三脚を担いでダッシュで逃げるのも、うしろめたさがあるし。


 どうしよう?


 どうしましょう?


 どないすンねン……。


 とりあえず、いつでも逃げられるようにカメラは担いでおきませんと。


 目と目で合図。


 とりあえず、蘭先輩に習って、雲台を固定して、三脚を肩へ。


 また目で合図しあって、ゆっくりと、歩き出そう、としたらば。


「え? 本多さん?」


 後方から、聞き覚えの無い、女性の、声。


 ホンダさんって……あぁ、カワサキさんの事か。


 はて?


 そのカワサキさんでありホンダさんが振り返ると。


 驚いたような表情で。


「え? 園ちゃん?」


 カワサキさんにつられるように、カワサキさんの視線、つまり、声のあった方を見てみると。


「母さん、知り合い?」

「お母さんの会社の同僚、と、言うか先輩よ」


 可愛らしい少女と、大人の女性、その後ろにはもうひとり大人の女性も。


 と、言うか、同僚? 先輩?


 カワサキさんは、女性たちの方へ少し歩み寄りつつ。


「ここ、園ちゃんの家だったの?」

「いえいえ、娘の学校の関係で、合宿に付き添いで来てるんです」


 一番背の高い女性と、親しげに、会話。


 そりゃ、会社の知り合いだったら、親しくもある、わよね……。


 に、しても、すごい偶然?


「え? 園ちゃん、娘さんなんて居たっけ? 息子さんじゃ??」

「あ」

「その子……え? え? えぇええ?」


 カワサキさんが目を白黒させてる。


 背景がわからないから、何とも。


「えっと、話すと長くなりそうなので、また後日……それより、本多さんこそ、こんなところで何をされてたんです?」


 娘? 息子? の件は、置いておいて、って感じかな。


「ここら辺の海岸に撮りたい野鳥が居てね。それを探してたら、別の鳥がこの家の屋根にとまってたから、撮ってたの」


 カワサキさんが、今のわたしたちの状況を説明してくれる。


「そちらのお嬢さんたちは?」


 相手の女性からも、逆質問。


「あぁ、ウチの姪っ娘と、その友達。結構前から一緒にあちこち写真撮りに行ってるんよ」


 相変わらず『姪』で通してるのね。まぁ、『大姪』って説明も面倒くさいし、語呂も悪いけどね。


 カワサキさんの妹の孫、だから、姪じゃなくて、大姪、なのよね、正しくは。


「それにしても、園ちゃんの娘さん……息子さん? 娘さん? 園ちゃん似で、すごくカワイイねー」

「でしょ、でしょ?」


 あ。


 娘息子の話に戻った。


 そっちのお話にも興味はあるけど。


 蘭先輩が。


「おじさま、イソヒヨ、抜けてしまいましたわ」


 見ると、窓のヒサシに止まっていたイソヒヨドリが居なくなってる……。


 ちなみに、()()()とは、鳥さんが居なくなる事を言います。


 別に、カワサキさんの髪の毛が抜けてるって意味じゃぁ、ないです。


「早ぅ、アオバト探しに行こぅな」


 方菜(かたな)ちゃんも、気まずいらしい。


 察したのか、カワサキさんも。


「あー、そうだな。朝の内に撮りたいしな」


 と、答えてくれて。


 女性たちに向き直って。


「園ちゃん、悪い、ゆっくりも出来んので、また今度」

「はい、お気を付けて」

「じゃ、また」


 改めての、ご挨拶、からの、離脱。


 ちょっとした、ハプニング?


 別荘? から離れるように歩きつつ、カワサキさんに訊いてみる。


「カワサキさんのお知り合いだったんですか?」


「そだよ。会社のヒト。いやぁ、偶然にもホドガヤだよなぁ」


 カワサキさん……と、思ったら、ツッコミ担当の方菜ちゃんが。


保土ヶ谷(ホドガヤ)ってドコやねン!」


 突っ込みなのかボケなのかわからないツッコミを。


 なので、わたしも。


「地名だってわかるんだね……」


 ツッコミなのか、ボケ返しなのかわからないツッコミを。


「ちなみに、保土ヶ谷は横浜ですわね」


 なに、この漫才軍団。


 とりあえず。


 アオバトが居ると言う海岸へ。


 向かいましょう!






ちなみに、コラボ先は『玄関ダッシュ五秒の女子高にオレひとり』の『第68話』と、なってます。

『百合母』でもコラボあったんですが、片方向で、こっち側には話書いてませんでしたわ。



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