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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第三章:夏休み、二学期
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第43話:夏の遠征⑨~ケリを付けてお風呂にうどん!


 西方遠征の最終日。


 今日の夕方にはもう、ここを離れる予定。


 前日同様に早朝から涼子さん操るトラックで手ごろなコンビニまで。そこで飲み物やら買い出して。


「さあ、今日こそケリ付けるぞぉ!」

「ぉーっ!」

「ですわっ!」


 カワサキさんの気合の合図で出発。昨日とは違う道で違う場所へ。


 住宅街の中を少し走って水田地帯。


 昨日周ったところは広い水田地帯で民家が少なかったけど、今日の場所は民家と田畑が混在した感じの場所。


 昨日同様に作物を植えてない休耕田を探して周る。


 辺りを注意して見渡しながらゆっくりと自電車で移動。


「ん?」


 右後方、目の隅に動く物が写った。


 自転車を停めて見てみると、二羽の鳥さんが水田に降り立つところだった。


「あれ、何でしょう?」


 先を走っていた二人を呼び止めつつ、自転車を停めてカメラを構える。水は張ってあるけど、作物が植えられていないので鳥さんがはっきり見える。

 照準器で捕捉(エイム)してファインダーで確認。まだ見た事の無い鳥さんだ。

 全体的に白っぽいけど、背中が黒っぽい。


「これは、待望のケリさんでしょうか!?」

「シギだな、あれは」

「公園では見ない子ですわね」

 カワサキさんと蘭先輩も自転車から降りてカメラで撮ってプレビューで拡大して確認。


 ケリじゃないのかぁ……。


「足が赤いな……多分、アカアシシギだな」


 見ると、すごく足が長い。そして確かに足が赤い。オオサギさんやコサギさんっぽいけど、もっと小さくてスマートな感じ。さらにクチバシが細くて長い。


 などと思いつつ撮っていると、シギさん達はすぐに飛び立ってしまった。


「撮れた撮れた。まあ、ちょっとラッキーかな。公園の池はわりと深いから、シギの(たぐい)はあんまり来ないからねぇ」

 カワサキさんは少しでも撮れたとご満悦の様子。

 なるほど。環境、場所によって見れる鳥さんも変わってくる、って、図鑑にも書いてあったね。


 自転車でまた移動。


 文字通り鳴かず飛ばずで、お昼過ぎ。

 またまた、たまたま通りがかった牛丼屋さんで昼食。カワサキさんは牛丼好きらしい。昨日のお店と違って定食やカレーもあったので、わたしはカレーのサラダセット、蘭先輩は焼肉定食。



 昼食休憩を挟んでまた移動。


 住宅と田畑の比率がさらに住宅寄りな感じのところに入った。


 少し、広めの休耕田があったので、自転車を停めて辺りを見渡してみる。


「ここら辺、わりと町の中って感じだね」

 率直な感想を述べてみる。


「昨日から今朝までの場所とは雰囲気が違いますわね」

 蘭先輩も同じ意見。


「んー。野鳥だから、人工物の少ないところの方が可能性高いと思ったんだけどねぇ……」

 もともと、その発想で田畑の多いところを周ってた訳だけど。


「種類によっては、人工物のあるところも平気な子とか、逆に人工物があった方がいい子とかも居るしねぇ。カラスとか、ハクセキレイとか……あと、ツバメもそうだね」

 ふむふむ。駐車場にハクセキレイさんも定番だよね。この間の高速道路のチョウゲンボウさん、とか。


 その発想で、住宅地と田畑が両方ある場所を周ってみる。


 そして、ついに。


「ケリはっけーん!」

 カワサキさんが、ケリさんを発見した模様。


「やっと見つけましたわっ!」

「あれですね!」


 民家の脇にある水田。そこにケリさんがいらっしゃいました!


 場所を変えて、大正解。


 三人とも自転車を停めて、カメラを構える。


 おお、これがケリさん!


 図鑑で見て色や形はだいたい覚えていたけど、大きさのイメージがいま一つだった。実物を見ると、思ったより大きい? ハトさんより大きくてカラスさんよりは小さい感じか。


 んー、んー。しかし。さっきのシギさんの方が絵的にはカワイイと言うかキレイな感じだったけどなぁ……まあ、地元じゃ見れない、珍しい鳥さんってことで。


 ぱしゃぱしゃ。


 ケリさんは結構近くに居るけど、わたしたちにはお構いなしに水田の中でうろうろしている。食べ物を探してるのかな? でも、撮り放題。


 ぱしゃぱしゃ。


 せっかくなので、三脚もセットしてじっくり……って、ここ、公道だし、民家のまん前だけど、大丈夫? と思いつつも、できるだけ道の端に寄って。


「あっ」


 油断してたら、いきなり飛んだ、ケリさん。


 慌てて照準器で追う。


「ええっ!?」


 びっくりした。ケリさんが翼を広げると白黒のツートーンで、意外とキレイ?!


 そんなケリさんは道路を挟んだ反対側の休耕田の方に向かって、そこで着地。


 ぱぱっと今撮った写真をプレビューして確認すると、翼を広げた姿も撮る事ができていた。やたー。


「よかったぁ。なんとか撮れたなぁ、ケリ!」

「ええ、撮れましたわっ」

 カワサキさんと蘭先輩も歓喜。


 こうして本来の目的だった『ケリさんを撮る』事も出来て、遠征は終わりを迎える。

 迎えると言うか、涼子さんに迎えに来てもらう。


 近くのコンビニで待ち合わせて合流。自転車も積み込んで。


「ん、みんな、お疲れさんやで~」


「「「お疲れ様でした~」」」


「ホンマ、疲れたやろ? 近所にスパ、あるさかい、浸かりに行くでー」


「「「おぉー?」」」


 と、言うわけで、涼子さんの案内で、リゾートスパへ。


 当然だけど、カワサキさんと別れて蘭先輩と涼子さんと三人で女湯へ。


「結構、広いねぇ」

「それに、いろんな種類のお湯があるようですわね~」

「ウチもココは初めてやけど、ネットで見たらこの辺で一番大きいトコみたいやなぁ~」

 ちょっと恥ずかしいけど、ゆっくりお風呂に入れるのは有り難い。


 三人並んで先ずは内湯に入る。


「はぁ……おっきい風呂はやっぱりええなぁ」

「ええ、足を伸ばせるのはとっても良いですわね」

「うんうん」


 しばらくまったりと湯舟に浸かった後、各自好きなお風呂へ。


「私、サウナに行って来ますわ」

「んじゃ、わたしはあっちのジェット風呂~」

「水風呂もあるみたいやから、のぼせそうやったら一回、水風呂に浸かったらええで~」


 とかなんとか。温泉ではないけど、お風呂、堪能さえていただきました!


 お風呂から上がって少しくつろいだ後、「関西来たんやし、うどん食わんと!」って京子さんのお薦めで『うどん屋』さんへ。


 涼子さんから「関西には『きつねそば』と『たぬきうどん』はあらへん」って話を聞きつつ、澄んだツユの『きつねうどん』をつるつる。ちょっとしょっぱいかなと思ったけど、甘いお揚げがジューシーでうまうま。


 それにしても、うなぎ、お好み、たこ焼き、うどん……ご当地食を堪能。


 ……あれ? 食道楽遠征?


 いや、まあ、ケリも撮れたし、花火も含めて他にも色々撮って『ケリが付いた』って事で!




 うどんを堪能した後は涼子さん運転のトラックで地元へ。


 無事に家まで帰って、遠征旅行、終了!


 涼子さん、カワサキさん、蘭先輩、ありがとう!


 お疲れ様でした!

 






※おまけ写真

右下:アカアシシギ。その他:ケリ


挿絵(By みてみん)

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