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バード・ガール~鳥撮り少女  作者: なるるん
第一章:冬休み
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第10話:飛ぶは、オオタカさん



 公園のお池のほとり。


 陽が昇って少しして、朝ごはんをぱくっと。お母さんありがとう。


 狙いのオオタカさんが、なかなかやって来ない。

 来てる日も多いらしいけど、今日は、まだ。

 

 まわりを見ると、カワサキさん含めてレジャー用の折り畳みのイスに腰掛けている人が多い。

 なるるん。待機中は必須アイテムよね。確か家にあったはず。


 わたしは練習を兼ねて時おり目の前を横切る鳥さんを撮ってみる。

 照準器の使い方もだいぶ慣れてはきたんだけど、なんとなく、まだ違和感はある。


 ちなみに。

 飛んでいる鳥さん、飛び方に特徴があった。

 まっすぐ、すーっと飛ぶ鳥さんと、上下にふらふらっと落ちたり浮き上がったり、波打つように飛ぶ鳥さん。


 撮った写真をカワサキさんに見てもらって教えてもらう。

 

 まっすぐ飛んでるのはだいたい『ツグミ』『ムクドリ』たまに『モズ』。

 波打ちのほとんどが『ヒヨドリ』。

 他にも、時々、手前の(アシ)に寄って来る小鳥さんが『シジュウカラ』。

 

 ここら辺はだいたい覚えました。

 けどやっぱり図鑑欲しいなあ。休み中に買いにいこう。


 ぱしゃり。


 ヒヨドリが飛んでいたのでまた撮ってみた。

 プレビューを拡大して目が点。


「何コレ」

 おなかが白くて背中が黒っぽい縞模様。頭の後ろに赤い模様。ヒヨドリじゃあ、ない。


「カワサキさん、コレなんでしょう?」

「ん? どれどれ。あー『アカゲラ』だね」

「『アカゲラ』……」

「うん。キツツキの仲間だね」

「キツツキですか。初めて見ました。キツツキってことは、木をコンコンするんですね」

「そうだね、そのあたりに停まったなら聞こえるかも。コンコンって言うより、ドゥルルルルーって感じで……あ」

「?」

「やってるやってる。あの辺かな?」

 カワサキさんが指した方向に耳を傾けてみると、確かにそれっぽい音が聞こえる。確かに、ドゥルルルルルって感じ?


 でも、カワサキさんが指した方向じゃなくて、そこからさらに左側。


「こっちから聞こえますね」

 わたしは、音が聞こえて来る方角を示した。


「ん? そうか? おかしいな……ウチにはこっちから聞こえるけど」

 右側の島の方を示しながらカワサキさん。


「と言うか、そっち、樹、無いよね」

 お?

 言われてみれば、樹のないところにキツツキは居ないよね。


 と、思った瞬間だった。


 バサバサバサ。


 周りに居たハトが一斉に飛び立った。

 ハトだけじゃない、小鳥さんも含めて沢山の鳥たちが、一斉に。


 何? 何? 何?


「来た!」


 カワサキさんがイスから立ち上がってカメラに飛びつく。

 周りからもシャッター音が聞こえる。


 え? え? 何が来たの?

 もしかして、オオタカさん!?


 きょろきょろと見渡して、他のカメラマンさん達がカメラを向けている方角……ハトが飛び去ったのと逆の方角……を見てみると、居た!


 オオタカさんらしき大きな白っぽい鳥がこちらに向かって飛んで来るのが見えた!


 わたしも、カメラに飛びついて照準器を向ける!


 狙いを定めて、シャッターを切る! 切る! 切る!


 ピントが合わないせいか、シャッターが切れない時もあってちょっとイライラ。

 でも、ひたすら追いかけて、撮る。


 オオタカさんはわたし達の目の前、島の手前を横切って一旦左側へ飛び去る、かと思いきや、Uターンして島の方へ戻って来た。さらにもう一度ターンして急降下。

 島の手前にある(アシ)の直前でそのまま一瞬、停止。

 こちらを向いて翼を広げる姿がはっきりと見えた。

 オオタカさんはそのまま(アシ)の影に入って見えなくなった。


 一瞬の出来事。


 何が何やら、わからないまま、ひたすら照準を合わせてシャッターを切っていたけど、オオタカさんが見えなくなったことで一息。

 と、思ったら、すぐにまた飛び上がって、今度は島の向こうに飛び去って行った。


「……」


 気を抜いてしまったので、その姿を撮ることはできなかった。

 けど。

 結構、近くで見れた。大迫力。すごい。感動。

 ちょっと興奮してしまった。

 ドキドキが止まらない。


「お、良い感じに撮れてる」


 カワサキさんの声で我に返る。

 そうだ、わたしも写真、確認しなきゃ。


 プレビュー、オン。


 最後の写真から遡って数枚。

 写ってないか、ピンボケか、そういうのが続いた後。


「おおおおおお!」



挿絵(By みてみん)




 きたー。来ました。コレ、コレ、コレよ、コレ、コレ。


 肉眼でもはっきりと見た、オオタカさんが翼を広げて一瞬停止した瞬間。

 ばっちり取れてました!


「どうした?」


 カワサキさんが驚いて声をかけてくれたので、プレビューを見てもらう。


「コレです、コレ」

「おお、よく撮れてるね」

 少し明るくなりすぎてるのはご愛敬?


 他のはどうだろう、と、さらにプレビューを遡ってみるけど、どうやらまともに撮れてたのはこの1枚だけみたい。

 最初の方で数枚、空を背景に飛んでるのがキレイに写ってるのもあったけど、カッコよさでは最後の方のがダントツ。


 はぁ…


 オオタカさんの雄姿にうっとり。


 ちなみに、アカゲラのドラミングはすでに聞こえなくなっていた。


 このアカゲラのドラミングのことが、すごく大事な話につながるなんて、この時はまだ気付いていなかった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

写真は実際には、α550あたりで撮ったものです。

露出オーバーなのは、設定ミス……ご愛敬ってことで。

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