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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第三章:夏休み、二学期
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第49話:謎の少女に言い負かされる!?




 公園の『野鳥写真展示会』本日、二日目。


 昨日の一日目、午後から施設前で見張り番とその後はチラシ配りを予定通り。


 夏休みも後半を過ぎ、帰省から戻った小さなお子様連れのファミリーがわりと多かった。子供向けの施設を中心にチラシを配って歩いてみたりした。


 天気が良すぎて、暑すぎて、ヘロヘロになりつつ。


 二日目の今日は逆に、朝からチラシ配りでその後、見張り番と会場案内。午後からは一旦フリーになって、最後、撤収のお片付け。


 ってことで、結構キつかったりするので、早朝の鳥撮りはお休み。どうせ鳥さんもほとんど居なくて空振り多いいしねぇ~。


 蘭先輩たちと八時に施設前集合で、会場の鍵を開けてもらってチラシを取り出して、いざ。


 八時とは言え、陽はもう既に高く昇り、もう猛暑。


「さてー。どこから配りますかねぇ」

 蘭と二人、園路を歩きながらどこを目指すか?


「まだ、朝早いですから、人が少ないですわね……」

「だよねぇ」


 居るのはだいたい、ランニングやら体操やらのトレーニング中の方々か、散歩の年配の方とか。後はわたし達みたいな鳥撮りさんか。


 トレーニング中の人にはいい迷惑っぽいのでスルーして、散歩のおじさん、おばさん達には声をかけてチラシを渡す。このパターンは、わりと受け取ってもらえたりする。


 まあ、迷惑そうにスルーされるパターンも泣きにしもあらず。誤字だけど、言い得てミョー。


「また何か『しょーもない事』を考えてますわね?」


「え? え? なんでわかるの?」


「顔に書いてありますわよ?」


「ええええ!? 顔洗わなきゃっ!」


「ホントに……永依夢(エイム)と居ると飽きないですわね……」


「えへへーっ(照れっ)」


「褒めてませんわよ?」


「!?」


 とかなんとか、蘭先輩と漫才つつ、子供向けの遊具がある広場を目指していると。


「あれ? あの子……?」

「見かけない顔ですわね……」


 園路の交差点はところどころロータリーになっていて、交差点の中央に花壇があり、その周囲にベンチがある。そのベンチの一つ。木の陰の涼しそうなところに女の子が座っていた。


 歳の頃は、わたし達より、少し小さい……中学生? 真夏ではあるけど、長そで長ズボンで、首から双眼鏡ぶら下げている。


 その女の子は座ったまま上を向いて、ペットボトルをおでこに当てている。どうやら頭を冷やしているっぽい感じ。


「具合でも悪いのかな?」


「鳥見に来て、歩き回って熱射病か熱中症にでもなりましたですかね?」


「とりあえず、行ってみよう。具合悪いなら介抱しないと」


 とてとて、と女の子の座っているベンチに近寄って。


「おはようございます。どうかされましたか?」


「ンぁ~?」


 ペットボトルをおでこから外して、気怠そうにこっちを……睨みつけられた!


「なンや? アンタら? ウチになんぞ用でもあンのンか?」


 うわあああ、涼子さんだ! いや、違う。単に関西の子か……?


「あ、いえ。なんか、具合悪そうに見えたんで、気になって」


「あー……、暑ぅてヘバってるだけゃ。気にせンでえぇ、()っといて」


「その双眼鏡……もしかして、バードウォッチング、ですか?」


「せや……ン? なンや、それ?」


 やっぱり。バードウォッチャーのようだ。わたしが手に持ってるチラシに興味を持ってくれたみたい。


「今日、この公園の野鳥の写真展をやってるんですよ。わたし達の撮った写真も展示してるんで、よかったら観に来てくださいっ!」


 昨日もだったけど、同じように早口にアピールしつつ、チラシを手渡す。


「……」


 関西弁の女の子はチラシを受け取って、しばらくじっと見て。


 ぽぃっ。


 捨てたっ!?


「えええええっ」


 あわてて、回収。


「ななな、な、何するんですかっ!?」

 

 女の子は、ぷいっ、と横を向いて。


「ふンっ。どーせ、えげつないことシて無理矢理撮ったンばっかなンやろ? そンなもン、観とぅないわ」


「そ、そんなことっ!」


「無いとは言わさへンで」


 こっちを見据えて来る。


「そんなこと、無いです!」


 わたしだって、言い返す。


「ウチ、知っとンねンで? アンタらカメラマンが、どない(あく)ドぃコトして撮っとンのか」


「え……?」


 女の子が、語る……。


「写すンに、木ぃが邪魔ゃ()ぅて天然記念物の木ぃ、切ってモぅたり」


「……」


「入ったらアカン、そこは私有地ゃ()ぅてンのに聴かンと入ってったり」


「……」


「雛鳥の写真撮るぅ、()ぅて営巣場所()って、巣ぅ壊してモぅたり」


「そ……!」


 蘭せんぱあああい! ちょっと泣きそう。と、言うか、そんな事する人が居るの!? って、驚きを隠し得ない。


 蘭先輩を見ると、苦虫を噛み潰したような表情で足元を見ている。


「……貴女(あなた)(おっしゃ)る通りですわね……」


「蘭!?」


 蘭先輩は、わたしを遮って続ける。


「でもそれは、ほんの僅か一握りのマナーのなっていないヤカラの仕業であって、カメラマン全員がそうではありませんわ」


「せやな」


 女の子はまた上を向いて、ペットボトルをおでこに当てながら話を続ける。


「アンタの()()ぉり、確かにみンながみンな、()ぅ訳ゃあらへンのやろな……」


「ええ、ですから……」


 蘭先輩を遮って、女の子が続ける。


「せやったら、自分らかて、そンなヤカラ止めなアカンやろ? 黙って見過ごすンやったら、そいつらも、アンタらも、同罪ゃで?」


「……」「……」


 わたしは、そんな人達が居る、なんて事を、今、初めて知った。


 蘭先輩は、きっと知っていたんだろう。


 蘭先輩もわたしは何も言い返せない。


 女の子は『あぢぃー』と言いながらペットボトルをおでこにぐりぐりしている。


 …………!


「とりあえずっ!」


「ナ、ナンやっ、いきなシ()っかぃ声出しよって!?」


「とりあえず、会場、クーラー効いてて涼しいんで、そこで涼みましょう!」


「はぁ?」


「さぁ、こっちです!」


「待テゃ、こらっ! 待たンかいっ! ゥわァ! ドコ連れてクねン! イやァ! 拉致(ラチ)られるぅううう」


 いや、もう、とりあえず、クールダウン! クールダウン!


 頭冷やしてもらおうっ!







まさかの新キャラ登場。

てか、涼子とキャラかぶってるしなぁ。

ゲストで終わるか、レギュラー入りするのか、なるるにもわかりまへん!

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