プロローグ2・外交は会話が成立しないと成り立たない。
哨戒機撃墜事件の翌々日、度重なる日本政府からの呼び出しに応じようとしない駐日韓国大使館に対し、日本政府は、外務副大臣及び外務省職員数名と何名かのSPを伴い大使館にアポなしで訪問、韓国大使へ厳重抗議を行った。
また、駐韓日本大使が韓国政府へ渡し、受け取りを拒否されたものと同じ内容の日本政府からの要求文を韓国大使の目の前で読み上げ、今後韓国側が日本側の要求に対し明確な返答を行わない限り、全ての外交交渉、及び貿易関連取引に日本政府は応じないこと、また、在韓邦人に対し既に帰国勧告を外務省経由で出していることを伝えた。
同時に、在韓帰国に対しなんらかの妨害行為が有れば、信用状の停止もちらつかせ、韓国大使が何かを言っているのを無視しそのまま大使館を後にするという前代未聞の対応を行い、国内外から大きく取り上げられることとなる。
さらに政府内では、在日朝鮮人、韓国人の特別永住許可に対する見直しも行われ、不法滞在者に対し、罰金をかした上で相手国の了解なしでも強制送還をできるようにする為の法整備に着手することが決定された。
といっても、実は随分昔に草案は作られていたため、翌日には審議にかけられて、国会で採択を待つ段階まで行き、事件から一週間と言う速さでこの法案は可決、即日施行され、日本国内から逮捕者が続々と出る事態となった。
当然の様に韓国政府は在韓日本大使を呼び出し抗議をしたが、日本大使も普段と違い強気の姿勢で、逆に韓国側の姿勢を糾弾、韓国外交部長官の抗議が終わる前に日本大使が『不愉快だ、あなた方から抗議を受ける筋合いはない。失礼させていただく』と言い放ちそのまま大使館に帰ってしまう出来事もあった。
日本外務省と韓国外交部の認識の違いも大きく、両国の関係悪化に拍車をかけた。
日本外務省は、今回の事件がこれまでのものとは違い、犠牲者が出ていることから普段では考えられない程の強気の姿勢で外交に臨んでいること、更に、これまでネット上で害務省などと書かれることもあった彼らは、今回の事件では政府からの強い要求と世論の後押しもあり、本来の優秀な外務官僚としての能力を発揮しつつあったのである。
韓国外交部はこの日本の様子を全く理解していなかった。
逆に日本側が韓国側に無礼を働いたと喧伝し、諸外国がらも呆れられていた。
また、外交儀礼に反するとして、日本へ謝罪を要求したり、日本側からの事件に対する説明要求にも『自衛隊機が威嚇してきたから、こちらも威嚇射撃した。自衛隊機が運悪くそれに被弾したにすぎない』『自衛隊機が先にミサイルを撃とうとしてきた、正当防衛だ』『自衛隊機が機銃で撃ってきたので反撃し撃墜した』などまともな説明は一つもなく、そもそも哨戒機に機銃は積んでいないとの日本政府の指摘に対しても、『哨戒機ではなく戦闘機だった』と訳の分からない事を言い出して日本側を困惑させると共に激怒させるに至った。
証拠の提示も拒否し、逆に日本側へ謝罪を求めてくる斜め上の対応をしてきたことで、その詳細の報告を受けた共通の同盟国であるアメリカ合衆国の大統領が側近に『韓国人はファンタジーだ』と述べたと言われている。
さらに、事件から一週間後、日本からの要求に正式な拒否、及び日本側が韓国側に謝罪する様に逆に要求してきたこと、韓国側が駐韓日本大使館を日本側が要求を果たすまで差し押さえると通達してきたことで、日本は国際司法裁判所へ提訴、さらに国際連合総会の場で韓国側の行為を『無法者がすることであり、国際法にも違反している。韓国では国際法より国内法、国内法より国民情緒が優先される』
『韓国はもはや法治国家ではない。盗賊やそれに近い、もはや国の体をなしていないとすら思える。我が国は韓国に対し、自制した対応をしてきたが、もはやそれは無い、韓国に猛省を促す為に取る手段はいくつもある』と糾弾、国際社会は日本政府にここまで言わせた韓国に対し、ある意味尊敬すら覚えた。
韓国は日本政府のこの糾弾に対し、『日本の方が無法をしている。かつての戦争で慰安婦が被った苦痛に日本は向き合っていない』と関係の無い事を持ち出し日本を非難した。
国際社会は両国に対し自制を促すとしたが、明らかに日本寄りに傾いていた。
韓国はそんな国際社会の反応をこのように報道している。
【日本に対し毅然と対応した韓国政府に対し、日本は苦し紛れに御託を並べ、国際社会は韓国政府に称賛を送ってきた】
これを読んだ日本のネット民は画面の前で吹き出し、報告を読んだアメリカ合衆国大統領は黙って在韓米軍のさらなる縮小と韓国の負担額を三倍に要求する書類にサインした。
その動きを察知した韓国軍上層部の一部は絶望したが、韓国世論はそんなのお構いなしに、日本の態度に激怒し、今こそ対馬を韓国が取り戻すべきだとデモを繰り返し、数ヶ月の後に対馬島韓国編入法が可決されてしまう。
次に韓国外交部の担当者が日本外交官と面会した際、日本の外交官は終始無表情で淡々と韓国側担当者の話を聞き、そして淡々と日本側の立場の説明と、韓国側に【日本政府は貴国への信用状の発行をしない様通達を出し、各国へも同様の呼びかけを行うことを決定しました】と告げ、去っていった。
韓国財務省はパニックになり、外交部は機能不全に、韓国政府は日本へ報復することを検討に入り、北朝鮮はひっそりと動員を開始し、中国は日本に自制を促しつつ尖閣から姿を消した。
事態は動きつつあった。
アメリカ「…もうあいつらしらね、日本人怒らせるとか…」
中国「俺ですら怒らせないギリギリのラインは守ってたのに……」
その他の国「…え?日本がキレた?またまた冗談を……ホンマや…何やらかしたん?」
韓国「日本が全部悪いニダ!なんでみんな日本の味方するニダ?」