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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第一章:冬休み
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第2話:カメラを持って公園へ



 スマホでオオタカについて調べてみた。


 ……


 いっぱい出てきた。


 ネットの良いところ、欲しい情報がすぐ見れる。悪いところ、あまりにも情報が多すぎて、どれを見ていいのかよくわからなかったりするところ。


 とりあえず、最初に出てきた図鑑のような項目に目を通してみる。


 『オオきなタカ』ではなくて『アオ(い)タカ』が変化したってことらしい。


 どこが青いの?


 さっき望遠鏡で見た感じ、おなか側が白くて、背中は黒かったなあ。


 生態とか、生息地とか、いっぱい書いてるけど、とりあえず、置いといて。


 第一印象は、顔がなんとなく猫っぽくて可愛いけど、翼を広げて飛び立つ瞬間なんかは格好よかったから、『カッコカワイイ』感じ。

 スマホ上では、オオタカのいろんな写真がいっぱい見れる。


 けど。


 やっぱり、あのおじさんみたいに自分で撮れたらすごいだろうな。撮ってみたいな。


 でも、どうやって?


 スマホのカメラで…うん、無理。多分、あのおじさんのみたいに大きな……お高いカメラじゃないとちゃんと撮れないんだろうな。


 んんん。なんか無いかな……そうだ。お父さんに相談してみよう。確か、お父さんもカメラ持ってたはず。借りられないかな?


 休日のお父さん、リビングでテレビを見ている。


「お父さん」

「どうした?」


「カメラ、持ってたよね」

「ああ、あるけど?」


「ちょっと貸して欲しいんだけど」

「どこか行くのか?」


「んー、ちょっと近くで撮りたいものがあって」

「そういえば、今朝早く外出してたな」

「ん、まあ、ね」

「いいぞ。ちょっと待ってな」

 お父さんはリビングを出てカメラを探しに行ってくれた。ほどなくして戻って来た時、手には黒いカタマリ。


「ほら、これ」

 手渡された黒いカタマリは、見た目よりずっと軽かった。大きさもわたしの手にピッタリ馴染むぐらいで丁度いい感じ。あのおじさんが持っていたごっついカメラとは全く違うけど。お父さんとお母さんがわたしの事をこのカメラでよく撮ってくれてたな。最近では高校の入学式の時に撮ってもらったのが最後だったけか。


「これって、遠くのモノを大きく写せたりするかな?」

「望遠機能か。ズームでそこそこ大きくできたと思うぞ」

「使い方、教えてよ」

「よし、わかった。お昼食べたら実際に表で試してみるか」

「うん、ありがと」


 説明書もあったので、それを読みつつカメラをいじっていると、昼食に呼ばれた。お昼ご飯を食べて、お父さんと一緒に外へ。歩いて行ける近所の小さな公園があるのでそこへ。


 公園には、スズメやハトが居た。それを狙って実際にカメラを操作してみる。


「えっと、このズームってレバー、右のTって方に倒すと大きくなるのね」

 レバーを押すと、みょーん、と音がして、カメラの前の部分がせり出して長くなる。


「おお、でかっ」

 スズメさんを中心にして操作してみると、どんどんと大きく見えてくる。


「これが最大かぁ・・・」

 うん、そこそこ大きくできるね、これ。


 ただ、問題があった。

 じっとしている時はいいんだけど、スズメさん、ちょこまかと動き回る。それをカメラで追いかけようとするとすぐに見失ってしまうのだ。


 カメラから視線を外して肉眼で確認して、カメラを向けて狙ってみるけど、大きすぎてどこを見てるのかわからなくなってしまう。

 いったん、ズーム操作で画面を小さくしてからスズメさんを捉え、そこからズームを大きくすればいい、とお父さんがアドバイスをくれた。だけど、その間にまた移動されると画面から外れてしまう。


「結構難しいね」

 スマホで猫とか友達を撮るのとは全く違う感覚に、なかなか慣れない。


「まあ、こういうのは、『習うより慣れろ』だな」

 ですよねぇ……


 その日の午後、少し『練習』をしてから家に戻り、オオタカさんの居た公園についても読み返してみた。公式のページにもしっかりと『野鳥が見れる』とあり、オオタカも頻繁に目撃されるって情報が書いてあった。


 興味がなければそんなところなんて読みもしないから知らなくて当然だよね。


 でも、知っちゃったから。


 幸い、今は冬休み。天気予報を見ると明日も晴れ。今日は少し早めに眠って、明日の朝、またあの公園に行ってみよう。このカメラを持って。






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