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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第二章:新学期、三学期
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第30話:GW②~キビタキさん、オオルリさん、ムシクイさん

 広場でツバメさんとバトル? した後。


 暖かくなってきたってことで、キビタキさん、オオルリさん、そして、サンコウチョウさん……春の渡りの小鳥さん達を探しに。


 あー。


 ツバメさんも、渡り鳥、なんだってね。

 春の渡春ごろに日本にやって来て、夏いっぱい日本で子育て。秋にまた南の方に帰る、ってのはキビタキさん達とも同じらしい。違うのは、ツバメさんは平地の住宅街とかで子育てするけど、キビタキさんたちはお山の方で子育てするらしい。


 さっき、休憩中に写真を確認しながら、カワサキさんがそんな話をしてくれた。


 ふむふむ。


 自転車で園内の園路を走って小鳥さんのポイントへ。


 園路の脇に(邪魔にならないように)自転車を停めて、カメラと三脚を持って、木々の中に突入。


 木々はすでに葉も生い茂り、中は少し薄暗い。

 けれど、木洩れ日が入ってくるので真っ暗って訳ではない。


 目を凝らし、耳を澄ませて小鳥さんを探す……のは、カワサキさんと蘭先輩。


 わたしも倣ってきょろきょろ見渡してみるけど、それっぽいのは見つけられない。

 鳴き声もしかりで、鳥さんの声は聞こえるけど、聞き分けることはまだ出来ていない。

 なんとなくだけど、『聞き慣れた声』と『聞き慣れない声』が混ざっている気は、する。


「ここらへんに居そうなんだけどなぁ……」

 と、カワサキさんがつぶやけば、

「ええ、声は聞こえますが、姿が……」

 蘭がつぶやき返す。


 なるほど。確かに、二人が見ている方角から『聞き慣れない声』が聞こえる。サンコウチョウさんではないのは分かる。


『チュー、チュー、ビーー』


 これかな?

 これって、でも、シジュウカラさん?

 シジュウカラさんは、そこら中に居てあまり珍しくは無い小鳥さん。ヒヨドリさんと並んで公園の常連常駐さん。しょっちゅう見かける。なので、その鳴き声もわりと『聞き慣れた声』だ。


 でも、今、聞こえて来る声は、シジュウカラさんにしては、間延びしている。シジュウカラさんのは『チュチュピー、チュチュピー』って感じでもっと早いし声も高い。


『チュー、チュー、ビーー』


 若干、声が低い感じだし、のんびりした感じ。シジュウカラとはちょっと違う。


 それが高い木の上の方から聞こえてくる。

 カワサキさんと蘭先輩も上の方を探している。

 わたしも、声のする方を目を凝らして見ているけど、んー、鳥さんらしき姿が見えない……


 あ!


 丁度、見ていた方向に動く影。小鳥さんサイズだから、きっとあれがそうだ。


 二人もカメラを向けている。わたしも同じようにカメラを構えて影を追う……が、すぐに見失った……


「やっぱり、センダイムシクイだな」

 カワサキさんが、カメラの液晶画面を確認。


「ですわね……って、撮れましたの?」

 蘭は撮れなかった? わたしはシャッターも切れなかったけど。


「ギリ、証拠写真だけど、ほれ」

 と、カワサキさんがプレビューを見せてくれた。ちょっとブレた上半身だけ。でも、これがムシクイさんなんだ~。やっぱりウグイスさんにそっくり。


 とゆーか、あの一瞬に……カワサキさん、すごすぎです。


「声が聞こえるから、まだ居るなあ。良い処に出て来てくれないかなぁ」

 そのカワサキさんは樹上を見上げながらつぶやく。


 わたしがウグイスさんを撮った時もかなりの時間、探し回った。

 相手はモデルさんじゃないんだし、そう易々と撮りやすい場所に出て来てはくれない。ポーズのお願いとかもできないしね(当たり前)

 

 しばらく探してみるも、見つけられず、声も聞こえなくなった。


「移動したっぽいね。あっちの方、キビタキが鳴いてるから行ってみよう」

 と、カワサキさんの先導で少し移動。


 森の中の方、少し開けた場所に出た。


 そしたら、入れ食いだった。


 キビタキさん、オオルリさん、入れ食い。


 いや、もちろん、食べたりはしないよ?


 なんかもう、よく見えるところに、入れ替わり立ち代わり。


 他の鳥撮りさん達も数人来ていて、そこにお邪魔する形で。


 一か所にじっとしている時間は短いんだけど、似たような場所に来てくれて、一時的に留まってくれる。


 若干、高い木の枝なので、見上げるのが大変。三脚を高く出来なくて、手持ちで頑張って撮る撮る撮る。


 とにかく、見かけた子をバンバン、撮る。


 どれが何って、確認するヒマも無いくらい。


 ただ、見た感じ、オレンジ色のキビタキさん、青いオオルリさん以外に、ウグイスさんやムシクイさんに似た色の子も混ざっている。ついでにシジュウカラさんも混ざってる。


 ひとしきり撮った後、鳥さんの気配が消えたので、また移動。


 の、前に、一時休憩。


 園内の売店横の自動販売機で飲み物を仕入れて、休憩のできる東屋へ。


 お茶で一息つきながら今撮った写真を確認。


 キビタキさんとオオルリさんは分かるんだけど、このウグイスさんっぽい色の子は?


 図鑑で調べてみる。


 ……


 キビタキさんか? オオルリさんか? どちらかのメスじゃないかって事は分かった。カラフルでキレイな色なのは男の子で、女の子は色が着いてなくてちょっと地味なのね……


「ねえねえ、蘭。これ、オオルリさんかキビタキさんか、どっちかな?」

「難しい事、聞きますわね……おじさま、わかります?」

 蘭先輩でも識別できず。カワサキさんにヘルプ。

「んー? あー……キビタキ……かな? なんとなく。多分」

 おぅ。カワサキさんでも微妙なのか。


 図鑑と見比べても決めてが見当たらず。


 後でネットで詳しく調べてみるかな。


 休憩を終え、いくつか場所を移して撮影したけど、キビタキさんとムシクイさん中心で、たまにオオルリさんが撮れた。オスメスもろもろ。


 残念ながら、この日はサンコンさんには出会えなかった。


 このG(ゴールデン)W(ウィーク)中に、出会える、と、良いな!




※上:キビタキ、下:オオルリ


挿絵(By みてみん)



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