日森 キコのひきこもり脱出計画
私、日森 キコ。50歳。いろいろあってただいま絶賛ひきこもり中。けれど、そんなことではいけません。そう思い、ある朝、私は決意をこめて家のドアを開けた。
「私、日森 キコは今日からひきこもり生活から卒業します」
私は一体誰に説明してるのかしら。それはそうと、まずは実家から出ないと。そして、借りるために不動産屋に行かなければ・・・。
ー不動産屋。私は、外に貼ってあるチラシを見た。そして中に入る。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいました!」
あれ?店員さんがぽかんとしていた。ちょっとしたジョークなのに。
「で、ではご用件をうかがいます」
「あの、チラシの家を借りたいのですが」
「ではここに記入をお願いします。まずは宛先を」
「確かに私は後先考えてないねとよく言われます」
店員さんがまた首をかしげてる。
「では、住所を・・・」
「誰が重症ですか!そこまで言われてませんよ!」
「いえ、そんなことは。では、生年月日を」
「いやいや、どう見ても女ですよ。確かにちょっと男の子に間違われることもありますけど・・・」
また店員さんが首をかしげている。しかも、眉間にしわをよせて。
「あと、お名前と性別を」
「ちょっと!いきなりお前とか軽蔑とか言わないでください!失礼じゃないですか!」
店員さんがガタッと椅子から立ち上がると、私をガシッと持ち上げてポイッと投げました。
「二度と来るなーっ!」
バタンッと戸を閉められて、私は呆然となりました。
「え?なぜ怒られた?私何かしたかしら・・・」
私はうーんと考えてみたが、思い当たるところは何もなく、また歩き出した。
「しかし、家を借りれないとなると次は仕事探しですね」
でも、今日は久しぶりの外で疲れました。後は家で調べるとしますか。私はガチャッとドアを開けて自分の部屋に戻りました。
「さーて、仕事探し始めますか」
それからピコピコとパソコンをいじっていると、あっという間に外はもう真っ暗。
「え!?もうこんな時間!また一日の半分を家の中で過ごしてしまった。ま、いっか。後はご飯を食べて、お風呂に入って、寝て明日考えましょう」
こうやってまた私のひきこもり生活は続いていくのでした。