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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第四章:二学期/秋
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第63話:晴天の下、晴天のヘキレキ



「寒さむぅ……あ、おはようございます……って、涼子さん!? お久しぶりです!」


 オオタカ島に集合したら、なんと、涼子さんが居らっしゃった。


「やーやー、永依夢(エイム)ちゃん、おひさしヤなー」


 相変わらず、お歳を感じさせない若々しいスタイル。


「んー、やっぱ、ちっちょ(ちいさく)て可愛ぇなぁ」


 ぎゅー。


 ぎゃー、また抱き着かれたー。


「おはよーさん、って何や? どちらはん?」


 そこへ、方菜(かたな)ちゃんも到着。


「おー、あんたがウワサのカタナちゃんかぁ!」

「カタナちゃうて、かたな、や」

「かたな、カタナ、方菜……よし、方菜ちゃん!」


 ぎゅー


 わたしへのぎゅー、から、方菜ちゃんへのぎゅー、に飛び移る涼子さん。


「ぎゃー! なんや! 何モンや! この姉ちゃん!」


 じたばた、方菜ちゃん。


「姉ちゃん!? うれしいコト言うてくれるやんか!」


 二人ともテンション、高っ。


「カワサキさんの妹さんで、蘭のお祖母さんで、涼子さん、だよ」


「ばあちゃん!?」


「せや、蘭はウチの孫。ほんで、そこのおっさんの妹なー」


 そのおss……げふんげふん……カワサキさんは。


「あれ? カワサキさん、そのカメラって、いつもと違いますね?」


 明らかに、いつも使われているのとは違うカメラ。


 いつものカメラは、迷彩色のカバーをかけてるけど、今日は真っ黒。


「そうそう、はい、これ、永依夢ちゃんの分ね」


 と、言って、カワサキさんは持っていたカメラを三脚ごと、わたしに渡してくる。


 え? 何?


「方菜、貴女には、これを」


 今度は、蘭先輩がこれまたいつもと違うカメラを三脚ごと方菜ちゃんに渡す。


「え? なんなん?」


 方菜ちゃんもわたしとまったく同じ反応。


 まあ、そら、そうだよね。


「今日、ウチ、コレ、運ばされたんや。ホンマ、妹使いの荒い兄キやで」


 ごつん、と、カワサキさんの背中にゲンコツする涼子さん。


「いてて。久しぶりに永依夢ちゃんに会えるって喜んでたクセに」


 ふむ?


「まー、ソレは、ソレや」


「てゆーか、このバアさん、めっちゃ関西弁やな!」

「せや! めっちゃ関西人やで! 関西のコぉが来たゆうて聞いたよって()うてみとうてなっ!」

「わざわざ!?」

「せや!」

「ぉー!」


 なんか盛り上がってる関西人同士。


 わたしより、方菜ちゃんが目当てだったっぽい? まあ、いいけど。


 それよりも。


「いやいや、カワサキさん、何ですか、これ?」


「ん? カメラ!」


「それは、わかりますけど、なんでわたしに?」


「ウチで余ってるから、一度一眼レフの体験してみたらどうかな、と」


 いやいやいやいや。


 そう言えば、前に蘭先輩にも余ってるのを譲ってくれるとかなんとかって話もあったっけな。


「ウチもかい?」


 方菜ちゃんも同様、らしい。


「方菜には、わたしのお古で申し訳ないですが」


 見ると、カワサキさんがわたしに渡したものより、蘭先輩が方菜ちゃんにわたしたものの方が、少し小さい、と言うか、細い感じ。


「と、言うわけでや。二人のカメラをウチが車で運んで来た訳やね」


 なるほど。


 大荷物だったから、涼子さんの出番だった訳か。


「と、言う訳で、路駐しとるさかい、とっとと撤収さしてもらうでー。ほな、またなー」


 てこてこ、と、小さい身体を弾ませるように帰っていかれる、涼子さん。


 やっぱり、お祖母さんには見えないなぁ……


「んじゃ、簡単に使い方、説明するからねー」


 と、カワサキさんからカメラバックまで渡されて、カメラの前に立たされて……


 隣では方菜ちゃんが蘭先輩から強制指導。


 いやいやいや。


 青天の霹靂(へきれき)、ってこういう事を言うのかな?


 確かに、今日は、晴天だけど!?




 何故か、突然、カメラの講習会。


 取り急ぎ、体験してみよう、って事で、一通り、必要最低限のボタン操作とかを教えられる。


「シャッターボタンの前にあるダイヤルを左右に回すと、シャッタースピードの上げ下げ。絞りを変える時は、親指で後ろにあるこのボタンを押しながら、ダイヤルの左右で」


 ちんぷん。


 だけど、指先の感覚で、ここと、ここ、みたく覚えると、なんとなく。


 ファインダーを覗いて、ダイヤルを回すと数字が変わるのが、わかる。


 左がシャッタースピードで、右のFってところが絞りか。


「シャッタースピードと絞りの値は、都度、ウチらが指示するから、その数字に合わせればいいからね」



 そう。


 前にも聞いたけど、カワサキさんや蘭先輩は、露出合わせを自動ではなく、手動……マニュアルでやってるんだとかで。


 周りの明るさを、都度、自分で感知して、最適なシャッタースピードと絞りの数字を決めてるらしい。


 すごいよね?


 でも。


 カメラが()()()自動で合わせるより、いい写真が撮れる可能性が高くなるそうで。


「専用の照準器も付けておいたから、照準はこっちでね」


 至れり尽くせり?


 外堀られてる?



 どうすんの、これ??


 って、カメラを三脚ごと、持ち上げてみたら。


「重っ!?」



 めちゃくちゃ重かった……






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