第108話:加速する少子高齢化
お花見バーベキューが、思わぬ展開になっちゃって。
早期撤収、って事で。
バーベキューもあんまり食べれてなかったこともあって。
ファミレスに寄って、軽くお昼ご飯、兼、反省会……。
「なんやどっかで聞いたことあるよな話や思てたけどあの娘な……」
そこで涼子さんから明かされる、園田さんのお母さんの、過去。
「ウチの旦那のイトコの孫やわ」
「え? じゃあ、園田さんって九重の……?」
「せや。そない言うたら沙綾て名前も聞いた覚えあったし」
あぁ、それで!
園田さんのお母さんが、身を引いたのって。
「直接やのうても、追い出された実家に関わんのはやばい思たんやろなぁ……」
園田さんのお母さんの、お話。
わたしから見ると、衝撃だもの。
高校三年で妊娠して、実の親から勘当されて、家を追い出されたって。
その後、相手の男性が、失踪して。
その男性の両親に引き取られた、と。
何それ何のドラマ?
って、思ってたけど。
さらに、衝撃の、事実。
カワサキさんが、その家系と、遠縁。
黙っていれば、解らないレベルなんだろうけど。
実態は詳しく知らないけど。
涼子さんの、嫁いだ家。
九重、って。
すんごく、大きな家と言うか、家系みたいで。
たくさんの会社もやってるみたい。
例の、涼子さんが関わってる着弾判定チョッキの開発やってる会社とか。
あ、ちなみに、涼子さんの会社の人たちは、別のテーブルで、本気のお食事中。
迷彩服でテーブル占拠は、ちょっと怖いかも?
いやいや。
それも含めて、ほんと、これ、何の映画かな。
「蘭の場合」
涼子さんの話が、続く。
「九重から嫁に出た娘の娘やからまだマシかもしれんけど」
だよね。
蘭先輩の苗字は、九重ではなく、鈴木。
「話が漏れたら鈴木の家にもなんかしら、あるかもしれへんで」
あぁ、なんとなく、わかる。
話を聞く限り、古くから続く家系だとしたら。
わりとそういう『常識的』な考え方が、普通だろうし。
だからこそ、学生妊娠した園田さんのお母さんも。
って、考えると、歳の差ありの、近親婚とかになると……。
涼子さんの話を聞きつつ。
もくもく。
少し、バーベキューも食べてたので、軽く。
ぱくぱく。
「それやったらや」
ん?
突然、方菜ちゃんが会話に参入。
あたしと方菜ちゃんは、この中では、ある意味、部外者。
まぁ、逆に、部外者だからこその、考え方とか、意見とかもアリかもしれないけど。
「結婚せんでも、種だけ貰たらええんちゃう? それこそ、あん女性みたいに、ヤ」
一瞬、何の事か、わからなかったけど。
方菜ちゃんの話をかみ砕いて、飲み込むと。
それもアリかもしれないけどーっ?!
「ちょ、方菜っ!?」
ナニ言い出すかな、この子は。
「アホボケカスこんカタナ」
「痛っ」
あ。
涼子さんの手刀が、方菜ちゃんの頭頂に炸裂。
さすがに、涼子さんからすれば、蘭先輩は、可愛い可愛い、孫のひとり。
そんな孫が、未婚の母に、とか。
推奨できるわけ、無いよねぇ。
それに。
なにを生々しい事をおっしゃいますかね、この方菜ぁああああ。
もぉっ!
ちょっと想像しちゃったじゃないのぉおおおおっ!
ぜーぜー。
「ちょっと飲み物入れてくるー」
とりあえず、ひと息。
コップを持って、ドリンクサーバーへ移動して。
さて、何飲もう。
いろんな飲み物のある、サーバーの、前。
ぼーっと。
結婚、かぁ……。
結婚、ねぇ……。
相手が、なぁ……。
うーん。
ふっと。
そう言えば、風の噂で、少し前に。
『彼』が結婚した話は、聞いたっけ。
お相手は、わたしの知らない女性みたい。
高校に入ってすぐの頃は、色々接点あったけど。
わたしが鳥撮りはじめたりして、蘭先輩や方菜ちゃんとつるむようになって、疎遠になって。
それっきりだったし。
当時の、あの想いって、何だったんだろう、って。
若気の?
多分、若者にありがちな、一時的な、恋に恋する、乙女の心。
今なら、わかる。
男性と、お付き合いする面倒くささ。
大学時代の知り合いや、会社の同僚なんかの話を聞いても。
そりゃ、彼氏が欲しい、とか、彼氏が出来た、とか。
幸せそうな話も、聞きはするけど。
おおむね。
面倒って女性が、増えてる気がする。
わたしを含めて、ね。
あぁ。
そう言う意味では。
カワサキさんが、結婚せずに、趣味に生きてるのって。
そういう事、なのかなぁ。
男性の方が、そういう人、多かったみたいだけど。
女性もそういう考え方が、増えてるのか。
他にも理由はあるだろうけど。
うん。
少子高齢化が、進むわけだわ……。




