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ヴァーガー3

作者: 杜若表六

ウェイジャーの証言から作成されたヴァ―ガーについての報告書



結局のところ、とヴァーガーはいう、われわれは生の内に、殻のない卵の内に、いややはり生の内に、なすすべなく、「しかし」という逆接にもかかわらず、やはりなすすべなく、生の内はなすすべなく、とヴァーガーはいう、われわれの生の内に、つまり外なき内の中に、それ以上はなすすべなき境界の内に、とヴァ―ガー、なすすべなく。生の内の時間という律動が、とウェイジャーにヴァ―ガー。たえず盲目的に膨張をつづける生の内の時間という律動が、われわれをおいたて、われわれをおいこみ、われわれをおいおとす。たえず盲目的に膨張をつづける生の内の時間に。生の外に死があるというのはまちがっている、とヴァ―ガーは書く。生の内に死があるというのもまちがっている、死があるというのはまちがっているし、死がないというのもまちがっているし、生の内というのもまちがっているし、生の外というのもまちがっている、とヴァ―ガーは書く。ある日わたしは散歩にでかけた、とウェイジャーにヴァ―ガーはいう。ある日わたしは散歩にでかけなかった、ある日わたしは散歩にでかけた。ある日わたしは散歩にでかけなかった。ある日わたしは散歩にでかけなかった、ある日わたしは散歩にでかけた。ある日わたしは散歩にでかけなかった、ある日わたしは散歩にでかけなかった。ある日わたしは散歩にでかけなかった、わたしは、とヴァ―ガー、散歩にでかけなかったなにもかもほうりだしてほうけている、とウェイジャーにヴァ―ガー。なに、もかもほうりだしてほうけている、なにもかも、ほうりだしてほうけている、なにもかもほうり、だしてほうけている、なにもかもほうりだして、ほうけている、なにもかもほうりだしてほうけて、いる、私は散歩も思考もなにもかもほうりだしてほうけている、とヴァーガー。ほうほうのていで家へにげかえるのだ、とヴァ―ガー、なにもかもほうりだしてほうけているために。ほうりだしてほうけるためにほうほうのていで家へ、ほうりだしてほうほうのていでほうけるために家へ、ほうけるためにほうりだしてほうほうのていで家へ、ほうけるためにほうほうのていでほうりだして家へ、ほうほうのていでほうりだしてほうけるために家へ、ほうほうのていでほうけるためにほうりだして家へ、にげかえり、にげかえりそこね、とヴァ―ガー。だれかがわたしをみる、だれかがほうほうのていのわたしをみる、だれかがほうりだしたわたしをみる、だれかがほうけたわたしをみる、あるいはみそこねる、とヴァ―ガー。わたしはだれかをみる、ウェイジャーをみる、キャンサーをみる、エイクをみる、あるいはみそこねる、それがウェイジャーでなければキャンサーかエイクが、キャンサーでなければウェイジャーかエイクが、エイクでなければウェイジャーかキャンサーが、あるいは二人づつか、三人で、家までわたしについてくる、あるいはだれもついてこない、とヴァ―ガー。いずれにせよ、わたしは気がつくと家へかえっている、わたしはいままで家へかえりそこねたことはない、とヴァ―ガー。わたしはいま家にいる、あるいは家にかえりそこねている、そうだとしたら、それはつまり、いままさに家にかえる途中だということじゃないかね、とヴァ―ガー。

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