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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第一章:冬休み
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第11話:永依夢の由来、ここにバレる

 オオタカさんフィーバーの後。

 興奮、冷めやらぬまま。

 期待して待機するも、タカさん現れず。

 タカさん待ちがヒマになってきたので、ちょこっとスマホで調べモノ。


 『銃』ぅ、『エイム』っ、と。


 さらっと流れたけど、カワサキさんが言ってた『わたしの名前が銃に関係する』かも?って話。

 両親がサバイバルゲームをやってたって話は聞いてたし、きっとカワサキさんもサバイバルゲームとか銃の関係に詳しいんだろう。

 だから関連があるのは間違いない。


 検索結果。


 うわ。


 出るは出るは。笑える。


 ふむふむ。なるほど、なるほど。


 お昼前にはカワサキさんが『パンダ鴨』を撮りに出かけてしまったので、わたしも軽く園内を周ってから撤収することに。


「ただいまぁ」


 長い坂を登って帰宅してぜぇぜぇ。

 行きは良い良いこの立地。帰りは実に地獄。真冬だってのに、汗ばむ。

 軽くシャワーしてからリビングに行くと、ちょうどお昼ご飯。


 お正月のお雑煮の残りをメインに家族三人で。


「今日はどうだった?」

 食べながら、お父さんがわたしに話しかけてくれる。

「オオタカさんがすごかったよ。ひゅーんって飛んできて、目の前で、ばさーって羽広げて。後で写真見せたげる」

「おお。なんだかよくわからんが、凄そうなのは分かった」

「うん。すごかったよ。

 ところで、お父さんもお母さんも、明日からもう仕事だっけ?」

「そうだよ」

「そうね、悲しいけど」

「そかー」

 わたしはもう少し冬休みあるけど。

「今度、お休みの日、一緒に公園に鳥さん見に行かない?」

「朝、早いんだろ?休みの日はゆっくり寝たい」

「あら、いいじゃない。娘の趣味に付き合うのも悪くないわよ?」

 お父さん、朝苦手だしなぁ。

「そんなに早くからじゃなくても大丈夫だし」

 一緒にでかけるなら時間を少し遅くしてもいいしね。


 和気あいあいの食卓。結局、次の休みの日に一緒に公園に行こうってことに。


 食事が終わって、後片付けも終えて、リビングでまったりコーヒータイム。

 コンデジをケーブルでテレビにつないで、プレビュー画面を映して、これまでに撮った写真を改めて二人に見てもらう。

 比較的キレイに写っているものは残してあるので、一枚づつ撮った時の状況とか含めて解説。

 最後、今朝撮ったオオタカさんの雄姿。

「おお、確かに、これはすごいな」

「うんうん。カッコイイわね。こんな近所に鷹が居るのも驚きだけど」

 娘が撮った、ってひいき目もあるかもだけど、絶賛してくれる。

 純粋に、うれしい。


「しかし、ほんと急にハマったよな」

 一通り見終えて、お父さん。

「ほんとに、ねぇ。

 あんな年末の夜中に。急に飛び出してくんだもん、一体何があったのかしらねぇ」

 ちょっとニヤニヤぎみのお母さん。

 もしかしたら何かを察してらっしゃる!?


「帰って来たと思ったら、急にカメラ貸してくれとか、『照準器』無いか?とか」

「大人が大勢居るなら問題はないと思うんだけど…

 でも、早朝だし、心配は心配よねぇ。

 ご挨拶も兼ねて一度公園には行く必要もありそうね」

「そうだな」


 よし、頃合いかな。


「ところで、お父さん、お母さん。ちょっと聞きたいコトがあります」

「なんだ?あらたまって」

「あら、吐く気になったのかしら?」

「ちがうちがう」

 やっぱりお母さん気付いてるよ、これ……

 それはともかく。

「わたしの名前、『永依夢』って、本当はどういう意味なの?」


 ぴたり。固まるお父さんお母さん。

 そりゃそうだよね。

 ネットで調べて答えは分かってるんだけど、二人はまだわたしが気付いてないと思ってるだろうし。


「前に名前の由来を聞いたときは『夢に向かって努力する』って教えてくれたけど、本当は?」

「えっと、また、なんで、急にそんな事を?」

 まあ、別に二人を責めたい訳じゃないし。

 この名前、気に入ってるし、むしろ名付けてくれて感謝もしてる。

 ネットで検索したついでに画数診断とかやったら結構イイ感じだったし。

 単純に、本当の理由を知りたいだけ。

 だから、カワサキさんとのやりとりを話した。


「まさか、そんなところに同志がいらっしゃったとは…」

「世の中、広いようで狭いわねぇ…まあ、いずれバレるとは思ってたけど」


 お父さんはちょっと落ち込み気味に、お母さんはちょっとあきれ気味に。


「正直に言うとね…」


 お母さんが語ってくれた。


 二人が大学時代にサバイバルゲームの対戦で知り合って仲良くなって結婚したって話は聞いてたけど、今回は、わたしが生まれる前後の話。


 就職して結婚してサバイバルゲームには行けなくなった二人。

 時同じくして銃撃戦ができるPCゲームが登場。

 二人は当然のようにサバイバルゲームに似た『FPS』と呼ばれるジャンルのPCゲームに参入。

 そうこうする中で、わたしが産まれた。


 名前どうする?

 やっぱりコノ関係の名前にしたいなぁと言い出すお父さん。

 反対するお母さん。

 だいたい、銃の関係で女の子に付けられるような名前なんてないじゃん。

 ベレッタとか?

 あのねぇ……

 あー、そうだ。ほら、あるじゃん、いつも幸恵がよく言ってるやつ。

 何よ?

 エイムして撃つ!エイムして撃つ!

 あー……


 つまり、銃で狙いを定める動作の事を『エイム』と言う。

 英語の動詞で『Aim(エイム)』名詞形は『Aiming(エイミング)

 

 ネットで調べると『エイ』は『永依』って名前の子が居ることが分かったので、『夢』を付けて『永依夢』

 お母さんもその場のノリでお父さんに乗せられて決めちゃったんだとか。


 確かに、普通の日常生活を送ってる中でこの言葉に出会う事はマレだよね。

 実際、わたしも言われるまで全然気付かなかったし。


「なによ、あなた狙いとか関係なく腰溜めでサブマシンガンばらまくしか能がなないくせに」

「ハンドガン使う時はちゃんと狙うわい」

「下手くそだけどねぇ」


 なんだ、かんだ。

 仲がいいんだか悪いんだか。

 いや、絶対、仲いいんだけどね。でなきゃ、だよね。


 と言うか。

 わたしがやると『永依夢が鳥さんをエイムして撮る』って。


 まんまやーん、と関西弁で突っ込みたくなるけど。


 まあ、これは、これで、あながち、って感じで、悪くない、よね?


 よね?


 まあ、二人の若い頃の話も聞けて、ちょっと楽しかったし。いっか。


 あ。


 この後、お母さんから、エイミングの基本を基礎からたたき込まれました…いや、確かに、狙いを定めるスタイルとか、参考にはなったけど。


 地べたに寝転んで撮影とか、やんないからね?


 と、この時は思ってました。







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